省力化投資補助金(カタログ型・一般型)まとめ

序章 — 本記事の目的と読み方

本記事は、国や地方自治体が実施する省力化投資補助金(カタログ型・一般型)について、公式情報を踏まえつつ「実務で使える」形に整理した解説です。制度の概要だけでなく、どの事業者がどちらの型に向いているか/申請の流れや必要書類/採択されやすくするための実務的なコツまで、申請〜実施〜実績報告の一連の流れをワンストップで読めるようにしています。

2章 補助金の全体像(分かりやすく)

省力化投資補助金は、機械やシステムを導入して「仕事を楽にする(省力化)」ための費用を国が一部支援する制度です。目的は人手不足を補い、生産性を上げ、賃金引上げにつなげること。中小企業や小規模事業者が対象になることが多いです。

①まず知っておくべき「型」の違い

この補助金には大きく2つの型があります。どちらを使うかで手続きのやり方や用意する書類が変わります。

  • カタログ注文型
    事前に登録されたカタログ商品(既製品)を買う方式。申請が比較的簡単で、手続きが短め。
    向く人:カタログにある既製品で問題が解決する場合。
  • 一般型(オーダーメイド型)
    自社の現場に合わせて設備やシステムを作る方式。自由度は高いが、導入効果の説明などが審査で重視される。
    向く人:既製品で合わない、自社専用の仕組みを作る必要がある場合。

②誰が申請できるの?(対象者のイメージ)

対象は主に中小企業・小規模事業者です。ただし業種や従業員数・資本金の基準など細かい条件があるので、必ず公募要領で自社の該当性を確認してください。申請に先立ち、GビズID(法人向けのID)などの登録が必要な場合もあります。登録には時間がかかることがあるので早めに準備しましょう。

③補助金の“いくら”と“割合”は変わる

補助率(何割を補助するか)や補助上限金額は、企業の規模や公募の回によって異なります。
例:小規模事業者は優遇されることが多く、補助率が高めに設定される場合があります。
最新の数値は毎回の公募要領に必ず記載されているため、申請前に必ず最新版を確認してください。

④スケジュール感

1. 公募の案内(開始) → 2. 申請書の作成・提出 → 3. 審査 → 4. 交付決定 → 5. 導入・支払い → 6. 実績報告 → 7. 補助金の支払い(精算)

申請から支給まで時間がかかるため、「早めに準備して申請する」ことが重要です。

⑤なぜ今この補助金を使うべきか

人手不足や賃金上昇が続く中で、省力化は企業の生産性維持・向上に直結します。国もそうした投資を後押しするために補助金を提供しており、設備導入の初期コストを抑えて試しやすくする狙いがあります。

⑥すぐ使えるチェックリスト

  • 公募要領(最新版)をダウンロードして目を通したか?
  • 自社が中小企業等の対象に入るか確認したか?
  • 「カタログ型」か「一般型」どちらが適切か決めたか?
  • GビズIDなど必要な事前登録は完了しているか?
  • 業者から見積りを取り、導入効果(何がどれだけ楽になるか)を数値化したか?
  • 書類(見積書・導入計画・写真・領収書等)の保存方法を決めたか?

 ⑦ワンポイントアドバイス

  • カタログ型は手続きが楽なので初めて補助金を使う事業者におすすめ。
  • 一般型は効果の説明がポイント。導入で「具体的に何時間・何人分を省けるか」を明確にすると採択されやすくなります。
  • 支給までに時間がかかるので、導入スケジュールと資金繰りを事前に確認してください。

第3章 「カタログ注文型」と「一般型」 — わかりやすく比較

カタログ注文型(短く早く進めたい人向け)

  • 内容:事務局のカタログに載った既製品を選んで買うだけ。
  • メリット:申請が簡単、審査も比較的スムーズ。導入まで早い。
  • デメリット:カタログにない機器は使えない。現場に合わせた改造は不可。
  • 向いているのは:既製品で課題が解決できる店舗や小規模事業。

一般型(自社専用の改善をしたい人向け)

  • 内容:自社の現場に合わせた設備・システムを設計・導入する方式。
  • メリット:柔軟に設計できる、効果が大きければ補助額も大きく取りやすい。
  • デメリット:事業計画や効果の説明が必要で、申請準備に手間と時間がかかる。
  • 向いているのは:現場ごと最適化が必要な製造業や物流など。

選び方の簡単ルール

  • 「既製品でOKカタログ型。
  • 「カスタムが必要」一般型。
  • 迷ったら、まずカタログに該当製品がないか検索し、それで解決できないか確認する。

補助額・補助率(かんたん説明+例)

  • 補助率や上限は「会社の規模」と「公募回」によって変わる。小規模事業者は優遇される場合が多い。
  • やること:公募要領で自社の補助率・上限を確認し、見積りと照らして「補助でどれだけ負担が減るか」を計算する。
  • 簡単な計算例:機器費 120万円、補助率1/2 → 補助60万円、自己負担60万円。補助率2/3なら補助80万円、自己負担40万円。
  • 正確な数値は必ず当該公募要領で確認すること。

申請の流れ(実務ステップ:最短で理解)

  1. 公募要領を取得「型」「締切」「補助率」を確認。
  2. GビズID等の事前登録(必要なら)を済ませる。
  3. 見積りを業者から取る(カタログor見積り複数)。
  4. 事業計画書(一般型は効果を数値化)を作成。
  5. 電子申請で提出(締切厳守)。
  6. 審査交付決定(交付決定前の購入は原則リスク)。
  7. 導入・検収証憑(領収書等)を保存。
  8. 実績報告を提出補助金の精算。

必要書類(最低限のチェックリスト)

  • 共通:登記簿/開業届、直近決算書、代表者確認書類。
  • カタログ型:カタログページ、見積書、発注書。
  • 一般型:事業計画書(効果試算)、複数見積り、工程図、導入スケジュール。
  • 交付後:納品書、領収書、設置写真、稼働データ(あれば)。

審査で見られるポイント(書き方のコツ)

  1. 効果を数値で示す(時間短縮時間/日、人数換算など)。
  2. 実現可能性を示す(業者の納期・設置計画・試運転計画)。
  3. 波及効果を示す(賃上げや生産性向上につながるか)。
    図表で「導入前導入後」が一目で分かるようにすると良い。

公募スケジュールの注意点(実務の落とし穴)

  • 公募ごとに要件や様式が変わる。最新版を必ず確認。
  • GビズIDの取得や見積り取得は時間がかかるので、締切の余裕を大きめに確保する。
  • 提出直前に様式不備で落ちるケースが多い締切1週間前に最終確認を。

交付後の実施と監査対策

  • 領収書・納品書は原本保管。設置写真は日付が分かる形で撮る。
  • 稼働データや効果測定のログはCSV等で保存しておくと実績報告が楽。
  • 現地確認(監査)が入る場合があるので、担当者と保管場所を共有しておく。

カタログ製品を選ぶときのチェック

  • 設置スペース・電源要件は合うか?
  • 保守・保証はどうか?納期は?
  • 操作は現場で問題ないか(使う人が扱えるか)?
  • 販売事業者との契約条件(納期遅延や仕様変更の対応)は明確か?

よくある失敗と簡単な回避策

  • 見積りが不明瞭明細入りの見積りを必ず取る。
  • 効果の数値化不足現場での時間計測をして根拠にする。
  • 証憑の管理不備電子保存+バックアップを行う。
  • 交付決定前の先行購入原則NG。交付決定待ち。

他補助金との併用

  • 併用可否は制度毎に異なる。二重計上は不可。
  • 併用する場合は「どの費目をどの補助金で計上するか」を明確にし、証憑で説明できるようにする。

採択されやすい実例

  • 製造業:自動化ラインで「作業時間が%短縮」など数値が明確な例。
  • 小売:検品・決済の省力化で店員の作業時間を減らした例。
    共通点は「具体的な効果試算」と「実行可能なスケジュール」。

最後に:超簡単チェックリスト(申請前)

  • 公募要領(最新版)を確認したか?
  • GビズID等の事前登録は完了しているか?
  • カタログ型か一般型か決めたか?
  • 見積りを取ったか(できれば2社以上)?
  • 効果(時間・コスト削減)を数値で示せるか?
  • 納品書・領収書・設置写真を保存する準備はできているか?
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