「雇用調整助成金」とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図る目的で雇用調整を行う事業主に対して休業手当などの一部が助成される制度です。
この助成金は、これまで原則的な支給上限額が13,500円に設定されていましたが、2021年11月24日の厚労省発表によれば、2022年1月からの支給上限額が11,000円へ引き下げられることが分かりました。また、支給期間も2022年3月まで延長されることが決定済みです。
今回は、雇用調整助成金・特例措置の最新情報として、支給上限額の引き下げや支給期間の延長について詳しく解説していきます。
目次
雇用調整助成金・特例措置とは?
はじめに、雇用調整助成金の概要について下記表にまとめましたのでご確認ください。
雇用助成金の目的 | 新型コロナウイルス感染症の影響によって事業の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るため、労使間の協定に基づいて「雇用調整(休業)」を行った事業者に対して休業手当などの一部を助成することを目的とした制度。休業だけでなく、事業主が労働者を出向させることで雇用が維持された場合にも支給対象となる | ||||||||||||||||||||||
特例措置とは? | 雇用助成金の措置は、新型コロナウイルス感染症ではない経済上の理由においても実施されるが、今回の特例措置では令和2年4月1日~令和3年11月30日までの緊急対応期間とし、助成率や上限額の引き上げが行われている
※今回の記事でお伝えする最新情報は、この部分に関連する内容となります |
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支給対象者
(事業主) |
※比較対象月を柔軟な取扱いとする特例措置あり(要相談)
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助成対象(労働者) |
※学生アルバイトなど雇用保険被保険者以外への休業手当は「緊急雇用安定助成金」を活用する ※「緊急雇用安定助成金」は雇用調整助成金と同様に申請可能 |
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支給額 |
中小企業の場合対象者
助成率
※1:売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年又は前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主が該当 ※2:緊急事態宣言対象区域において、特定都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主が該当 ※3:まん延防止等重点措置を実施すべき区域で、都道府県知事の要請を受け営業時間の短縮等に協力する事業主が該当 ※上記金額は一人一日あたりの上限額であり、()内に記載してある助成率は解雇などを行わない場合の割合
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大企業の場合助成率
※1:売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年又は前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主が該当 ※2:緊急事態宣言対象区域において、特定都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主が該当 ※3:まん延防止等重点措置を実施すべき区域で、都道府県知事の要請を受け営業時間の短縮等に協力する事業主が該当 ※上記金額は一人一日あたりの上限額であり、()内に記載してある助成率は解雇などを行わない場合の割合 |
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支給限度日数 | 原則として「1年で100日分」「3年で150日分」となっているが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和3年11月30日)に実施した休業に関しては、この支給限度日数とは別に支給を受けられる | ||||||||||||||||||||||
支給の流れ |
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必要書類 | 厚労省のホームページより雇用調整助成金・特例措置用の書類をダウンロードする
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html |
※支給額のI/Ⅱの分類は、以下に基づきます。
Ⅰ:令和2年1月24日から判定基礎期間の末日までの解雇等の有無及び「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」の要件により適用する助成率を判断
Ⅱ:令和3年1月8日から判定基礎期間の末日までの解雇等の有無により適用する助成率を判断
- 対象が雇用保険の被保険者であるかどうかを確認すること(学生アルバイト等の場合には申請方法が異なる)
- 中小企業か、大企業か、によって助成額や助成率が変わること
- 事業規模によって提出する必要書類が異なる場合があること
また、申請期間が延長となったり申請するタイミングによって支給の上限額が変わったりする場合があります(後述)ので、必ず公式ホームページ等で最新情報を確認したうえで申請することをおすすめします。
万が一、不明な点や疑問点などがあった場合には、下記の問い合わせ窓口を活用してみるのがよいでしょう。
- 都道府県労働局またはハローワーク⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10702.html
- 雇用調整助成金コールセンター⇒電話:0120-60-3999(受付時間 9:00~21:00 土日祝日の問い合わせ可能)
- 厚生労働省公式ラインアカウント⇒ https://lin.ee/qZZIxWA
雇用調整助成金・特例措置の最新情報
雇用調整助成金・特例措置の概要が分かったところで、続いては最新情報(2021年11月24日発表)にある
- 特例措置の期間延長
- 支給上限額の引き下げ
の2つについて解説していきます。
特例措置の期間延長
2021年11月24日に厚労省が発表したニュースによると、2021年11月30日までを期限として行われてきた雇用調整助成金の特例措置は、2021年(令和3年)12月31日まで延長することが決定しました。また、2022年(令和4年)1月以降に関しては「延長予定」として準備が進められているようです(令和4年1月以降は試行にあたって厚労省令の改正などが必要となるため、現時点では予定となっています)。
支給上限額の引き下げ
令和3年5月~12月の間、中小企業および大企業において原則13,500円とされてきた雇用調整助成金の上限額ですが、令和4年1月・2月は上限額が11,000円、令和4年3月は9,000円へ減額となります。こちらも期間と同様に、令和4年1月以降の施行にあたっては法律の改正が必要なため、あくまでも「予定」であることに注意しておきましょう。
特例措置の内容
今回、新たに発表された特例措置の内容は以下の通りです。
中小企業の場合
判定基礎期間の初日 | 令和3年
5月~12月 |
令和4年
1月・2月 |
令和4年
3月 |
原則的な措置 | 4/5(9/10)
13,500円 |
4/5(9/10)
11,000円 |
4/5(9/10)
9,000円 |
業務特例・地域特例 | 4/5(10/10)
15,000円 |
4/5(10/10)
15,000円 |
4/5(10/10)
15,000円 |
大企業の場合
判定基礎期間の初日 | 令和3年
5月~12月 |
令和4年
1月・2月 |
令和4年
3月 |
原則的な措置 | 2/3(3/4)
13,500円 |
2/3(3/4)
11,000円 |
2/3(3/4)
9,000円 |
業務特例・地域特例 | 4/5(10/10)
15,000円 |
4/5(10/10)
15,000円 |
4/5(10/10)
15,000円 |
このように、令和4年度からは「原則的な措置」において金額が徐々に減額されていることが分かります。この金額は、いずれも一人あたりの上限額/日であり、( )内の助成率は解雇などを行わない場合に適用されます。また、期間ごとに以下のような条件が定められていますので、よく確認したうえで申請するようにしましょう。
※令和3年12月まで
- 原則的な措置⇒令和2年1月24日以降の解雇等の有無及び「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」
- 地域・業況特例⇒令和3年1月8日以降の解雇等の有無
※令和4年1月から
- 原則的な措置⇒令和3年1月8日以降の解雇等の有無及び「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」
- 地域・業況特例⇒令和3年1月8日以降の解雇等の有無なお、支給の目的・対象・助成率などは令和4年3月まで変更はありません。ただし申請書類は随時アップデートが行われていますので、最新の書類で申し込みを行う必要があります。様式が異なると、申請手続きに時間がかかったり、差戻しとなったりする可能性もありますので、気を付けておきましょう。
詳しい申請方法などは、厚労省の特設サイトより確認が可能です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
申請の窓口は、これまでと変わらず事業所の所在地を所管する都道府県労働局やハローワークとなりますが、「ネットで簡単に済ませたい!」「わざわざ事務所まで出向くのが大変」という方は、オンライン受付システムを利用してみるのも良いでしょう。ただし、こちらを利用する場合にはアカウントの設定が必要なため、初めて使用する場合にはメールアドレスの登録が必須となります。
雇用調整助成金のオンライン受付システムURL
https://kochokin.hellowork.mhlw.go.jp/prweb/shinsei/app/default/vP37Zj9yAGFjNpLi4oac7Q%28%28*/!STANDARD
まとめ
今回は、雇用調整助成金の最新情報について詳しく解説していきました。
中には支給上限額が引き下げられたことについて残念に感じる方もいるかもしれませんが、経済の先行きが見えない時代において、助成金の実施予定期間が令和4年3月まで延長されたことは事業主にとって安心材料となるはずです。
コロナの感染状況によっては、今後新たな助成金や支援策などが講じられる可能性もありますので、引き続き助成金関連の最新情報にはアンテナを張っておきましょう。