新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やまん延防止等重点措置などの影響で、ビジネスに影響を受けたり、売上が減少したりした中堅・中小・小規模事業者や個人事業主の方は多いのでは?と思われます。

そうした人々の事業継続や回復を目的として、政府は2021年11月に『事業復活支援金』という新たな経済対策を発表。当初、具体的な条件や申請方法などは公表されていませんでしたが、2022年1月18日に詳細が発表され、その全貌が明らかとなりました(規約等を含めた最終版の発表は2021年1月24日の週に公表見込み)。

とはいえ、公開されて間もない情報ということもあり、「条件に当てはまっていれば応募したいけれど、自分が支援対象となっているかよく分からない」と感じている個人事業主・経営者の方もいることでしょう。

今回は、2022年1月18日に更新された最新情報を踏まえて、事業復活支援金の概要や申請方法など制度の全貌を詳しく解説していきます。

事業復活支援金とは?

ではまず、事業復活支援金の内容からチェックしていきましょう。支援金の目的や給付の対象者、給付額などは以下の表のとおりです。

事業復活支援金の目的 新型コロナウイルスによって大きな影響を受けた中堅・中小・小規模事業者およびフリーランスを含む個人事業主を対象に、その影響を緩和する目的で支給されます。
給付の対象者 新型コロナの影響で、202111月~20223月のいずれかの月の売上高が、201811月~20213月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上または30%~50%減少した事業者が対象となります。

(中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主)

持続化給付金との違い 持続化給付金は「月の売上高が50%以上減少している事業者」が対象となりますが、事業復活支援金では「月の減少割合が50%とまではいかずとも、30%以上減少していれば」申請することが可能です。
給付額 業態(個人または法人)のほか、事業規模や売上減少率によっても支給額が異なります。

支給金額の違いは以下の表を参照ください。ただし、下記表の金額は上限額(上限額を6割として給付)であり、実際に給付される額は事業者ごとに異なります。

売上高の減少率 個人事業主の場合 法人の場合
年間売上高が

1億円以下※

年間売上高が

1億円以上~5億円※

年間売上高が

5億円以上~※

50% 50万円 100万円 150万円 250万円
30% 30万円 60万円 90万円 150万円

※法人においては、基準月(201811月~20213月の間で売上高の比較に用いた月)を含む、事業年度の年間売上高となります。

支援金の算出式

※2021年12月24日発表

給付額は、上記給付額を超えない範囲で「基準期間※1の売上高」と「対象月※2の売上高」に5をかけた額との差額となっています。

 

給付額=(基準期間※1の売上高)(対象月※2の売上高)×5

 

1 201811月~20193月、201911月~20203月、202011月~20213月のいずれかの期間のうち、売上高の比較に用いた月を含む期間

2 2021年~20223月のいずれかの月

開始時期 2022年124日の週後半から登録確認期間での事前確認受付がスタートします。

その後、2022131日の週から事務局にて申請受付が開始される予定です。

事前確認 不正受給や誤受給を防ぐため、申請希望者には「事前確認」が行われます。

事前確認とは、登録確認機関が、TV会議または対面にて、書類の有無の確認や質疑応答による形式的な確認を行うものです(継続支援関係にある場合は、電話での確認も可)

確認する内容

①「申請ID」「電話番号」「法人番号及び法人名(法人の場合)」「氏名及び生年月日(個人事業者等の場合)

②「継続支援関係」の有無

③「実施方法」、「確認の種別(一部確認・全部確認)」、「事前確認の対価(報酬)

④本人確認書類

⑤「確定申告書の控え」、「帳簿書類」、「通帳」の有無

※書類がない場合には、その理由について確認

⑥「帳簿書類」及び「通帳」のサンプルチェック

※基準月及び登録確認機関が任意に選んだ年月における取引の確認

⑦コロナの影響による売上減少について聴取及び該当項目

⑧宣誓・同意事項等を正しく理解しているか(口頭で確認)

 

ただし、継続支援関係の場合には(4)(6)(登録確認期間がすでに把握済みであれば(7))は省略可能です。上記を確認後に問題が無ければ 登録確認機関が事前確認通知番号を発行します。発行後、申請者はマイページより申請ができるようになります。

申請方法 ①事業復活支援金事務局が設置する予定のWebページにてアカウント登録

※一時支援金又は月次支援金の既受給者は、作成済のアカウントを活用できます

 

②申請に関わる基本情報を記載の上で、以下の必要書類を添付

確定申告書・対象月の売上台帳等・履歴事項全部証明書(法人)、本人確認書類(個人) ・通帳(振込先が確認できるページ宣誓)・同意書・基準月の売上台帳等※ ・基準月の売上に係る取引分の請求書※・領収書等・基準月の売上に係る通帳等(取引が確認できるページ)※

※一時支援金や月次支援金未受給かつ登録確認機関と継続支援関係なしの場合に提出

 

③申請ボタンを押下

(オンラインでの申請が困難な方には、申請のサポートを行う会場の設置を予定)

このように、今回の「事業復活支援金」は、給付額に差を設け、コロナで影響を受けた事業者や個人を幅広く支援する内容となっているのが特徴となっています。過去に行われていた持続化給付金(現在は受付終了)とは異なり、月の減少割合が30%以上であれば申請することができるため、今までの助成金や支援金では対象外だった方も、今回は対象となる可能性があります。そのため「支援金を申請したい」「支援金の対象になるかもしれない」と思ったら、まずは対象月の売り上げ減少額などを計算する、相談窓口に問い合わせるなどして、具体的なアクションを起こしてみることをおすすめします。

事業復活支援金事務局窓口

申請者専用

TEL:0120-789-140
IP電話等からのお問い合わせ先:03-6834-7593(通話料がかかります)

登録確認機関専用

TEL:0120-886-140
IP電話等からのお問い合わせ先:03-4335-7475(通話料がかかります)

いずれの相談窓口も受付時間は、8時30分~19時00分となっています。土日、祝日含む全日対応ですが、混雑も予想されるので、なるべく時間には余裕を持ってお問い合わせをするようにしましょう。

事業復活支援金の注意点

法人では最大250万円、個人では最大50万円が支給されるという非常に魅力的な内容の「事業復活支援金」ですが、申請において注意しておかなければならない点もあります。

それは、あくまで今回の支援金の対象は「コロナ禍の影響」によるものという点です。つまり、会社の業績悪化によるものは不可ということになります。当然、新型コロナウイルスの影響に伴う「営業活動の自粛による売上低下」であることがしっかりと理由付けできれば問題はありません。しかし、過去の給付金支給において不正受給が大きな社会問題になったこともあり、今回の申請においては「不正防止対策を徹底する」という姿勢を見せている点には注意しておく必要があります。

ちなみに、新型コロナウイルス感染症によって予想される影響には、以下のような具体例を経産省が発表していますので、申請する前には必ず目を通しておきましょう。

需要の減少による影響

①国や自治体による、自社への休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少

②国や地方自治体による要請以外で、コロナ禍を理由として顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベント等の延期・中止に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少

③消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行に伴う、自らの財・サービスの個人需要の減少

④海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制に伴う、自らの財・サービスの海外現地需要の減少

⑤コロナ関連の渡航制限等による海外渡航客や訪日外国人旅行客の減少に伴う、自らの財・サービスの個人消費機会の減少

⑥顧客・取引先※が(1)~(5)のいずれかの影響を受けたことに伴う、自らの財・サービスへの発注の減少
※ 顧客・取引先には他社を介在した間接的な顧客・取引先を含む

供給の制約による影響

⑦コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な財・サービスの調達難

⑧国や地方自治体による休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な取引や商談機会の制約

⑨国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な就業者の就業制約

今後のスケジュール

実は2022年1月18日の発表は「最終発表」ではありません。2022年1月24日の週に、「最終的な事業復活支援金の制度詳細」が公表される予定となっているため、それまでは修正・加筆等が行われる場合もあります。そのため、事業復活支援金の申請を検討している方は、常に最新の情報が入手できるようアンテナを張っておきましょう。

1月18日

  • 概要資料の公表
  • 申請を検討している方等からの給付対象及び保存書類等に関する質問の募集開始
  • 事務局コールセンターおよび事務局ウェブサイトの開設
  • 事前確認スキームの詳細の公表
  • 登録確認機関の登録受付の開始

1月24日の週

  • 事業復活支援金の制度詳細の公表
  • 事業復活支援金の事前確認の受付開始

1月31日の週

  • 事業復活支援金の通常申請の受付開始
    ※特例申請については、2月中旬に申請受付開始の見通し

まとめ

今回は、事業復活支援金の概要や申請時の注意点、今後のスケジュールなどについて、2021年1月18日発表の情報をもとに詳しく解説していきました。

この事業復活支援金は、これまでの支援金や助成金と比べて支給条件が緩やかなため、月の減少割合が30%以上の法人や個人事業主であれば業種や地域に関わらず申請することが可能です。以前は支援が受けられなかったという方も、今回は対象となる可能性がありますので、「自分はどうせ対象にはならないだろう」と諦めずに、ぜひ申請条件を確認してみてください。

 

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