新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やまん延防止等重点措置に伴い、売り上げが減少したり、ビジネスに影響が出たりした中堅・中小・小規模事業者や個人事業主の方は少なくないでしょう。そうした方の事業継続・回復を目的として打ち出されたのが「事業復活支援金」。この「事業復活支援金」は、業種や所在地を問わず、新型コロナウイルスの影響で売上が減少した方・企業を対象に、事業規模に応じた給付金が支給される制度です。
2022年1月31日より通常申請の受付が開始しているため、すでに支援金の受給をされた方もいるかもしれませんが、2月18日付で新たな情報がアップデートされましたので、その内容について今回は詳しく見ていきたいと思います。
目次
事業復活支援金の給付スケジュール
事業復活支援金を受給するためには、「事前確認」の受付を行う必要があります。事前確認とは、不正受給や給付対象を誤って理解したまま申請してしまう事への対応として行われる給付金申請前の確認です(事前確認の完了を持って給付対象となるわけではありません)。こちらの受付に関しては、2022年1月18日から新規受付をスタートしており、同27日より実際の事前確認が始まっていますが、新規受付終了は2022年4月15日までとなっていますので、申請予定の方は注意しておきましょう(事前確認自体は同年5月26日で終了)。
また、事前確認後の通常申請は、2022年1月31日よりスタートしており、特例申請の受付は同年2月18日から始まっていますが、いずれの申請も申請受付終了は同年5月31日です。差額給付の再申請受付は同年6月以降に予定されていますが、こちらのスケジュールは未決定となっています。
特例申請とは?
先ほど、特例申請は2022年2月18日から申請がスタートすると書きましたが、「特例申請が何か分からない」という方もいることでしょう。ここでは特例申請について説明します。
特例申請とは、証拠書類等および給付額の算定額に関する特例のことであり、以下のような事例のことを指します。
- 証拠書類等に関する特例:確定申告義務がない場合、確定申告書が合理的な理由で提出できない場合
- 季節性収入特例:月あたりの事業収入の変動が大きい中小法人、個人事業者など
- 合併特例:2020年1月以降かつ基準月からの対象月の間に合併をした中小法人など
- 事業承継特例:2020年1月以降かつ基準月からの対象月の間に事業の継承を受けた個人事業者等
- 法人成り特例:2020年1月以降かつ基準月からの対象月の間に個人事業者から法人化した者
- 新規開業特例:2019年又は2020年に開業した中小法人等・個人事業者等、または2021年1~10月の間に開業した中小法人等・個人事業者
- 連結納税特例:連結納税を行っている中小法人等
- 罹災特例:2018年又は2019年の罹災を証明する罹災証明書等を有する中小法人等・個人事業者
- NPO法人、公益法人等特例:特定非営利活動法人及び公益法人等
これらに当てはまるものについては、給付額の算出方法がそれぞれ異なります。また、各特例を用いた場合には必要書類が異なるほか、必要に応じて追加書類を求められる場合がありますので注意が必要です。詳しくは、下記の書類に記載がありますので、該当する方は参照してみて下さい。
【経済産業省「事業復活支援金の詳細について」】
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_fukkatsu/pdf/summary.pdf
差額給付申請とは?
差額給付金は、30%以上50%未満の売上高減少で事業復活支援金の給付を受けた方のなかで、申請を行った月より後の対象期間内の月で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、申請時には予見できなかった50%以上の売上高減少が生じ給付算定額がより高くなる方に対して、差額分を給付する追加申請制度です。こちらは3月までを見通し、1回限りの申請を行うことが原則となっています。
追加申請の受付開始は、初回申請の分の申請受付終了後を予定していますが、詳しい手続き方法やスケジュールなどはまだ決まっていません。中小企業庁が発表する資料では、「今後お知らせ予定」となっていますので、該当する可能性がある方は、最新のニュースにアンテナを張っておきましょう。
給付対象外の例
ここまで事業復活支援金のスケジュールや申請内容について説明してきましたが、ほかの助成金や給付金と同様、事業復活支援金も「申請すれば誰もがもらえる給付金」というわけではありません。場合によっては申請条件を満たしていたとしても、承認が得られないケースもありますので、その事例について確認しておきましょう。
- 対象月の売上が30%以上減少しているが、新型コロナウイルス感染症影響を受けていない場合など、給付要件を満たしていないケース
- 事業復活支援金の給付通知を受け取った方が、再度申請するケース
- 持続化給付金、家賃支援金、一時支援金又は月次支援金で不正受給を行ったことがあるケース
- 公共法人、風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者、政治団体、宗教法人
このほかにも、事業復活支援金の趣旨・目的に照らして適当でないと判断される場合は支給不可となる可能性がありますので、支給条件や支給対象外となる事例についてはあらかじめ確認しておく必要があります。
事業復活支援金の振り込みが早く行われるには?
1月31の事業復活支援金の申請受付がスタートして以降、多くの事業者が申請を行っていますが、給付金が振り込まれるのは2週間程度とは言われているものの、事業者によっては1月31日に申請した後2月7日には振込があったというようにわずか1週間で振り込みがあったということもあるようです。具体的に何をしたら早く振り込まれるということは明確ではありませんが、申請を行ってから特に不備がなければ、3~4日程度でマイページ上のステータスが変更(申請→「申請内容確認中」→「お振込み手続き中」→お振込手続完了)、不備はなく入金されることが確定となります。そうなれば3営業日程度で振り込みが完了する、という流れとなるようです。
一説には「早めの申請」「書類不備がない」「過去に一時支援金・月次支援金を受給している」場合には早く申請受理される可能性は高くなるようです。
早めに申請すること
先ほど述べたように、事業復活支援金は申請開始以後、既に大多数の事業者が申請しているため、日が経ては経つほど申請数の増加が起こり、審査給付が遅れる可能性があります。もちろん企業によって申請可能な月が異なることもあるとは思いますが、できる限り早めに申請を済ませるようにしましょう。
書類不備がないこと
必要書類は当然全て揃えておかなければなりません。書類に不備があれば、審査が遅れ給付が遅くなります。中には、月次支援金・一次支援金にて提出した書類と同形式だったにも関わらず不備ということで戻されてしまった人も。
ルール通りに書類を作成しているか、計算は正しく行われているかしっかり確認しておきましょう。
過去に一時支援金・月次支援金を受給している
以前一次支援金・月次支援金を受給していた場合には、事前確認が不要となり、一部書類提出が不要となります。当然提出・確認しない分審査は速くなります。ただし、一時支援金または月次支援金の給付を受けた直近の申請時点より事業形態(中小法人等、個人事業者等、雑・給与所得で確定申告した個人事業者等)や、申請主体(合併や事業承継、法人成り)の変更があった場合には事前確認を再度受ける必要があります。
事業復活支援金では、不正受給や誤って理解して申請しないよう、申請希望者が「(1)事業を実施しているか」「(2)新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか」「(3)事業復活支援金の給付対象等を正しく理解しているか」について、事務局が登録した「登録確認機関」によってTV会議か対面にて事前確認します。登録確認機関と「継続支援関係(法律に基づき特別に設置された機関の会員・組合員、法律に基づく士業の顧問先、預金取扱期間の事業性融資先、登録確認期間の反復継続した支援先)」に該当する場合、帳簿書類の有無の確認を省略することができ、また、電話で(2)(3)に関する質疑応答のみの事前確認とすることができます。さらに登録確認機関が申請希望者の新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の要因を把握している場合は(2)を省略することも可能となります。
まとめ
今回は、2022年2月18日時点版の「事業復活支援金」の資料を基に、申請の流れや特例申請、差額給付申請、事業復活支援機を早くもらう方法などについて詳しく解説していきました。こちらは、通常申請(2022年1月31日~)だけでなく、特例申請(2022年2月18日~)についても、すでに申請が開始されています。事業復活支援金の支給条件に該当する方で、まだ申請を行っていない方は、ぜひお早めに申請することをおすすめします。,