新型コロナウイルスによる影響で、事業活動に影響を受けたり売り上げが減少したりした中堅・中小・小規模事業者や個人事業主の方も多いと思われます。そうした人々の事業継続・回復を目的として、政府が新たに打ち出した経済対策が2021年11月19日発表の『事業復活支援金』です。支援金の上限額は事業規模や売上減少額によっても異なりますが、借り入れのような返済義務は一切無いため、「条件を満たすのであれば申請をしてみたい」「まずは自分が対象となるか知りたい」と考えている経営者や個人事業主の方もいることでしょう。

そこで今回は、事業復活支援金の制度内容や支給時期について詳しく解説していきます。

事業復活支援金とは?

では早速、事業復活支援金の内容を見ていきましょう。支援金の目的や対象者、給付額などは以下の表のとおりです。

事業復活支援金の目的 新型コロナウイルスの影響を受け、売り上げが減少した中堅・中小・小規模事業者およびフリーランスを含む個人事業主を対象に、その影響を緩和する目的で支給。
給付の対象者 新型コロナの影響で、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、

2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上または30%~50%減少した事業者(中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主)

持続化給付金との違い 持続化給付金は「月の売上高が50%以上減少している事業者」が対象。一方で、事業復活支援金では月の減少割合が50%とまではいかずとも、30%以上であれば申請することができる。
給付額 業態(個人または法人)のほか、事業規模や売上減少率によっても支給額が異なる。

支給金額の違いは以下の表を参照。

売上高の減少率 個人の場合

法人の場合

年間売上高が

1億円以下

年間売上高が

1億円以上~5億円

年間売上高が

5億円以上~

50 50万円 100万円 150万円 250万円
30 30万円 60万円 90万円 150万円

※金額は上限額(上限額を6割として給付)

※参考URLhttps://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2021/hosei/jigyo_fukkatsu.pdf

開始時期 補正予算成立後、所定の準備期間を経て申請受付が開始される(予定)
申請方法 不正受給や誤受給を防ぐため、申請希望者には「事前確認」が行われる見込み。迅速な給付に対応するため、過去の申請情報や確認結果などが活用される可能性もあるが、具体的な内容については未定。
申請から支給までの期間 およそ2週間程度となる見込み。

このように、今回の「事業復活支援金」では給付額に差を設けることで、コロナで影響を受けた事業者や個人を幅広く支援する内容となっているのが特徴となっています。過去に行われていた持続化給付金(現在は受付終了)とは異なり、月の減少割合が30%以上であれば申請することが可能であるため、より多くの人が申請対象となるものとみられてい
ます。

ただし、具体的な申請方法や申請期間などは現時点ではまだ決まっていないため、今のうちに売上高の減少率だけでも計算しておくと、受付開始したタイミングでスムーズに申請に臨めるでしょう。

ポイントとなるのは「コロナ禍の影響」であるという点です。つまり、会社の業績悪化によるものではだめである、ということです。とはいえ、一般的にはコロナ禍による営業活動の自粛による売上低下といったことは通常の事業活動を行っていれば当然起こり得ることですので、きちんとした理由付けができるのであれば、給付金申請対象者にあたると思われますが、前回の持続化給付金における不正受給が大きな社会問題になったこともあり、今回の申請において、中小企業庁は特に不正防止対策を徹底するという姿勢を見せている点に注目です。

事業復活支援金の計算式

2021年12月24日に追加情報として事業復活支援金の算出式が公表されました。それによると、給付額は、上記給付額を超えない範囲で「基準期間※1の売上高」と「対象月※2の売上高」に5をかけた額との差額となったようです。

給付額の計算式
給付額=(基準期間※1の売上高)―(対象月※2の売上高)×5

※1 2018年11月~2019年3月、2019年11月~2020年3月、2020年11月~2021年3月のいずれかの期間のうち、売上高の比較に用いた月を含む期間。
※2 2021年~2022年3月のいずれかの月

事業復活支援金の注意点

法人では最大250万円、個人では最大50万円が支給されるという非常に魅力的な内容の「事業復活支援金」ですが、申請において注意しておかなければならない点が2つあります。

それは、

  • 支給時期が決定していない
  • 問い合わせ先が現在準備中

という点です。

多くのメディアでは、「臨時国会の会期は2021年12月21日までとなっているため、予算が成立したタイミングで支援金に関する何らかの情報公開がある」と言われてきました。しかし、2021年12月22日時点において「事業復活支援金」に関する新たなニュースや情報等は入ってきていないようです。なるべく迅速な支給を願いたいものの、このスケジュール感では「年内の支給開始は難しい」かもしれません。

とはいえ、2021年12月20日の段階で補正予算はすでに成立しています。今回の補正予算では、「感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援」という項目で、医療提供体制の確保とあわせて、コロナの影響を受ける事業者に対する支援、生活や暮らしへの支援などに関する予算が明確に計上されています。「事業復活支援金」についても2兆円を超える予算が下りています。そのため、具体的な内容や申請方法については近日中の発表を期待したいところです。

申請を検討している方は、「気づいたら申請受付期間が残り数日しかない・・」「いつの間にか申請期間が終わっていた」ということにならないよう、常に最新のニュースをチェックしておきましょう。

また、なかには「今のうちから支援金について条件や内容を詳しく確認しておきたい」「気になる点があるので問い合わせをしたい」と考えている法人や個人事業主の方もいるかもしれません。しかし、事業復活支援金の問い合わせ窓口は現在準備中となっており、窓口情報は開示されていません。こちらも申請時期と同様に情報開示を待つ必要がありますので、注意しておきましょう。

2021年12月27日現在で、経済産業省が後悔している「事業復活支援金」の内容については、以下のURLから参照することが出来ます。正式な情報が気になる方はぜひ、こちらもチェックしてみてください。

<令和3年度補正予算案>コロナの影響で売り上げが減少している皆様へ ー事業復活支援金ー

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2021/hosei/jigyo_fukkatsu.pdf

まとめ

今回は、事業復活支援金の内容や注意点について詳しく解説していきました。この支援金は比較的支給条件が緩やかであり、業種や地域に関わらず、月の減少割合が30%以上の法人や個人事業主であれば申請することが可能です。これまでの給付金や助成金ではサポートが十分に受けられなかった方も、十分に対象となり得ますので、「今回も自分は対象外だ…」「どうせ対象にはならないだろう」と諦めずに、ぜひ申請条件を確認してみてください!

ただし2021年中の申請開始は時期的に考えて難しいところ。申請を検討している方は、年末年始の報道やニュースなどにもアンテナを張り、情報収集しておくことをおすすめします。

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