2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、客足が落ちてしまったり休業を余儀なくされたりして「売上が落ち込んでしまった」「外出自粛の影響を被った」といった中小小規模事業者や個人事業主は数多くいます。
そうした企業や人々を救済するため、政府は2021年4月以降に実施された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響により、売上が減少した事業者を対象として「月次支援金」を給付することを発表しました。
この耳慣れない月次支援金とは一体どのようなものなのでしょう?
ここでは、月次給付金の支給対象や給付額、申請方法などについて詳しく解説していきますので、「自分も給付金対象に該当するのでは?」と思った方はぜひ支給要件などを詳しく確認していきましょう。
月次支援金の概要について
月次給付金とは、2021年4月以降に実施された「緊急事態宣言」または「まん延防止等重点措置」の影響を受けた事業者の事業継続や立て直し、またはそのための取組み支援を目的とした給付金のことを言います。
月次支援金の支給期間は2021年6月の現時点で、2021年4月~2021年6月の3か月分が対象となっています。
月次給付金の概要は次の通りです。
支給要件 | ・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、飲食店の休業や時短営業または外出自粛等の影響を受けていること ・2021年の月間売上が2019年または2020年の同月と比べて50%以下であること ※上記の両条件を満たす必要あり ※業種や所在地は問わない |
給付額 | 2019年または2020年の基準月の売上2021年の対象月の売上=給付額 ※ただし中小法人等は上限20万円/月・個人事業主等は上限10万円/月となる |
対象期間 | 対象措置が実施された月(2021年4月~2021年6月)のうち、2019年または2020年の同月比で売上が50%以上減少した月 ※今後の状況によっては、期間が延長される可能性もあり |
給付単位 | 各店舗・各事業で給付されるのではなく、事業者単位で給付される |
申請期間 | 4月・5月分→2021年6月16日(水)~2021年8月15日(日) 6月分→2021年7月1日(木)~2021年8月31日(火) |
申請方法 | サイトからのオンライン申請(方法については後述) |
給付対象の具体例
支給要件を満たせば、業種や所在地は不問とされている月次支援金ですが、それでも「自分は対象となるのだろうか?」「どんな例が該当するのか?」と気になる方もいらっしゃることでしょう。
そこでここでは給付対象の具体例をご紹介していきます。
給付対象の具体例としては、
- 対象措置実施都道府県のお客様に商品・サービスを提供する全国の事業者
- 上記1.の事業者と取引がある全国の事業者
の2つに大きく分けられています。
ここからはそれぞれについて詳しく見ていくことにしましょう。
1. 対象措置実施都道府県のお客様に商品・サービスを提供する全国の事業者
まず1に該当するケースですが、具体的な例としては以下のようなものが挙げられています。
日常的に訪れるお店
アパレルショップ、食料品店、小売店、美容院、マッサージ店など
教育関連の事業者
学習塾、スポーツの習い事など
医療・福祉関連の事業者
病院、福祉施設、ドラッグストア、薬局など
文化・娯楽施設の事業者
スポーツ施設、劇場、博物館など
旅行関連の事業者
ホテル、タクシー、レンタカー、旅館、旅行代理店など
2. 1の事業者と取引がある全国の事業者
一方2に該当するケースでは、次のような具体例が挙げられています。
- 経営コンサルタントや士業など専門サービスを提供する事業者
- システム開発などのITサービスを提供する事業者
- 映像、音楽、書き物のデザイン、制作などを行う事業者
- 飲料者食料品の卸売を行っている事業者
- 農業や漁業を営んでいる事業者
こちらは、他者を経由して(1)の事業者に商品やサービスを提供している事業者も含まれていますので、かなり広い範囲で給付対象になることが考えられます。そのため、自社が給付対象に該当しているかどうかわからない場合には、相談窓口に確認するのが賢明です。
月次支援金の給付対象とならないケース
このように月次支援金では、ほとんどの業種が支給の対象として網羅されていることが分かりますが、中には給付対象とはならない事例もあります。
月次支援金の給付対象外となるのは次のようなケースです。
事業活動に季節性がある場合(夏場の海水浴場など)
繁忙期や農産物の出荷時期以外など、本来ならば事業収入を得られない時期を対象月として、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で事業収入が減少したわけではないのに給付を申請すること。
売上計上基準の変更または取引時期調整を行った場合
対象措置とは関係なく、売上計上基準の変更や顧客との取引時期調整などにより、対象月の売上が減少している場合に給付を申請すること。
営業日数が少ない場合
対象措置とは関係なく、ただ単に営業日数が少ないことで、対象月の売上が50%以上減少している場合に給付を申請すること。
給付要件を満たしていない場合
売上が50%以上減少している、または対象措置実施都道府県に所在する事業者でありながら、給付要件を満たしていないにもかかわらず給付を申請すること。
協力金の支給対象となっている場合
地方公共団体による対象月における休業や時短営業要請に伴う「協力金」の支給対象となっている事業者が給付金を申請すること。
上記のようなケースでは、月次給付金は申請および受給することができません。もし対象と偽って受給してしまうと不正受給となってしまいますので、申請前には必ず支給要件を確認し、誤って受給することがないように気を付けておきましょう。
月次支援金の申請方法について
支給対象者となっている場合、具体的にどのように月次支援金を申請すれば良いのでしょうか?
月次支援金申請のポイントは以下の3つ
- 対象月ごとの申請であること
- オンライン申請であること
- 各対象月について、申請や需給は1回のみであること
です。
1回目の月次支援金申請の場合
月次支援金をはじめて申請する際の手続き方法は次のようになります。
- アカウント申請および登録(仮登録後、本登録が必要)
- 必要書類の用意(※下記に参照)
- 月次支援金ホームページより登録確認機関を検索し、メールか電話で事前予約
- TV会議・対面・電話のいずれかで事前確認の実施
- 月次支援金ホームページよりマイページにアクセスし、必要事項を入力、必要書類を添付して申請
月次支援金のマイページは、その都度入力情報が保存される仕組みになっています。そのため、一度に全ての情報登録をしなくても空いた時間に少しずつ項目を埋めていくことも可能です。
(※)申請時に必要な書類
- 履歴事項全部証明書(法人)
- 本人確認書類(個人) 本人確認書類は「運転免許証」「マイナンバーカード」「住民票+パスポートor各種健康保険証」のいずれか
- 収受日付印の付いた2019年、2020年の確定申告書類の控え(法人・個人それぞれのものを提出)
- 2019年1月から2021年対象付までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書など)
- 2019年1月以降の事業の取引を記録している通帳
- 代表者または個人事業者等本人が自筆した宣誓・同意書
の5つセットとなっていますので、申請前にあらかじめ用意をしておきましょう。
書類提出における注意点として
- 主な収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等の場合や、特例を用いる場合等においては他に必要書類あり
- 給付要件を満たさない恐れがある場合、その他種類提出が求められる場合あり
といったことがあり得ます。
また、飲食店の休業や時短営業または外出自粛等の影響を示す書類として、最終的な取引先が対象措置実施都道府県で時短営業要請を受けた飲食店または消費者であることを示す書類を保存しておく必要があります。
こちらは申請時における提出は不要であるものの、申請後に提出を求められる場合があるため、しっかり保管しておきましょう。基本的には7年間の保存が必要となります。
すでに一時支援金を申請したことがある場合、また2回目以降の月次支援金の申請の場合
申請する事業者の負担軽減や利便性向上を図るため、2021年1月に発令された緊急事態宣言による影響緩和のための「一時支援金」を申請したことのある事業者は、提出書類の簡略化や事前確認などの措置が取られることが決定しています。
また2回目以降の月次支援金を申請する場合も同様となり、その場合には、支援金の申請用ホームページからマイページにアクセス後、必要事項を入力して、支援対象となる月の「売上台帳」を添付するだけで申請完了となります。
すでに一度申請している方の申請はとても簡単かつスピーディーに申請できるため、忙しい事業者にとって手間を省くことができるようになっています。
月次支援金の相談窓口について
ここまで月次支援金の支給要件や申請方法について具体的にお伝えしてきましたが、それでもなお「支給対象者となるかよくわからない」「申請方法に迷ってしまった」というケースがあるかもしれません。
そんな時には、月次支援金のホームページの「よくある質問」を確認したり、コールセンターへ問い合わせしたりするのが手っ取り早くて簡単に問題を解決できることでしょう。
★月次支援金の「よくある質問」についてはこちら
https://ichijishienkin.go.jp/getsujishienkin/faq/index.html
★月次支援金の問い合わせ窓口はこちら
https://ichijishienkin.go.jp/getsujishienkin/inquiry/index.html
問い合わせ窓口は、2021年6月末現在では電話対応のみとなっています。
受付時間は、土日祝日含む全日対応で8:30~19:00までとなっています。ただし平日はかなり込み合っており、比較的土日祝日は電話が繋がりやすいとのことなので、問い合わせは混雑時を避けて利用するようにしましょう。
まとめ
月次支援金はホームページからの申請が基本となっているため、パソコン操作に不安を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、入力項目に沿って記入していけばスムーズに申請ができる仕組みになっています。
この月次支援金は支給に関して条件や上限があるものの、「緊急事態宣言」または「まん延防止等重点措置」の影響を受けた事業者にとっては是非とも受けたい支援の1つです。
支給要件に該当する方は、ぜひこの機会に申請をしてみることをお勧めします。