中小企業省力化投資補助金まとめ

日本政府は、令和5年度の補正予算において、「省力化・省人化に向けた補助事業」に着手することを方針として決めました。なかでも中小企業省力化投資補助金(省力化補助金)は多額の予算が投入されることもあり、注目されている補助事業となっています。なお、2024年3月に公募開始予定となっています。

今回は中小企業省力化投資補助金についてまとめてみました。情報は常にアップロードされていますので、気になる方は中小企業庁のホームページなどを確認しておきましょう。

ちなみに、現在中小企業の省力化・省人化への支援・環境整備については以下のような施策が考えられています。

中小企業の省力化・省人化への支援・環境整備
  • 簡易で即効性がある省人化・省力化支援に向けた中小企業等事業再構築促進事業の再編(経済産業省)
  • 物流効率化に向けた先進的な実証事業(経済産業省)
  • 家事負担軽減による人手不足解消に向けた「ライフステージを支えるサービス導入実証等事業」(経済産業省)
  • 中堅・中小企業の持続的賃上げに向けた省人化等の大規模成長投資の促進(経済産業省)
  • 生産性向上に向けた設備投資等の費用を助成する「業務改善助成金」(厚生労働省)<再掲>
  • 中小企業等の生産プロセス効率化・高度化等を支援する「中小企業生産性革命推進事業」(経済産業省)<再掲>
  • 対内直接投資促進及び中堅・中小企業の海外展開の支援事業(経済産業省)
  • 介護等の社会生活を支える職種における安定的な労働力確保のための「人材確保対策推進事業」(厚生労働省)
  • 求人の確保と求人充足サービスの充実(厚生労働省)
  • 看護補助者の確保・定着支援事業(厚生労働省)
  • 建設技能者への適切な賃金支払いの確保に向けた建設キャリアアップシステムの改修等(デジタル庁)
  • 建設業における適切な労務費や賃金行き渡りの確保(国土交通省)
  • 船員教育の質の向上・充実に向けた環境・施設整備(国土交通省)
  • 造船業における人材の確保・育成(国土交通省)
  • インバウンド需要の取り込みや航空ネットワークの維持・活性化に必要な操縦士養成
  • 確保策と養成施設の機能維持・強化(国土交通省)
  • 教職員の業務の省力化を支援する「探究的な学びに資する民間サービス等利活用促進事業」(経済産業省)
  • 国家公務員の職場環境整備を通じた働き方改革の推進(内閣官房・厚生労働省)
  • 医療・介護・障害福祉分野における処遇改善支援事業(厚生労働省、こども家庭庁)
  • 外国人介護人材の活用を含めた介護人材の確保・定着に資する取組への支援(厚生労働省)
  • 事業承継税制に係る特例承継計画の提出期限の延長等 17(経済産業省)【税制】
  • 36 協定の本社一括届出の対象の拡大(内閣府・厚生労働省)
  • 地域の経済と雇用の基盤を支えるための「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」(経済産業省)<再掲> など

引用参照「デフレ完全脱却のための総合経済対策」

中小企業省力化補助金とは?

独立行政法人中小企業基盤整備機構が主体となって行われ、中小企業省力化投資補助事業として展開される「中小企業省力化補助金(省力化補助金)」とは、物価上昇や労働力不足に直面している中小企業を支援するための制度です。IoT、ロボット技術、人工知能(AI)といった労働力問題の緩和に貢献する先進技術への投資を奨励する補助金となります。この補助金は、中小企業の付加価値や生産効率の向上を促し、結果的に賃金の上昇を目指すことに焦点が当てられており、令和5年度の補正予算額は1,000億円となっています。

中小企業省力投資補助事業については次のような事業内容が報告されています。

中小企業省人化投資補助事業の目的

中小企業省人化投資補助事業は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対し、省力化投資支援を行います。これによって、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることが大きな目的です。

事業概要としてはIoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進します。なお、中小企業等事業再構築促進基金を用いてこれまで実施してきた、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための新市場進出や事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取組を通じた規模の拡大など、企業の思い切った事業再構築の支援については、必要な見直しを行っていきます。

少子高齢化によりこれから働き手はどんどん減っていきます。人手不足はこれまでもさんざん言われている日本が抱える問題点ではありますが、2024年問題が目前にせまり、多くの中小企業では非常に深刻な問題となっています。そんな中、中小企業が生き残るためには人間の生産性を高めることはもちろん、人間以外の機器やソフトにも頼っていかなければ事業継続は難しくなってきますので、人材確保に苦しむ中小企業にとってはぜひとも活用したい補助金といえるでしょう。

中小企業省力化投資補助金の補助額について

中小企業省力化投資補助金の補助額ですが従業員数によって異なりますが、比較的従業員数が小さい企業向けの補助金になります。

(引き上げ前)
  • 5名以下の小規模事業所:最大200万円
  • 6名以上20名以下の中規模事業所:最大500万円
  • 21名以上の大規模事業所:最大1000万円

なお、この補助額は賃上げが実施されることにより1.5倍引き上げられます。

(引き上げ後)
  • 5名以下の小規模事業所:最大300万円
  • 6名以上20名以下の中規模事業所:最大750万円
  • 21名以上の大規模事業所:最大1500万円

なお、補助率については一律で1/2の補助となっています。流れとしてはまず国からの補助が独立行政法人中小企業基盤整備機構に対して行われ、そこから1/2の補助が中小企業などに行わるといったイメージです。

申請類型としては省力化投資補助枠(カタログ型)とされています。これは、申請を希望する企業は、IoTやロボットといった製品がリストアップされた「カタログ」から、必要な製品を選び出して導入する流れとなります。このカタログに掲載された製品の設備導入額が補助金対象となりますが、現在はまだカタログ自体が公表されていないので、今後発表されていくのを待ちましょう。

ただし、カタログに掲載される予定との製品は、製造業の産業用ロボットや宿泊業や飲食業の清掃ロボット、調理ロボット、配膳ロボット、介護ロボット、受付接客業務担当ロボットなど、物流業界では運搬ロボット、積み荷の積み下ろしロボット、建築業における測量ドローン、農業における自動走行トラクターなどが検討されているようです。

中小企業省力化投資補助金の公募について

令和5年度の補正予算は2023年11月に成立されており、公募自体は2024年度に行われることはほぼ決定しています。カタログがまだ公表されていないため、こちらが発表されると公募が開始されると考えられています。予定では2024年3月より公募開始予定となっていますが3月24日現在まだ公募は開始されていません。公募については、現在のところ令和8年度の9月末まで約2年半にわたって15回(年間約6回)程度行われる予定とされていますが、現在は確定ではありません。新しい情報は逐一チェックしておきましょう。

おすすめの記事