東京都中央区「東京都制度融資「経営セーフ」に伴う保証料補助」まとめ

東京都には中小企業を支援するさまざまな制度融資があります。その中でも「経営セーフ」は、売上の減少や取引先の倒産、災害などによって経営が厳しくなった企業を支援するための融資制度です。

では、この融資はどのような内容で、どのような人が利用できるのでしょうか?また、中央区ではこの「経営セーフ」に関連した独自の補助制度があるとされていますが、具体的にどのようなものなのでしょうか?

本記事では、東京都中央区における「東京都制度融資(経営セーフ)」の概要と、それに伴う保証料補助について詳しく解説します。

そもそも制度融資とは?

制度融資とは、中小企業や個人事業主がスムーズに資金調達を行えるよう支援するための仕組みです。この制度は地方自治体、金融機関、信用保証協会の3者が連携して実行されるもので、公的な支援を受けられる点が特徴です。

具体的には、地方自治体が融資制度を設け、信用保証協会が借り手に対して保証を提供することで、金融機関がリスクを軽減しながら融資を実行します。これにより、通常の融資よりも条件が緩和され、中小企業や個人事業主が資金調達をしやすくなります。

制度融資は、利用者の事業規模や計画に応じた多様な選択肢を提供しており、それぞれに適した制度を検討することが必要です。たとえば、創業支援や事業再生、災害対応など、目的に応じたプログラムが用意されています。

低金利で融資可能

制度融資の金利は、一般的な金融機関の融資と比べて低く設定されている点が大きな魅力です。具体的には、1.5%~2.2%程度の低金利で融資が提供されるケースが多く、資金繰りに不安を抱える企業や個人事業主にとって、非常に助けとなる条件です。この低金利により、融資の返済負担が軽減され、経営資金を効率的に活用できるようになります。

信用保証料の補助が受けられる

制度融資の特徴の一つは、地方自治体が信用保証協会の保証料を補助してくれる点です。通常、信用保証料は融資額に応じて発生しますが、多くの制度融資では、自治体が保証料の一部(たとえば1/2や1/3)を補助してくれるため、利用者の負担が軽減されます。この補助により、資金調達にかかるトータルコストが抑えられるため、特に資金繰りが厳しい時期には大きな助けとなります。

連帯保証人が不要なケースが多い

制度融資のもう一つの特長は、連帯保証人が不要となる場合が多いことです。これは、国の「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、経営者保証を不要とする仕組みが導入されているためです。さらに、令和6年3月15日からは、信用保証料の上乗せによって経営者保証を提供しないことが選択可能な保証制度も始まる予定です。このような制度により、経営者が個人の資産や信用を提供しなくても融資を受けられる仕組みが整ってきています。これにより、事業者が安心して資金調達を行い、経営に集中できる環境が整えられています。

経営セーフとはどのような制度融資なのか?

令和6年度の東京都中小企業制度融資には、経営の安定化を目的としたさまざまな融資制度が設けられています。その中には「経営安定融資」「借換融資」「事業再構築・業態転換等支援融資」などがあり、それぞれ異なる状況に応じて利用可能です。

このうち「経営セーフ」は、特にセーフティネット保証の認定を受けた中小企業者や組合を対象とした融資制度です。セーフティネット保証は、売上の減少や取引先の倒産など、経営環境の急激な悪化に対応するための信用保証制度であり、「経営セーフ」はその保証を活用した融資の一つです。

融資条件概要

  • 資金使途が運転資金・設備資金であること
  • 融資限度額が「2億8,000万円(組合の場合は4億8,000万円)」
  • 融資期間は「10年以内(ただし据置期間2年以内を含む)」
  • 融資利率(年)は、責任共有制度の対象となる場合は以下の通りとなる
    ※信用リスクの80%を東京信用保証協会、また20%を金融機関が負担する
3年以内 1.7%以内
3年超5年以内 1.8%以内
5年超7年以内 2.0%以内
7年超 2.2%以内
  • 責任共有制度の対象外となる場合は以下の通りとなる
    ※信用リスクの全てを東京信用保証協会が負担する
3年以内 1.5%以内
3年超5年以内 1.6%以内
5年超7年以内 1.8%以内
7年超 2.0%以内
  • 返済方法は分割返済(元金据置期間は2年以内)となる。ただし融資期間が1年以内の場合一括返済とすることが可能
  • 融資形式は証書貸付となる。ただし融資期間が1年以内の場合は手形貸付とすることが可能
  • 信用保証料補助は信用保険法第2条第3項に定める小規模企業者に対し、信用保証料の「2分の1」が補助される
    ここでいう小規模企業者とは、(1)大型倒産企業の債権等保有、(2)取引先企業のリストラ、(3)事故等災害、(4)自然災害、(5)業況悪化業種(売上減少等)、(6)取引先金融機関の破綻等に遭遇したといった企業が該当する
  • 必要となる書類は「共通書類」のほか、区市町村長の認定書(信用保険法第2条第5項に係る認定)

東京都中央区において実施される「東京都制度融資(経営セーフ)に伴う保証料補助」とは?

「経営セーフ」は、運転資金や設備資金融資を必要とする企業が一定の条件を満たすことで利用できる融資制度です。特に中央区内に事業所を構える企業に対しては、独自の支援として保証料の一部(最大30万円)をさらに補助するお得な制度があります。

ただし、この補助を受けるには以下の条件をすべて満たす必要があり、決して簡単なハードルではありません。しかし、条件を満たしている場合には保証料が最大30万円まで補助されるため、活用しない手はありません。

中央区における「経営セーフ」交付条件

  1. 東京都都制度融資「経営セーフ」のうち、中小企業信用保険法第2条第5項第5号による認定に基づく保証制度を利用していること
  2. 指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者
  3. 指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
    ※セーフティネット保証5号の指定業種一覧
  4. 都が保証料の2分の1を補助していること
  5. 事業所が中央区の区域内にあり、かつ法人の場合本店又は支店の登記が区内にあること
  6. 令和7年3月31日までに東京信用保証協会の保証を受けた者
  7. 金融機関の融資が実行されていること
  8. 金融機関の融資が実行されてから3ヵ月以内であること

東京都制度融資「経営セーフ」に伴う保証料補助申請方法および記載方法

実際に保証料補助申請を行うにあたり、申請期間が定められていること、また申請に必要なものがあるため、必ずチェックしておきましょう。

まず申請期間ですが、融資を受けた日から3ヶ月以内と定められており、3か月以上経過した場合には保証料の補助は受けられませんので注意が必要です。

次に申請に必要なものとして、次のような4つが指定されています。

  1. 金融機関から受け取ることとなる保証協会発行の「信用保証決定のお知らせ」
  2. 申請用紙(3枚)
    (1)事業所の住所・事業所名・代表者名を3枚とも記入
    (2)1枚目・2枚目下段の口座振込先の内容を記入
    (3)金額欄および日付は記入しない
    ※融資の実行日を聞かれるため、事前に確認しておく必要があります
  3. ゴム印(社判など)
  4. 法人の場合は登記簿謄本が必要(原本かつ3ヶ月以内に発行されたもの)
    個人事業主の場合は直近の確定申告書、決算書、収支内訳書のいずれかの写しでかつ事業所の所在地の確認できるものが必要

申請には、中央区役所7階の商工観光課相談融資担当まで直接持参する必要があります。申請書は窓口で受け取ることができますが、中央区のホームページからもダウンロード可能です。

保証料の支払い時期についてですが、制度融資は一般的な銀行融資よりも、申し込みから着金までに時間がかかる傾向があります。申請から振込完了までには最長で2か月程度かかる場合があるため、融資が必要となる時期を見据え、逆算して申請を行うようにしましょう。

また、初めて制度融資を利用する方は、手続きの進め方がわからず戸惑うことがあるかもしれません。参考となるホームページや動画などもありますが、自己流で解釈した結果、申請が通らない可能性もあります。そのような事態を避けるためにも、少しでも不安がある場合は、制度融資に詳しい専門機関に相談し、適切なサポートを受けることをお勧めします。

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