経済産業省は省エネ設備の更新支援として「省エネ補助金」事業を行っています。これは国内で事業を営む法人や個人事業主を対象とした省エネ対策支援で、省エネ設備や機器の更新費用等の一部を国が支援してくれるものです。
もともとは「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の2つがありましたが、現在は省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金のみ募集が行われています(第3次公募中)。
ここでは、工場・事業場全体や電化・脱炭素目的の燃転を伴う設備更新において省エネを検討している方向けの「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」を詳しく紹介します。
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは?
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは、進的な省エネ設備や、工場・事業場に合わせた特注品、電化や脱炭素目的の燃転を伴う設備等の更新費用の一部を支援する補助金です。
支援策としては主に「工場・事業場型(I)」「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ)」「エネルギー需要最適化型(Ⅳ)」の3つがあります。
工場・事業場型(I)
工場・事業場型は、先進設備や工場、事業場全体で機器設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備などの導入支援を行うものです。導入支援方法は主に2つです。
先進設備・システムの導入
資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目にのっとり、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が設置した外部審査委員会で審査・採択した先進設備・システムへ更新等する事業のこと。
申請要件 | |
申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業 (1)省エネ率+非化石割合増加率:30%以上(2)省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上 (3)エネルギー消費原単位改善率:15%以上※複数の対象設備を組み合わせて申請する場合、各設備の省エネ効果の合算値で上記要件を満たすこと※非化石転換の場合も増エネ設備となる事業は対象外 |
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補助対象経費 | |
設計費・設備費・工事費 | |
補助率 | |
中小企業者等 2/3以内 |
大企業、その他 1/2以内 |
補助金限度額()内は非化石申請時 | |
【上限額】15億円/年度(20億円/年度) 【下限額】100万円/年度 複数年度事業の1事業当たりの上限額は30億円(40億円) 連携事業の上限額は30億円(40億円) |
オーダーメイド型設備の導入
機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備など(オーダーメイド型設備)へ更新等する事業のこと。
申請要件 | |
申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業 (1)省エネ率+非化石割合増加率:10%以上(2)省エネ量+非化石使用量:700kl以上 (3)エネルギー消費原単位改善率:7%以上※複数の対象設備を組み合わせて申請する場合、各設備の省エネ効果の合算値で上記要件を満たすこと※非化石転換の場合も増エネ設備となる事業は対象外 |
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補助対象経費 | |
設計費・設備費・工事費 | |
補助率 | |
中小企業者等 1/2以内 |
大企業、その他 1/3以内 |
補助金限度額()内は非化石申請時 | |
【上限額】15億円/年度(20億円/年度) 【下限額】100万円/年度 複数年度事業の1事業当たりの上限額は30億円(40億円) 連携事業の上限額は30億円(40億円) |
電化・脱炭素燃転型(Ⅳ)
電化・脱炭素燃転型は、化石燃料から電気への転換、より低炭素な燃料への転換など、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援するものです。SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した設備である「産業ヒートポンプ」「業務用ヒートポンプ給湯器」「低炭素工業炉」「高効率コージェネレーション」「高性能ボイラ」などから選択した設備導入を支援します。
ユーティリティ設備
- 高効率空調
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 変圧器
- 冷凍冷蔵設備
- 産業用モータ
- 制御機能付きLED照明器具
生産設備
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
申請要件 |
申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業 指定設備のうち電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入※電化・脱炭素目的の燃料転換を伴うこと(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)。対象設備は、SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した以下の指定設備(1)産業ヒートポンプ(2)業務用ヒートポンプ給湯器(3)低炭素工業炉(4)高効率コージェネレーション(5)高性能ボイラ 上記に該当しないその他SIIが認めた高性能な設備のうち、電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となる |
補助対象経費 |
設備費(電化の場合は付帯設備も対象) |
補助率 |
1/2以内 |
補助金限度額()内は電化の場合 |
【上限額】3億円/事業全体(5億円/事業全体) 【下限額】30万円/事業全体 複数年度事業の1事業当たりの上限額は3億円(5億円) |
エネルギー需要最適化型(Ⅳ)
エネルギー需要最適化型は、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約して SIIに登録されたEMS(エネルギーマネジメントシステム)を用い、より効果的に省エネルギー化およびエネルギー需要最適化を図る事業を言います。
申請要件 | |
申請単位で、「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす事業 | |
補助対象経費 | |
設計費・設備費・工事費 | |
補助率 | |
中小企業者等 1/2以内 |
大企業、その他 1/3以内 |
補助金限度額()内は電化の場合 | |
【上限額】1億円/事業全体 【下限額】100万円/事業全体 複数年度事業の1事業当たりの上限額は1億円 |
交付申請の流れ
交付までの流れは次の通りとなりますが、現段階で3次の公募期間は2024年7月23日(火)~8月30日(金)となっていますので、早急に申請を行うようにしましょう。
ステップ1:補助事業ポータルのアカウント登録する
補助事業ポータルのアカウント(ユーザ名とパスワード)を取得する
ステップ2:公募要領、手引き等を確認する
公募要領、パンフレット、交付申請の手引き等をよく読んで事業内容を理解する
ステップ3:更新する設備・システム等を検討する
既存設備の能力と稼働条件を踏まえ導入する設備を選定。導入予定設備が補助対象設備であるかも確認する
ステップ4:見積を取得する
見積取得を実施し、導入を検討している設備等がSIIの定める事業完了日までに手配可能であるか確認する。
※電化・脱炭素燃転型のみ3者以上から見積を取得する必要あり
ステップ5:申請パターンを検討する
申請する事業区分を次のように決定する
(1)設備ごとに省エネルギー量を算出
(2)事業全体の省エネルギー量を算出
(3)申請要件を満たす事業区分を確認
(投資回収年数、省エネルギー効果の要件)
ステップ6:交付申請に必要な書類を収集・作成する
決算書や登記簿謄本等、申請に必要な書類を収集し、申請書類を作成
ステップ7:省エネルギー量を算出、申請要件を満たしていることを確認し、全体の費用・スケジュールを決定する
計画省エネルギー量、計画省エネルギー率を確認する。投資回収年数、経費あたり計画省エネルギー量を確認。補助率、補助金限度額、補助対象設備に係る費用、スケジュールを確認
ステップ8:補助事業ポータルの入力を行い、書類を印刷する
アカウント登録後、補助事業ポータルへ必要情報を入力、必要書類を印刷
ステップ9:書類をファイリングして、郵送する
補助事業ポータルへ必要情報を入力後、必要書類を印刷。収集・作成した書類、補助事業ポータルから出力した書類をファイリングして交付申請書を作成。手元に控えるため副本作成を忘れずに行い正本は郵送する