まだ、間に合う!小規模事業主のコロナ関連融資

2022年8月現在も新型コロナウイルスの影響は続いております。企業の中には経営に大きな打撃を受け続けており、資金繰りに奔走しているといったところもあるのではないでしょうか。そのため政府は現在も多くの中小企業・小規模事業主に向けて、さまざまな補助金や融資制度など打ち出し、事業継続を実現すべく対応を行っています。
今回は、今からでも申請が間に合う融資制度について見ていくことにします。

資金繰りに困った際の救済について

新型コロナウイルスがまん延し始めた2020年より事業用資金の補助金や融資は継続的に行われています。一時期に比べるとその規模やペースは落ちた感がありますが、現在も延長対応を行っているものも存在します。
ここからは2022年8月現在に継続して行われており、申請がまだ間にあう融資制度についてまとめました。

日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本政策金融公庫では、小規模事業主に対し、新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的に業況悪化を来している方を対象にした「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を取り扱っています。
この新型コロナウイルス感染症特別貸付ですが、次のいずれかに該当し、中・長期的にみて業況が回復し、発展が見込める方が対象となっています。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により、必要とする設備資金および運転資金として使用できます。

  1. 最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方
  2. 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較し5%以上減少している方
    (1) 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
    (2) 令和元年12月の売上高
    (3)令和元年10月から12月の平均売上高

融資限度額:8,000万円(別枠)
利率(年):基準利率(※1)ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(※2)、4年目以降は基準利率

※1.基準利率は以下の通りとなっています。

基準利率 1.21~2.00
基準利率A 0.81~1.60
基準利率B 0.56~1.35
基準利率C 0.31~1.10
基準利率D 0.56~1.05
基準利率E 0.20~0.60
基準利率J 0.16~0.95
基準利率O 0.31~0.80
基準利率P 1.01~1.50
基準利率Q 0.81~1.60

(令和4年8月1日現在、年利%)

※2.一部の対象者について、基準利率-0.9%の部分に対し、中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることによって、当初3年間が実質無利子となります。

返済期間:設備資金、運営資金共に 20年以内(うち据置期間5年以内)
担保:無担保

日本政策金融公庫の融資については、審査が比較的緩いこともあり融資が受けやすいのが特徴となっていますので、まずはこちらの融資を検討してみてはいかがでしょうか。

しかし、すでにこの「新型コロナウイルス感染症特別貸付」にて借り入れをしている状態にもかかわらず、さらに借り入れが必要な場合には以下の方法があります。

セーフティネット保証制度

セーフティネット保証制度とは、自然災害等が原因で経営が不安定となった中小事業者が、信用保証協会から通常の保証限度額とは別枠で融資を受けられる制度を言います。セーフティネット保証制度には1~8号まであるものの、新型コロナウイルスによる経営不振については、突発的災害に起因した売上高減少とされ、「セーフティネット保証4号」とされています。また、現在状況悪化している業種に対しての救済措置となる「セーフティネット保証5号」も稼働しています。

こちらの保証制度は6月30日までとなっていたものの、令和4年9月30日まで延長となっております(再延長の可能性もあります)。セーフティネット保証5号に関しては、指定業種が定められてはいますので、該当業種に当てはまるかを確認した上で申請を行うようにしましょう。

セーフティネット保証4号の指定期間延長(令和4年9月30日まで ※再延長の可能性もあります)

セーフティネット保証4号とは「自然災害等の突発的事由(噴火、地震、台風等)により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、災害救助法が適用された場合又は都道府県から要請があり国として指定する必要があると認める場合に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度」です。

この対象中小企業者ですが、

(イ)指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること
(ロ)災害の発生に起因して当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して「20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる」こと

となっており、売上高等の減少については市区町村長の認定が必要となります。
また、保証内容・保証条件についてですが

対象資金:経営安定資金
保証割合:100%保証
保証限度額:一般保証とは別枠で2億8,000万円→【一般保証限度額】2億8,000万円以内+【別枠保証限度額】2億8,000万円以内
※セーフティネット保証5号とは併用可だが、同じ枠となる
とされています。

現在、この新型コロナウイルス感染症に係る「セーフティネット保証4号」の指定期間が令和4年6月1日までとなっていたものが、調査及び要請を踏まえ全ての都道府県において指定期間を延長、令和4年9月30日までとすることとなりました(再延長の可能性もあります)。

ここでの、セーフティネット保証の指定期間とは、中小企業者の住所地を管轄する市区町村長に対し、事業者が認定申請を行うことができる期間を言います。指定期間内に市区町村に認定申請を行った場合は、認定書の発行及び金融機関又は信用保証協会へのセーフティネット保証の申込みが指定期間後であった場合であっても、セーフティネット保証の対象となります。なお、認定書の有効期間は認定の日から30日となっています。認定書の有効期間内に、金融機関又は信用保証協会へセーフティネット保証の申込みをすることが必要となっています。

セーフティネット保証5号の指定期間延長(令和4年9月30日まで ※再延長の可能性もあります)

次にセーフティネット保証5号の延長について見ていきます。
セーフティネット保証5号とは「全国的に業況の悪化している業種に属することにより、経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度」を言います。セーフティネット保証5号の指定業種に関しては、599の業種が指定されています(参照:https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2022/220610_5gou.pdf )

対象中小企業者は、

(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上が減少
※時限的な運用緩和として、2月以降直近3ヶ月の売上高が算出可能となるまで、直近の売上高等の減少と売上高見込みを含む3ヶ月間の売上高等の減少でも可とする(例)2月の売上高実績+3月、4月の売上高見込み)
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていない中小企業者。ただし売上高等の減少について、市区町村長の認定が必要

保証内容・保証条件についてですが、

対象資金:経営安定資金
保証割合:80%保証
保証限度額:一般保証とは別枠で2億8,000万円→【一般保証限度額】2億8,000万円以内+【別枠保証限度額】2億8,000万円以内
※セーフティネット保証4号とは併用可だが、同じ枠となる
とされています。

この「セーフティネット保証5号」の指定期間も令和4年6月1日までとなっていたものが、調査及び要請を踏まえ全ての都道府県において指定期間を延長、令和4年9月30日まで(再延長の可能性もあります)とすることとなりました。

ここで「別枠保証限度額」についてわからない方について説明しておくと、一定の要件を満たした上、事業所の所在地を管轄する市町村長または特別区長の認定を受けた場合、一般保証限度額の別枠として同額までの保証を行う制度を言います。

以上の内容を踏まえて、事業所住所の管轄自治体に、必要書類をWebか郵送にて提出する必要があり、書類審査後に認定書を受領することとなります。

必要となる書類は各自治体によって多少異なるものの

法人の必要書類

  • 認定申請書(指定様式)
  • 売上高が比較できる書類(指定様式)
  • 履歴事項全部証明書
  • 委任状(代理申請の場合のみ)

個人の必要書類

  • 認定申請書(指定様式)
  • 売上高が比較できる書類(指定様式)
  • 直近の確定申告の写し
  • 委任状(代理申請の場合のみ)

となっています。

セーフティネット保証制度のメリット・デメリットについて

2022年8月現在、コロナ関連にて融資が受けられる制度として、セーフティネット保証は「令和4年9月30日まで」とまだ時間があります(再延長の可能性もあります)。このセーフティネット保証制度のメリットは、低金利で融資が受けられること、審査が比較的緩い、といったことがあります。通常の融資よりもかなり低金利にて融資が受けられ、保証料率は概ね1%以内と定められています。また、経営状態が困難な企業を支援するための制度ということもあり、審査が通常の融資よりも厳しくなく、一定の基準を満たしていれば融資が受けられます。さらに追加融資が可能、保証人不要、遅延金の支払い不要といったこともあります。

しかし、その反面忘れてはならないのは、制度を利用したとしても借金が帳消しになるわけではなく、信用保証協会に融資元が移転するに過ぎない事です。さらにこの制度を利用することで、既存融資を代位弁済(もともとの債務者の代わりに債務者以外の第三者が借金を返済すること)してもらえるものの、一時的に銀行口座凍結となることもあるため、注意が必要です。

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