新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言や営業自粛命令などによって「会社が長期にわたり休業してしまった」「休業手当を受け取れなかった」という労働者も少なくないのではないでしょうか?

そんな時は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」という制度の対象者かどうか確認しておくことをおすすめします。もし条件に該当すれば、所定の算定方法に基づいた休業支援金を受け取れる可能性があり、「コロナ禍で勤務時間が減り困っている」という方の一助となるに違いありません。

今回は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の概要や申請手順について詳しく説明していきます。申請フローは至ってシンプルですので、「こうした給付金の申請は初めてで不安だ」という方もぜひ最後までチェックしてみてくださいね!

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の概要

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」とは、新型コロナウイルス感染症の影響で休業となった労働者の中でも「休業手当の支払いを受けられなかった方」を対象に、休養支援金や給付金が支給される制度です。

たとえば、

  • コロナ禍で勤務日(シフト日数)が減った
  • もともと予定していた勤務日に事業主から「コロナの影響で休むように」と言われ、実際に休みとなった
  • 働いていた店が時短営業となり1日当たりの勤務時間が短くなった
  • コロナの影響がなければ、その店で同様の勤務を続ける予定だったが、休業を余儀

なくされたといったケースにおいて、給付金の対象となる場合があります。

よくコロナ関係の給付金では「対象となる事業者」が定められているケースも多いですが、この「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の場合には、どの業種の方でも申請することができます。

ただし勤め先の規模によって支給要件や申請書類(フォーマット)、申請期間などに違いがあるため注意が必要です。

企業の規模については、下記の表をご確認ください。

産業カテゴリー 産業カテゴリー 常時雇用の労働者数
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他業種 3億円以下 300人以下

上記の表において、「資本金の額・出資の総額」または「常時雇用する労働者の数」のどちらかを満たす企業が中小企業となり、それ以外の企業については大企業という分類になります。

ここからは「中小企業」と「大企業」に分けて申請方法を解説していきますので、該当する内容のみチェックしてください。

勤め先が「中小企業」に該当する方

中小企業に勤めている方の支給対象は次の通りです。

対象となる休業期間:
2020年(令和2年)4月1日~2021年(令和3年)9月30日まで対象者:
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主から休業させられ、休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない労働者

いわゆる「日々雇用」「シフト制」で働く方であっても、更新が常態化しているケースにおいて、「申請対象月の間に事業主が休業させたこと」についての労使認識が一致したうえで支給要件確認書を作成することができれば、支給対象となります。

また休業という事実が確認できなくても、

  • 労働条件通知書に「週〇日勤務」など具体的な勤務日の記載がある、シフト表が出ている場合に事業主に対してその内容に誤りがないことが確認できる場合
  • 給与明細など6か月以上の間(原則として月4日以上の勤務)働いている事実が確認でき、かつ事業主に対して「コロナ禍の影響がなければ申請対象月も同様の勤務を続けさせていた意向」が確認できる場合

などに関しては、休業対象として扱うことが可能となっています。

気になる支給額の算定方法は、以下の通りです。

休業前の一日あたりの平均賃金(※)×80%×【各月の日数(30日または31日)-就労日数と労働者事情で休んだ日数を足した日数】

(※平均賃金の計算方法:支給対象となる休業開始月前6か月のうち任意の3か月分の賃金の合計÷90)

支給額の上限は1日当たり9,900円(令和3年4月までは11,000円)となっていますが、緊急事態措置やまん延防止等重点措置などの要請を受けて営業時間の短縮などに協力した飲食店等(新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第11条に定める施設)の労働者は、令和3年5月1日~9月30日までの期間も支給上限が11,000円となっていますので、見逃さないようにしましょう!

また休業実績(各月の日数(30日または31日)-就労日数と労働者事情で休んだ日数を足した日数)の算出には、

  • 時短営業で勤務時間が減少しても、1日4時間未満の就労であれば1/2休業としたものとして対象となる
  • 週5日から3日への勤務など、月の一部分の休業も対象となる

といったように、部分的な休業も認められています。

中小企業の場合における「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の申請対象期間および申請期限は次の通りです。申請開始日は休業した期間の翌月初日~受付となりますので忘れないようにしておきましょう。

休業期間 申請期間
令和210月~令和36 令和3930()
令和37月~9 令和31231()

ただし、

  • シフト制、日々雇用、登録型派遣などで働かれている方
  • 外的な事業運営環境の変化に起因する休業(ショッピングセンター自体が休館したなど)の方
  • 所定労働日が明確かつ労働者都合の休業ではないにもかかわらず労使で認識が一致しない方
  • 既存の申請分の支給可否決定に時間がかかり、次回以降の申請が期限切れとなる方
    などは、休業した期間が令和2年4月~9月の分も受付ができます。

その際には、令和2年10月30日に公表されたリーフレットの対象となる旨の疎明書と、過去の就業実態が確認できる給与明細が必要となりますが、「申請に間に合わないかもしれない」「休業の認識を事業主と確認する機会がなかなか持てない」といった場合も、落ちついて申請に臨むことができるため安心です。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の条件に該当する方は、労働者から直接申請する場合にはオンラインまたは郵送を選ぶことが可能となっています(事業主経由の申請もOK)。必要書類の準備はそれほど複雑なものではありませんので、ぜひこの機会に申請してみてください。

必要書類

支給申請書、支給要件確認書(※)、本人確認書類(免許証の写しなど)、振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)、休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)、地域特例対象確認書(令和3年5月~9月の休業で地域特例を受ける場合)

※支給要件確認書については、労働者と事業主で協力して作成するのが基本となりますが、事業主の協力が得られない場合には、その旨を支給要件確認書に記載の上申請することもできます。

郵送の住所

〒600-8799
日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

その他詳しい申請方法や申請書類のフォーマットについてはこちらをご覧ください。

勤め先が「大企業」に該当する方

次に大企業に勤めている方の場合ですが、支給対象は以下の通りです。

・対象となる休業期間(※):
2020年(令和2年)4月1日~2020年(令和2年)6月30日まで
2020年(令和2年)1月8日~2021年(令和3年)9月30日まで・対象者:
大企業に雇用されるシフト制労働者(シフト制・日々雇用・登録型派遣)であって、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない労働者
※令和2年11月7日以降、時短要請を発令した都道府県は、それぞれの要請の開始日以降の休業も含む

こちらも中小企業の場合と同様に「申請対象月の間に事業主が休業させたこと」についての労使の認識が一致したうえで支給要件確認書を作成することができれば、支給対象となります(一致しない場合には、その旨を支給要件書に記載の上で申請可能)。

また休業という事実が確認できなくても、

  • シフト表が出ているなど当月付きの勤務予定が定まっていた場合に、事業主に対してその内容に誤りがないことが確認できる場合
  • 給与明細など6か月以上の間(原則として月4日以上の勤務)働いている事実が確認でき、かつ事業主に対して「コロナ禍の影響がなければ申請対象月も同様の勤務を続けさせていた意向」が確認できる場合

などに関しては、休業対象とみなされます。

支給額の算定方法は、以下の通りです。

休業前の一日あたりの平均賃金(※1)×80%(※2)×【各月の日数(30日または31日)-就労日数と労働者事情で休んだ日数を足した日数】
(※1:平均賃金の計算方法:支給対象となる休業開始月前6か月のうち任意の3か月分の賃金の合計÷90)
(※2:令和2年4月1日~6月30日までの休業では60%)

1日当たりの支給額の上限は9,900円(令和3年4月までは11,000円)ですが、緊急事態措置やまん延防止等重点措置などの要請を受けて営業時間の短縮などに協力した飲食店等(新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第11条に定める施設)の労働者は、令和3年5月1日~9月30日までの期間も支給上限は11,000円と変わりません。
加えて、休業実績の算出には月の一部分の休業が対象となるなど、部分的休業も含めることができます。

大企業の場合における「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の申請対象期間および申請期限は以下の通りとなりますが、申請開始日は休業した期間の翌月初日~受付となりますので覚えておきましょう。

休業期間 申請期間
令和2年4月~6 令和3930()
令和3年1月8日~6月() 令和3930()
令和37月~9 令和31231()

(※令和2年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県は、それぞれの要請の開始日以降の休業も含む)

必要書類

支給申請書、支給要件確認書、本人確認書類(免許証の写しなど)、振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)、休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)、シフト制・日々雇用または登録型派遣であることの疎明書(初回申請時)、労働形態の内容が確認できる書類(労働契約書など。ない場合は疎明書にその旨を記入)、地域特例対象確認書(令和3年5月~9月の休業で地域特例を受ける場合)

郵送の住所

〒600-8799
日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

その他詳しい申請方法や申請書類のフォーマットについてはこちらをご覧ください。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の注意事項

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」における、中小企業および大企業に共通した注意事項としては、以下のようなものがあります。

  • 支給要件確認書の記載は、労働基準法第26条の休業手当の支払い義務について判断するものではない
  • 支給にあたっては労働保険番号が必要。ただし労働保険に加入していない場合でも申請は可能であり、申請受付後に労働局からの働きかけなどで労働保険成立手続きが完了した場合には支給対象となる
  • 複数の事業所で雇用されている方は、複数事業所の休業を申請することが可能

また事業主に対しても、

  • 円滑な支給のため、「支給要件確認書」の記載について協力をお願いすること
  • 休業支援金の申請や相談をしたことのみを理由に、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更を行うことは不適切であり、労働契約法に照らして無効となる可能性があること

が明記されています。

そのほか支給に際して困ったことや不都合などがあった場合には、全国に設置されている総合労働相談コーナーを活用するのも1つの手です。

また給付金関連の問い合わせについては電話でも対応していますので、申請にあたっての不明点や疑問点があればコールセンターを活用してみるのも良いでしょう。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター

  • 電話番号:0120‐221‐276
  • 受付時間:月~金 8:30~20:00 / 土日祝 8:30~17:15

まとめ

今回の記事では、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の概要や申請手順について詳しく解説していきましたがいかがでしたでしょうか?

これを読んで「支給対象条件に当てはまっていそう」「何とか申請できそうだ」と思った方は、この機会を逃すことが無いよう、早めに申請準備を進めてみてくださいね。

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