ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金まとめ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業や小規模事業者が今後直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入など)に対応するための支援制度。企業が革新的なサービスの開発、試作品の制作、生産プロセスの改善に取り組む際に必要となる設備投資などをサポートし、事業の成長や生産性の向上を促進することを目的としています。

本記事では、このものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要についてお伝えしていきます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第19次公募について

令和7年2月17日、中小企業庁はものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第19次公募要領を公開しました。これによると、2025年2月14日(金)より公募が開始されており、電子申請の受付は、2025年4月11日(金)17:00から開始、申請締切は2025年4月25日(金)17:00までとなっています。なお、採択結果の公表は2025年7月下旬頃が予定されています。

補助対象事業

補助対象事業枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」と大きく分けて2つあります。

製品・サービス高付加価値化枠

「製品・サービス高付加価値化枠」とは、革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。ここでいう革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的とし、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。

この製品・サービス高付加価値化枠における補助上限額は、従業員数5人以下で750万円、6~20人で1,000万円、21~50人が1,500万円、51人以上で2,500万円となります(補助下限額100万円)。

また補助率は、中小企業が1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者が2/3です。なお補助対象となる経費には、機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費が該当します。

なお補助事業実施期間は、交付決定日から10か月となっています(ただし採択発表日から12か月後の日まで)。

グローバル枠

「グローバル枠」は、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。ここでいう海外事業とは、海外への直接投資に関する事業、海外市場開拓(輸出)に関する事業、インバウンド対応に関する事業、海外企業との共同で行う事業のことをいいます。

グローバル枠における補助上限額は、3,000万円となります(ただし補助下限額100万円)。
また補助率は、製品・サービス高付加価値化枠と同様に中小企業が1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者が2/3です。補助対象となる経費には、機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費が該当しますが、グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業の場合には海外旅費、 通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も経費として認められます。

なお補助事業実施期間は、交付決定日から12か月となっています(ただし採択発表日から14か月後の日まで)。

特例措置について

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金では、特例措置が設けられており、「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」も設定されています。

大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例

大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例では、大幅な賃上げに取り組む事業者について、従業員数規模に応じて補助上限額引上げ措置が取られます。

具体的な補助上限引き上げ額ですが、従業員数5人以下の場合、各補助対象事業枠の補助上限額から最大100万円、従業員6~20人の場合、各補助対象事業枠の補助上限額から最大250万円、従業員21以上の場合、各補助対象事業枠の補助上限額から最大1,000万円となっています。

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例では、所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引上げに取り組んだ場合に補助率引上げ措置が取られます。
具体的には、引上げ後補助率が2/3となります。

補助対象者

本補助事業の補助対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有する者に限定されています。具体的には、中小企業・小規模事業者や、一定の要件を満たす個人事業主、組合又は連合会などが該当します。なお、グローバル枠のうち海外への直接投資に関する事業を行う場合は、日本国内の他、海外にも補助事業の実施場所を有していることが必要となるため注意が必要です。

補助対象要件

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第19回に公募申請するためには、次の基本条件を満たす必要があります。

付加価値額の増加要件

補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR)を3.0%以上増加させることが必要です。

具体的には、申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値を設定したのち、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが求められます(ちなみに付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)。

賃金の増加要件

補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、 従業員(非常勤含む)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%以上増加させること、また従業員及び役員それぞれの1人あたり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(2020年度~2024年度の5年間)の年平均成長率以上増加させることが必要です。

具体的には、申請者自身で給与支給総額基準値以上の目標値及び1人あたり給与支給総額基準値以上の目標値をそれぞれ設定し、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員に対して表明したうえで、事業計画期間最終年度において当該給与支給総額目標値及び1人あたり給与支給総額目標値を達成することが求められます。

なお、事業計画期間最終年度において少なくともいずれか一方の目標値を達成する必要があり、いずれも達成できなかった場合には、達成度合いの高い目標値の未達成率に応じて補助金返還が求められます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合には、交付決定が取消され補助金返還が求められます。

事業所内最低賃金水準要件

補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(本補助事業を実施する事業所内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より30円以上高い水準にすることが必要です。

具体的には、申請者自身で事業所内最低賃金基準値以上の目標値を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明したうえで、毎年、当該事業所内最低賃金目標値を達成することが求められます。もし達成できなかった場合、補助金返還を求められます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合には、交付決定が取消され、補助金返還が求められますので注意しましょう。

なお従業員数 21 名以上の場合、従業員の仕事・子育て両立要件も加わります。具体的には、申請時までに次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定したうえで、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表することが必要となります。

まとめ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第19次の公募は既に開始されており、申請開始は2025年4月11日(金)から、また申請締切は2025年4月25日(金)までと期間はわずか2週間しかありません。それまでに慌てないように、要件を満たしているかどうかの確認の後、事業計画書や決算書等の必要書類を準備しておきましょう。

なお、申請においては「GbizIDプライムアカウント」の事前取得が必要です。プライムアカウント取得には書類審査がある点、また発行まで時間がかかります。よって逆算して動いておくことが大事となります。

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