
「テレワークの助成金を調べたら、似た名前の制度がいくつも出てきた」「公式サイトに載っているのに、開いてみると受付終了と書いてある」。そんな経験はないでしょうか。
助成金の情報を探していると、制度の説明を読む前に、「そもそも今も申し込めるのか」というところで迷ってしまいます。年度ごとに条件が変わるうえ、終了した制度のページも残っているため、初めて調べる方には全体像がつかみにくいのが実情です。
この記事では、東京都と東京しごと財団が案内するテレワーク関連の助成金・奨励金について、「新規受付が終わったもの」と「現在募集中のもの」から整理します。 そのうえで、自社の目的に合う制度を選ぶためのポイントを紹介します。
なお、ここで中心に取り上げるのは東京都の支援制度です。厚生労働省などが実施する国の制度とは、対象や申請窓口が異なります。制度名だけでなく、「どこが実施している制度か」も確認しておきましょう。
※募集状況は、2026年9月22日時点で確認した公式情報に基づきます。
公式サイトに掲載されている制度が、すべて募集中とは限りません
まず知っておきたいのは、公式サイトに制度名が載っていても、今から新しく申請できるとは限らないということです。
受付を終えた制度にも、すでに申請した企業が実績報告をしたり、必要な書類を確認したりするためのページが残っています。「実績報告受付中」という表示も、これから新規申請できるという意味ではありません。
東京しごと財団の「テレワーク助成金」のページにも、現在の制度と過去の制度が掲載されています。一方、詳しい一覧ページでは、過去の制度が「令和6年度で新規申請受付を終了した事業」として整理されています。
情報を読むときは、最初に「制度名」「対象年度」「新規申請の受付期間」の三つを確認すると、古い情報との取り違えを防ぎやすくなります。ページの更新日だけを見るのではなく、本文に書かれた募集年度まで確かめることが大切です。
新規受付を終了しているテレワーク関連制度
次の制度は、2024年度、つまり令和6年度で新規申請の受付を終了しています。
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新規受付を終了した制度 |
| テレワーク促進助成金 |
| テレワーク導入ハンズオン支援助成金 |
| 育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金 |
| テレワーク定着促進フォローアップ助成金 |
| 小規模テレワークコーナー設置促進助成金 |
| サテライトオフィス設置等補助金 |
これらは、現在の新規申請先として探す制度ではありません。
特に混同しやすいのが、「テレワーク促進助成金」です。テレワーク関連の助成金全体を指すようにも見えますが、これは個別の制度名で、新規受付は2025年2月28日に終了しています。
また、育児・介護に関する制度では、終了した「導入促進助成金」と、現在募集されている「活用促進奨励金」があります。名前が似ていても別の制度なので、過去の記事に書かれた金額や条件をそのまま当てはめないようにしましょう。
現在募集中の制度は、目的の違う5つ
2026年9月22日時点で、公式サイト上で新規申請の受付期間中と確認できる制度は、次の五つです。まずは金額よりも、「会社として何を進めたいか」という視点で見てみてください。
| 制度名・公式案内 | 主に支援すること | 申請期限 |
| テレワークトータルサポート助成金 | パソコンやソフトウェアなどの環境整備 | 2027年2月5日 |
| 育児・介護との両立のためのテレワーク活用促進奨励金 | 育児・介護と仕事を両立しやすい制度づくり | 2027年2月26日 |
| テレワーク定着強化奨励金 | テレワークの課題解決と社内ルールの整備 | 2027年2月26日 |
| サテライトオフィス勤務導入奨励金 | サテライトオフィス勤務の制度導入と実施 | 2027年2月26日 |
| ワーケーション勤務導入奨励金 | 休暇と組み合わせた勤務制度の導入と実施 | 2027年2月26日 |
予算到達などにより、予定より早く受付が終了する場合もあります。申請を進める際には、各制度のページで最新のお知らせを確認してください。
機器やシステムをそろえたいなら、トータルサポート助成金
「自宅で使う業務用パソコンを用意したい」「会社のシステムに外から接続できるようにしたい」。こうした環境整備を考えている企業が確認したいのが、テレワークトータルサポート助成金です。
主な対象は、常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、東京都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業など。申請前には、東京都のテレワーク相談窓口を利用する必要があります。
助成率と上限額は、企業の規模によって異なります。
| 常時雇用する労働者数 | 助成率 | 上限額 |
| 2~29人 | 助成対象経費の3分の2 | 150万円 |
| 30~999人 | 助成対象経費の2分の1 | 250万円 |
この金額は、条件を満たす経費に対する助成の上限です。申請すれば全社が上限額を受け取れるわけではありません。
例えば、従業員20人の会社で、助成対象として認められた経費が60万円なら、助成率3分の2を掛けた40万円が計算上の目安になります。残る20万円と、助成対象外の費用は会社が負担します。
相談する際は、購入したい商品の名前だけでなく、「誰が、どの仕事に使うか」を説明できるようにしておきましょう。必要な設備を具体的に検討しやすくなります。
育児や介護のために働き方を整えたいなら、活用促進奨励金
従業員の育児や介護との両立を支えたい企業には、「育児・介護との両立のためのテレワーク活用促進奨励金」があります。
主な対象は、常時雇用する労働者が2人以上300人以下の都内中小企業などです。「導入コース」と「介護離職防止コース」があり、それぞれの要件を満たすと20万円、両コースに取り組む場合は合計30万円が支給されます。
例えば、介護に関する予定に合わせて半日単位でテレワークを利用できるようにするなど、従業員が制度を使いやすくする取組を支援します。
ここでは、機器の購入額よりも、どのような規定を整備するかが重要になります。制度を作る前に従業員の事情を聞き、利用したい時間帯や勤務場所、今のルールで困っていることを整理しておくとよいでしょう。
導入済みのテレワークを改善したいなら、定着強化奨励金
「在宅勤務を始めたものの、連絡が取りづらい」「出社する従業員に仕事が偏っている」。テレワークを続けるなかで、こうした課題が見えてくることもあります。
テレワーク定着強化奨励金は、従業員調査や社内チームでの検討、解決策の試行などを通じて、自社に合う働き方を整える制度です。主な対象は、常時雇用する労働者が2人以上999人以下の都内中堅・中小企業などです。
基本額は20万円。テレワークができない従業員の不公平感を和らげる所定の制度などを導入した場合は、20万円が加算され、最大40万円になります。
会社側が便利だと思う方法と、現場が使いやすいと感じる方法は、必ずしも一致しません。連絡方法や出社日の決め方を見直したい企業にとって、従業員の意見を聞きながら改善するきっかけになります。
自宅以外の仕事場所を取り入れたいなら、サテライトオフィス勤務導入奨励金
テレワークの場所は、自宅だけではありません。自宅では集中しにくい、外出の合間に仕事をしたい、といった場合に選択肢となるのがサテライトオフィスです。
サテライトオフィス勤務導入奨励金は、勤務を可能にする規定を新たに整備し、従業員が実際にサテライトオフィスで働いた企業に、10万円を支給する制度です。主な対象は、常時雇用する労働者が2人以上999人以下の都内中堅・中小企業などです。
申請日時点で対象となる勤務規定がすでに整備されている場合は、対象外となる点に注意が必要です。
これは、従業員にサテライトオフィス勤務を導入する企業向けの制度です。受付を終了した「サテライトオフィス設置等補助金」とは目的が異なります。オフィスを「利用する側」なのか、施設を「設置・運営する側」なのかを分けて確認しましょう。
休暇と組み合わせた働き方なら、ワーケーション勤務導入奨励金
ワーケーション勤務導入奨励金は、普段の職場や自宅とは異なる場所で、休暇に連続して勤務する働き方を支援します。
主な対象は、常時雇用する労働者が2人以上999人以下の都内中堅・中小企業など。新たに規定を整え、従業員が所定の勤務を実施すると、1事業者に10万円が支給されます。こちらも、申請日時点ですでに対象の勤務規定が整備されている場合は対象外です。
制度を取り入れる際には、仕事をする時間と休暇の時間、通信環境、情報の取り扱いなどを具体的に考える必要があります。従業員が利用を希望しているか、担当業務を離れた場所でも進められるかを確認したうえで検討しましょう。
ABWオフィス促進事業は、今年度の新規申込みを終了
公式サイトには「ABWオフィス促進事業」も掲載されています。仕事の内容に合わせて働く場所などを選べるオフィスづくりを支援する事業ですが、2026年度の導入支援の申込受付は、2026年7月31日で終了しています。
助成金は、この導入支援を受けた事業者が対象です。そのため、2026年9月22日時点で、これから初めて申し込む企業向けの募集中制度には含めていません。
申請の前後に何をするかは、制度ごとに違います
似た名前の制度でも、手続きの順番は共通ではありません。
例えば、テレワークトータルサポート助成金では、すでに申込み・契約・購入などをしたものは申請できません。一方、テレワーク定着強化奨励金は、決められた順序で従業員調査や試行などに取り組んでから申請する仕組みです。
「先に準備を進めておこう」と機器を購入したり、規定を作ったりする前に、利用したい制度の流れを確認してください。相談時には、「これから何をする予定か」に加えて、「すでに何を済ませているか」も伝えると、条件を確認しやすくなります。
また、表に示した従業員数や所在地は主な条件です。それ以外の要件もあるため、当てはまる制度が見つかったら、その年度の募集要項を読む必要があります。
最初は、自社の困りごとから選んでみよう
制度の名前をすべて覚える必要はありません。「設備が足りない」「育児や介護に対応したい」「導入後の運用に困っている」「自宅以外でも働けるようにしたい」。まずは、自社の課題がどれに近いかを考えてみてください。
そのうえで、該当する制度のページを開き、募集年度、受付状況、取組と申請の順番を確認します。この順に調べれば、終了した制度の説明を読み続けたり、違う制度の申請書を準備したりする手間を減らせます。
相談前には、従業員数、事業所の所在地、実現したい働き方、すでに導入している設備や規定を簡単にメモしておくと便利です。助成金の名前から考えるより、「会社のどんな不便を解消したいか」から考えるほうが、必要な支援にたどり着きやすくなります。










