
人間関係を円滑にするうえで欠かせないのが、「本音」と「建前」の使い分けです。すべての場面で本音をそのまま伝えれば、相手との関係がぎくしゃくすることもありますし、逆に建前ばかりでは信頼を得ることが難しくなります。ビジネスの交渉や日常のコミュニケーションでは、この二つのバランスをうまく取ることができれば、対人関係がスムーズになり、より良い結果につながるでしょう。
本記事では、本音と建前の使い分け方について詳しくお伝えします。
目次
本音と建前とは?
本音と建前は、人間関係をスムーズにするために欠かせない考え方のひとつです。本音は「自分の本当の気持ちや考え」を表し、建前は「社会的な関係や場の雰囲気を考慮した発言や行動」を意味します。
日本では、この二つの使い分けが重視されており、うまく使いこなすことで、周囲との関係を円滑にできます。
本音とは?
本音とは、自分の感じたことや考えを率直に表現することです。たとえば、仕事で理不尽な依頼をされた場合、「これは納得できない」と思うのが本音となります。
親しい友人や家族との会話では、遠慮せずに自分の気持ちを伝える場面が多くなるものの、どんな場面でも本音をそのまま口にすると相手を傷つけたり、対立を生むことにつながることがあります。そのため、本音を伝える際には、その場の状況や相手の気持ちを考慮し、適切な表現を選ぶことが大切です。
建前とは?
建前とは、周囲の関係や社会的な立場を考慮し適切な言葉や態度を選ぶことを指します。ビジネスの場では、上司や取引先との関係を円滑に保つために直接的な表現を避けることが多々あります。上司から急な依頼を受けた際、内心では「やりたくない」と思っていても「スケジュールを調整して対応します」と答えるのは、建前を使った対応の一例です。
また、相手を気遣う場面でも建前が役立ちます。招かれた食事の場で、本当は好みではない料理が出されたとしても、「おいしいです」と言うことは、相手の気持ちを尊重する意味で不可欠な対応といえます。
本音と建前の関係
本音と建前の関係は、「本音を隠す」「建前で取り繕う」といった単純なものではなく、状況に応じてどちらを優先するかを考えることが重要です。
たとえば、信頼関係を築くためには本音を適度に伝えることが大切ですが、ビジネスや公の場では建前を意識した対応が求められます。建前ばかりでは、表面的な関係になり、相手との距離が縮まりにくくなります。反対に本音ばかりをぶつければ人間関係の摩擦が増えることもあります。
つまり、本音と建前はどちらかが正しいというものではなく、使い方次第で関係が良くも悪くもなります。状況を見極めて相手の立場を理解しながら適切に使い分けることで、より円滑な対話が生まれ、信頼関係を築くことができると思ってください。
本音と建前を使うのがうまい人の特徴
本音と建前の使い分けが上手な人には、いくつかの共通した特徴があります。
場の空気を読む力が優れている
本音と建前の使い分けが上手な人は、状況判断が的確です。相手の立場やその場の雰囲気を素早く察知し、「今は本音を伝えるべきか、それとも建前を優先するべきか」を判断できます。相手の表情や言葉のトーン、場の空気を敏感に感じ取り、適切なコミュニケーションをとる能力が高いです。
言葉の選び方が的確で、伝え方に工夫がある
本音と建前の使い分けができれば、率直な意見を伝える場合にも、相手が受け入れやすい言い方のほうを選びます。たとえば、「この方法では難しいかもしれませんが、こうすればもっと良くなると思います」といったように、本音を込めながらも前向きな表現を使うことができます。これにより、相手に抵抗感を持たせず建設的な会話につなげることが可能です。
信頼関係を築くのが上手い
本音と建前をバランスよく使い分けることで、相手に安心感を与え、「この人は信頼できる」と思わせることも可能です。適切な距離感を保ちながら良好な関係を築くことができます。
柔軟性があり、状況に応じた対応ができる
本音と建前を固定的に使うのではなく、その場の状況に応じて適切に使い分けることができる人は、どんな環境でもスムーズにコミュニケーションをとることができます。ビジネスの場では建前を意識しながら話しつつ、チーム内では本音を交えて率直な意見を述べるなど、場面によって柔軟に対応できることでしょう。
相手の気持ちに配慮する姿勢がある
本音と建前を使い分けられる人であれば、本音を伝える際に、相手を傷つけないように配慮しながら話すことができます。また建前を使う時も、単なる社交辞令ではなく、誠実さを感じさせる伝え方ができます。このような人は、周囲との信頼関係を大切にし、長期的に良好な人間関係を築けます。
本音と建前の概念は海外にもある?
本音と建前のような概念は、日本特有のものではなく海外にも存在します。ただし、文化や社会の価値観によってその使われ方や重要視される度合いには違いがあります。
欧米における本音と建前
欧米文化では、「率直なコミュニケーション」が重視される傾向があります。特にアメリカやドイツなどでは、自分の意見を明確に伝えることが評価されるため、日本ほど建前を意識する場面は少ないです。ただ、建前が存在しないというわけではありません。ビジネスの場では、相手を尊重しながら意見を述べるためにソフトな言い回しを使うこともあります。
アジアにおける本音と建前
アジア文化では、日本と同じように本音と建前の使い分けを大事にする国は多いです。中国や韓国では、ビジネスや社会的な場面で面子を重んじる文化があり、相手の立場を考慮した言い方をすることがあります。
中国では婉曲表現を使い、直接的に「ノー」と言わないようにすることが多いですが、これは日本の建前とよく似ています。また、韓国では上下関係を重視するため、目上の人に対しては本音をストレートに伝えることを避け、敬語や遠回しな表現を使うことが一般的とされています。
本音と建前のバランスをうまく図るには?
本音と建前のバランスを取るためには、まず「どの場面でどちらを優先するべきか」を考えることが大切です。会議では建前を意識しながら意見を伝えつつ、信頼できる上司や同僚には本音を交えた相談をするのが効果的ですし、相手との関係を考慮しながら、本音をどこまで伝えるかを調整することも重要です。
建前を使う際には、単に場を取り繕うのではなく、誠実さを意識して言葉を選ぶことが大切です。相手の気持ちを尊重し、円滑な関係を築くために建前を活用することでより良いコミュニケーションにつながります。
まとめ
本音と建前を使い分けることは、円滑な人間関係を築くためには不可欠です。本音は自分の本心や正直な気持ちを、建前は場の空気や相手の気持ちを考慮した発言や態度を表すもの。ビジネスシーンや人間関係を良好に保つ場面では特に有効です。
しかし、建前ばかりでは信頼関係が築けず、本音ばかりでは対人トラブルを招くこともありますので、本音を伝えるべき時と建前で円滑に対応するべき時を見極め、しっかりとバランスを取ることが、信頼される人間関係を築くことにつながるでしょう。