「起業家」とは、新たな事業を立ち上げる人を指すことが一般的です。しかし、実業家、事業家、企業家、経営者など、類似の言葉が多く存在し、その違いが分かりづらい場合もあります。
この記事では、起業家の特徴や役割、実業家や事業家、企業家との違いを詳しく解説し、さらに起業家として成功するために必要な要素についても探ります。
目次
起業家とは？
起業家は、自分で事業を創設する人のことで、英語では "entrepreneur" と呼ばれます。学生が在学中に会社を設立する場合、「学生起業家」と言われます。起業家は、既存の会社を引き継ぐのではなく、新しい会社を立ち上げた人を指します。したがって、事業後継者や既存の会社内で新規事業を立ち上げた人は、起業家には該当しません。
一方、個人事業主として開業した場合は通常、起業家とは呼ばれず、法人組織を立ち上げた人が起業家とされています。
また、何度も新しい事業を創設する人を「連続起業家」と呼びます。例として、メルカリの創業者・山田進太郎氏や、SpaceXやTeslaの創業者・イーロン・マスク氏が挙げられます。
実業家との違い
実業家とは、企業や事業を経営し、利益を追求することを目的として活動する人物のことを指します。実業家は、既存のビジネスモデルや市場において競争力を持ち、効率的な経営を行い、経済的成功を収めることを目標としています。
起業家や事業家、企業家といった用語と類似点があるものの、実業家は既存のビジネスや市場を中心に活動し、利益追求や競争力の強化を目指す点が異なります。また、起業家は新規事業を立ち上げることが特徴ですが、実業家は既存の事業を運営・発展させることが中心です。
事業家との違い
事業家とは、ビジネスやプロジェクトを立ち上げ、運営し、発展させることを目的として活動する人物のことを指します。事業家は新しい事業やプロジェクトを展開し、市場のニーズに応えることを目標としています。事業家は、起業家や実業家、企業家といった用語と類似点があるものの、それぞれの役割や目指す方向性が異なります。
事業家と起業家の違いは、起業家が新規のビジネスを創出し、イノベーションをもたらすことを目指すのに対して、事業家は既存の市場や業界で新しい事業やプロジェクトを展開し、ビジネスの発展や市場ニーズへの対応を目指す点です。また、実業家は既存のビジネスモデルや市場において利益を追求することが目標であり、企業家は組織全体の経営に重点を置く点が異なります。
企業家との違い
企業家とは、組織や企業の経営や運営に関わり、その発展や成長を目指す人物のことを指します。企業家は、企業の経営陣やオーナー、役員など、組織の運営や成長戦略を立案・実行する立場にある人物です。起業家、実業家、事業家といった用語と類似点があるものの、それぞれの役割や目指す方向性が異なります。
企業家と起業家の違いは、起業家が新規のビジネスを創出し、イノベーションをもたらすことを目指すのに対して、企業家は既存の組織や企業の運営・発展に重点を置く点です。また、実業家は既存のビジネスモデルや市場において利益を追求することが目標であり、事業家は新しい事業やプロジェクトを展開し、市場ニーズへの対応を目指す点が異なります。
経営者との違い
経営者とは、企業や組織の経営に携わる人物で、経営戦略の立案・実行、組織運営、リーダーシップの発揮などの責任を担っている人物です。経営者は、オーナーやCEO（最高経営責任者）、役員、部門長など、組織の上層部に位置する人物が含まれます。
経営者は、企業家、事業家、実業家、起業家といった用語と類似点があるものの、それぞれの役割や目指す方向性が異なります。経営者は組織の運営やマネジメントに重点を置き、企業や組織の発展を目指します。
誰でも起業家になれるのか？
起業家になるには、基本的には開業や登記を行うだけで可能です。特定の資格が必要な士業を除いて、通常の事業形態では特別な資格や学歴は不要です。しかし、それだけで成功する起業家になれるわけではなく、多くの場合、起業後の運営に苦労しています。
日本政策金融公庫の「2022年度新規開業実態調査 (URL: https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_221130_1.pdf )」によれば、開業の業種では「サービス業」が最も多く(29.4%)、「医療・福祉」(16.4%)、「小売業」(13.8%)と続いています。事業内容の決定理由として、「これまでの仕事の経験や技能を生かせる」(44.0%)が最も多く、「身に付けた資格や知識を生かせる」(19.1%)が続きます。つまり、多くの人が起業前の職業を基に事業を始めますが、それでも事業継続は厳しく、10年で約9割の会社が廃業しているとのデータがあります。
起業家としての成功のために
起業家として、会社を設立し、事業を軌道に乗せるためには、どのような取り組みが必要でしょうか。以下では、起業家として事業を成功させるためのポイントを紹介します。
同じ道を歩む仲間やパートナーを見つける
多くの人は、起業する際に自らが代表となり、会社を創設します。一人で事業を始める利点は、誰にも指示されず自分のペースで働けることですが、軌道に乗せるまでの起業家は孤独を感じることがあります。そのため、同じ道を歩む仲間や信頼できるパートナーと協力し合うことで、事業の継続や拡大が容易になります。
例えば、技術力のある起業家は、外部協力を拒む傾向があり、すべて自分で完結させようとすることで、利益率は上がるものの、受注件数が増えず資金繰りが悪化する悪循環に陥ることがあります。このような状況を避けるために、セミナーや異業種交流会への参加、SNSやブログを活用した情報発信などで、多くの人と交流を持つことがビジネスの道筋を見つける手助けとなります。
ビジネスニーズのある商品やサービスを展開する
起業家のマインドを維持するためには、自分の好きなことややりたいことで事業を行うことが理想です。しかし、どれだけ自分が熱意を持っていても、社会的なニーズがなければ事業の継続は難しいでしょう。事業の成功には、社会的なニーズを把握し、それを具現化する能力が必要です。全てを自分で対応する必要はなく、他者と協力してサービスを提供すれば、事業の継続・発展が可能です。世の中の動向を理解し、今後何が流行るかを常に考慮しましょう。
経営に関する学習を怠らない
事業が継続できない起業家の特徴の一つは、数字に関する知識が不十分であることです。会社経営には財務会計や税金の知識が求められます。法人化すると税理士の支援を受けることがありますが、全てを任せきりにせず、財務諸表や損益計算書を自分で理解できるようにしておくことが重要です。
また、数字以外にもマーケティングやプロモーション、業界知識、顧客動向や営業戦略などの知識を身につける必要があります。近年、製品やサービスのプロダクトサイクルが短くなっており、一度知識を身につけただけでは十分ではありません。日々情報を更新し、競合他社に先んじることが、事業の継続に繋がります。
まとめ
起業家は、新しいビジネスを創出し、社会にイノベーションをもたらす存在です。彼らはビジョンを持ち、リスクを恐れず、自らのアイデアを実現するために行動を起こすことが特徴です。実業家、事業家、企業家といった概念とは微妙な違いがあり、それぞれ役割や目指す方向性が異なります。
本記事では、起業家とは何か、その特徴や実業家、事業家、企業家との違いについて徹底的に解説しました。これを参考に、自分自身のキャリアやビジネスに対する考え方を見直し、目指すべき道を明確にすることができるでしょう。また、起業家精神を持つことは、すべてのビジネスパーソンにとって重要なスキルであり、社会や経済の発展に寄与する力を持っています。自分自身の起業家精神を磨き、これからの時代を生き抜く力を身につけましょう。
