事業をスタートする際に最も悩むのは、どんな事業内容にするか、どこに会社を置くかではなく、どんな名前の会社にするかではないでしょうか。会社名は一度決定すると、変更が面倒であり、会社の印象を決める非常に大事な要素の一つです。そのため、商売繁盛を願い、縁起の良い会社名を付けたいと考える人も多いでしょう。
今回は、縁起の良い会社名にするためのポイントや、使用できる文字、使用できない文字、会社名にぜひ取り入れたい文字などについて詳しく見ていきます。
目次
会社名に使用できる文字
日本では会社名に使用できる文字に、いくつかのルールや制限が設けられています。このルールに従い、適切で独自性のある会社名を選ぶことが重要です。また、会社名を選ぶ際には既存の商号と重複していないかを確認するために、商業登記簿での検索を行っておくとよいでしょう。
漢字
漢字については、常用漢字および人名用漢字が会社名として使用可能です。会社法によって禁止されている文字はありませんが、一般的に認識されやすい漢字を使用することが望ましいとされています。
ひらがな/カタカナ
会社名には全てのひらがな・カタカナが使用できます。ひらがなやカタカナは、柔らかい印象や親しみやすさを表現するために用いられることが多いです。
アルファベット
ローマ字(A~Zの26文字)も会社名に使用することが可能です。ただし、英語表記の会社名を採用する場合は、名称が他の会社と重複しないように注意が必要です。
アラビア数字
アラビア数字(0~9)も会社名に使用できます。数字を取り入れることで、特定の意味を持たせたり、奇抜な印象を与えることができます。
記号
通常、会社名に記号を使用することはできません。ただし、ハイフン(-)、ピリオド(.)、アポストロフィ(’)、アンパサンド(&)などの特定の記号については、使用できるケースもあります。不安がある場合には、法人登記する前に法務局などに確認しておきましょう。
その他の注意すべき点
基本的に、法人の商号には「株式会社」「有限会社」などの法人形態を示す文字が必要となるため、それを意識して名前を考えておくとよいでしょう。
また、会社名として、公序良俗に反する名前や、他の既存会社と混同する可能性のある名前は避けるのが賢明です。
既に同一の会社名がある場合には注意が必要
日本では、同一の市区町村内で同じ商号を使用することはできません。しかし、市区町村が異なれば同じ会社名を使用することが可能です。その際には、いくつか注意点があります。
同一商号の制限
会社法では、同一市区町村内において他社と「同一商号・同一事業目的」での登記は認められていません。同じ場所で同じ名前の会社を設立することはできないため、注意が必要です。
市区町村が異なればOK
市区町村が異なる場合には、同じ会社名であっても登記可能です。例えば、東京の千代田区と港区に同じ会社名の会社が存在することは、法律的に問題ありません。
オンラインビジネスや全国展開を検討している場合は特に注意
オンラインビジネスや全国展開を考えている場合、同じ名前の会社が別の場所に存在することで、顧客に混乱を与える可能性があります。例えば、ネットでの検索やSNSでの反響が期待できる場合、同名の会社が問題になることがあります。
商標やブランドの問題にも気をつける
会社名が同じでも、別の市区町村で登記されている場合、商標やブランドに関する問題が発生することがあります。広域で事業を展開する場合は、混同を避けるために商標登録を検討することも重要です。
縁起の良い会社名とは?
縁起の良い会社名を考える際には、日本文化や言語におけるポジティブな意味や象徴を取り入れると良いとされています。例えば、次のような言葉は縁起の良い言葉として認知されています。
吉祥な言葉を入れる
「福」「吉」「宝」「寿」「喜」など、幸運や成功を象徴する言葉を取り入れることで、良い縁起を担ぐことができるとされています。
自然や四季に関連する言葉を入れる
「光」「桜」「風」「海」「山」など、自然を表す言葉は穏やかで長寿を象徴するものであるため、非常に縁起が良いとされています。
動物や植物の名前を入れる
「鶴」「亀」「松」「竹」「梅」などの縁起が良いとされる動植物を取り入れると、幸福や繁栄を象徴すると言われています。
成長や発展を意味する言葉を入れる
「成」「伸」「隆」「進」など、発展や成長を表す漢字を組み合わせることで、会社の未来に明るい希望を感じさせてくれます。
読みやすく覚えやすい名前にする
縁起が良い名前であっても、複雑すぎたり長すぎると覚えにくくなります。そのため、簡潔で親しみやすい名前を選ぶことが大切です。
縁起のいい画数も考慮する
縁起の良い名前だけでなく、縁起の良い画数にもこだわる人は多くいます。 一般的に縁起の良い画数・悪い画数は次のようになっています。
大吉 | 1、3、5、6、15、16、21、23、24、31、41、45、48、63、65、67 |
吉 | 7、8、11、13、17、18、25、29、32、33、37、39、47、52、57、68、73 |
中吉 | 26、35、38、42、51、53、55、58、61、71、75、77、78 |
凶 | 2、4、9、10、12、14、19、20、22、27、30、36、40、42、46、49、50、59、60、62、64、66、69、70、72、74、79、80 |
大凶 | 28、34、43、44、54、56、76 |
会社名はあとで変更も可能
事業をスタートさせたものの、業績がなかなか上向かないため会社名を変えたいと考える場合、社名(商号)の変更は可能です。ただし、変更には一定の手続きが必要で、変更後の商号は新たに登記する必要があります。
会社名変更の手続きには、次のような流れがあります。
1. 株主総会の決議
会社名の変更には、株主総会での特別決議が必要です。その際には、出席した株主の2/3以上の賛成が求められます。
2. 登記事項の変更
商号は登記事項のひとつであるため、変更が決定したら法務局に変更登記を申請する必要があります。その際、株主総会の議事録や変更後の定款などの書類が必要です。
3. 変更登記の手続き
会社名の変更に関する登記申請は、変更決定後2週間以内に行う必要があります。これを怠ると過料が課される可能性があります。また、会社名変更の登記には法定費用がかかります。株式会社の場合、商号変更の登記費用として3万円の登録免許税が必要です。
まとめ
縁起の良い会社名にするためには、使用する漢字や画数について十分に考慮したうえで会社名を決定する必要があります。会社名決定の際には、使用できない文字や縁起の悪い画数もあるため、「これだ!」と思える名前にたどり着くまでに時間がかかることもあります。そのため、まずは自分が「これで行こう」と思える会社名で事業をスタートさせることが先決です。
ただし、もしなんとなくしっくりこなかったり、今の会社名で業績が伸びないなどの要因がある場合、縁起の悪さを感じることもあるでしょう。その場合には、会社名の変更も可能ですので、あまり重く考えすぎず、必要に応じて柔軟に対応することも大切です。