日本では「上座」「下座」といった席次があります。お客様を会議室に通す際にどちら側に座ってもらったらいいのか迷うことは誰しもあるでしょう。
基本的には「上座」にお客様や偉い人、「下座」にもてなす側の人間や目下の人間が座るのがマナーです。
上座・下座はビジネスシーンや公式な場で重視されるため、ビジネスパーソンであればぜひ知っておきたい知識の一つとされています。
今回は上座・下座の席次(接待時など)についてお伝えしていきます。
目次
上座・下座とは?
「上座」「下座」は、日本の伝統的な礼儀作法や社会的な階層意識に基づいて、会議室や食事の席などで座る位置を決める際に使われる概念です。
上下関係や礼儀を示し、一般的には上座はより高い地位の人、下座はより低い地位の人が座る場所です。
上座の特徴
上座の特徴ですが、その場において最も重要な席とされており、部屋の入り口から遠い席や景色の良い席、または権威者に近い席が該当します。
お客様や社会的地位が高い人が座るのが一般的です。
上座の概念は、日本の古代から続く社会構造や礼儀作法の一部として発展して現在まで続いているしきたりと言っていいでしょう。
その起源は、身分制度や権威、地位に基づく秩序が重要視されていた時代にまで遡りますが、家族や部族を中心とした共同体の中で上位者に敬意を示すために発展してきたとされています。
上座に座る順番としてはお客様が最優先とされることが多く、その次に役職が高い人、年長者の順番に座っていくことが多いようです。
いずれにせよ明確なルールは存在せず、あくまでその場の状況に応じて臨機応変に対応することが必要です。
下座の特徴
一方で下座の特徴ですが、部屋の入り口に近い位置が下座とされることが多いです。
招く側の人間や部下または立場の低い人が座るのが一般的とされています。
会議室利用の際の上座・下座
会議室における席次はビジネスマナーとして非常に重要です。
特にお客様や上司を迎える場では配慮が必要となるため、部屋のタイプにおける上座・下座をしっかりと理解しておきましょう。
長テーブル型
長テーブルが設置されている会議室の場合、テーブルの奥、すなわち入り口から一番遠い席が上座にあたり、一般的にはお客様が上座に座ります。
もし上司とお客様の両方がいる場合は、お客様が上座、上司は出入り口に近い側の奥(お客様の真向かい)に座ります。
下座は入口に一番近い席になります。
正方形・丸テーブル型
正方形または丸テーブルの場合には、入り口から最も遠い部屋の奥にある席が上座にあたります。
ここでも入口に一番近い席が下座になります。
コの字型(U字型)
コの字型(U字型)のテーブルが設置されている会議室を使用するケースでは、入り口からもっとも遠く、全体を見渡すことができる席(議長席)が上座にあたります。
ただしお客様との打ち合わせの場合には、議長席にあたる席は使用せず、長テーブル型同様に入り口から遠い側にお客様が座るのが一般的です。
エレベーターに乗る際の上座・下座
エレベーター内にも「上座」「下座」の概念があります。ビジネスマナーの一環として、目上の人やお客様がいる場合には適切な位置に立つことが大事です。
エレベーターの上座ですが、エレベーターの奥、つまり操作パネルから遠い位置が上座にあたります。
エレベーターの扉が開いたときにすぐに降りられない位置、最も奥の席が該当します。お客様や上司などの目上の人にはこの位置に立ってもらえるように誘導します。
一方、エレベーターの操作パネルの近くまたは扉に一番近い場所が下座にあたります。
ドアが開いた際にすぐに降りられる位置であり、ホスト側の人間や部下がこの位置に立つようにします。
新幹線での上座・下座
実は新幹線でも上座と下座の概念が存在します。お客様と一緒に新幹線に乗るような場合にはぜひここでの知識を生かすようにしましょう。
まず、進行方向に向かって前の席および窓側の席が上座にあたります。
指定席の3列シートの場合、窓側のA席が最も上座にあたり、次に真ん中のB席が上座にあたります(グリーン車や2列シートの場合、窓側のみ上座となります)。
なお、一般的には目上の人やお客様に進行方向を向いた前の席を譲るのが礼儀となります。
一方で進行方向に対して後ろ向きの席や、進行方向に向かって一番後ろの席が下座にあたります。
また、通路側のC席が下座にあたる点も知っておきましょう。
エレベーターに乗る際のマナー
エレベーターにおいては、上座・下座の立ち位置も重要ですが、それ以外にも知っておきたいマナーがあります。
まずは乗る順番です。
基本的にエレベーターに乗る際には目上の人やお客様が先に乗り、ホスト側の人間や部下は最後に乗り、操作パネルの近くに立つようにします。
操作パネルをいじるのはお客様ではなくホスト側または部下が行うのが一般的です。
つぎに降りる順番です。この際も目上の人やお客様が先に降りるのが基本であり、エレベーターが目的の階に到着したら、操作パネル近くにいる人間が扉を開けておき(「開」ボタンを押し続ける)上座にいる人から降りてもらうようにします。
目下であるにもかかわらず上座を薦められたら?
もし自分が目下の立場であるにもかかわらず上座を勧められた場合にはどうしたらいいのでしょうか?
この場合、目上の人やお客様に敬意を示しつつ、状況に応じて適切に対応することが大事です。
本来上座は目上の人やお客様が座る場所であり、目下の立場であれば自分が座ることはありませんが、ケースによっては上座の席に座ることを促されることもなきにしもあらず、です。
その場合は以下のように対応することが望ましいです。
一度は断る
もしも上座を勧められた場合は、最初に「恐れ入りますが、私はこちらで結構です」と、一度は丁寧に辞退し謙虚さを表しましょう。
その後再度勧められたらお礼を言い上座に座る
その後、相手が再度「どうぞこちらにお座りください」と促してくる場合は、無理に断るのではなく、相手の好意に感謝して受け入れるようにしましょう。
この時に「ありがとうございます。
では、お言葉に甘えさせていただきます」と感謝の気持ちを表しましょう。
あまりこの時点で固辞すると相手の心象を悪くしてしまうこともあります。
その場に応じた判断を行う
会議や食事の席の場合、上座を勧められる状況が異なります。
たとえば、相手が自分より目上の立場であっても、お客様として自分が上座に座ることが適切である場合もあります。
その場合は相手の意図を尊重し、状況に応じた柔軟な対応を心掛けましょう。
なお、上座に座ることになった場合でも謙虚な態度を維持することが大切です。
自分中心に振る舞わず、あくまで他の参加者を尊重する姿勢を保つことを忘れてはいけません。
まとめ
上座・下座はビジネスマナーのひとつとして知っておきたい知識です。
たまに部屋の構造的に「どちらが上座なの?」とわかりにくい状況に置かれることもありますが、そこまで神経質にならずに対応できればベストです。
コミュニケーションを円滑にするためにも、基本的な席次を知っておきつつ、臨機応変に対応するようにしましょう。