個人事業主として開業すると、それについて回るのが納税です。どんな事業者であっても納税の義務を免れることはありません。
それに納税の支払いに遅れてしまうと延滞税が追加で加算されてしまうため、しっかりとスケジュールに沿って税金を支払わなければなりません。
本記事では個人事業主の年間スケジュールとしてまとめてみました。
個人事業主の年間納税スケジュール
税金種類 | 納付期限 | |
4月 | 固定資産税(第1期) | 4月30日 |
5月 | 自動車税 | 5月31日 |
6月 | 個人住民税(第1期) 償却資産税(第1期) |
6月30日 |
7月 | 所得税(第1期予定納税分) 固定資産税(第2期) |
7月31日 |
8月 | 消費税(中間納付分) 個人住民税(第2期) 個人事業税(第1期) |
8月31日 |
9月 | 償却資産税(第2期) | 9月30日 |
10月 | 個人住民税(第3期) | 10月31日 |
11月 | 所得税(第2期予定納税分) 個人事業税(第2期) |
11月30日 |
12月 | 償却資産税(第3期) 固定資産税(第3期) |
12月31日 |
1月 | 個人住民税(第4期) | 1月31日 |
2月 | 償却資産税(第4期) 固定資産税(第4期) |
2月28日 |
3月 | 個人所得税(確定納付分) | 3月15日 |
消費税(確定納付分) | 3月31日 |
※納付期限は月末が土・日・祝日を挟む場合は多少前後する場合があります。
※お住まいの地域によっては納期スケジュールが異なる場合もあります。
固定資産税
固定資産税とは、土地や建物などの固定資産を所有している人に対して課される地方税のひとつで、市区町村が税を徴収し、地方自治体の財源として使用されます。固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を所有している人が対象となります。
固定資産税は通常、年に4回(4月、7月、12月、2月)分割して納付する形となり納期は市区町村ごとに異なります。納付書が送られてくるかまたは口座振替などで納付します。
自動車税
自動車税とは、事業活動で使用する自動車を所有している人に課される地方税のひとつです。
排気量に応じて課せられる自動車税(普通車などが対象)と、軽自動車や原動機付自転車に対して課せられる軽自動車税の2つに分けられます。
自動車税は通常、毎年4月1日時点で自動車を所有している人に対して課せられ、納付書が送付されます。
納付期限は毎年5月末となっており、コンビニや銀行、インターネットを通じて支払うことができます。
個人住民税
個人住民税とは、個人が居住する都道府県や市区町村に対して支払う地方税で、所得に応じて計算されます。
この個人住民税は「均等割」と呼ばれる、住んでいる地域の住民であることに対し一律に課せられる税金と、「所得割」と呼ばれる、所得に基づいて課せられる税金の2種類で構成されています。
均等割は自治体によって異なりますが、およそ5,000円程度、所得割は前年度の所得によって計算され、その税率は都道府県と市区町村に分かれ、合計10%(都道府県税4%、市区町村税6%)が標準となります。
自営業者や個人事業主の納付方法ですが、市区町村から送られてくる納付書で年4回に分けて納付する「普通徴収」となります。
償却資産税
償却資産税とは、事業に使用する償却資産に対して課される地方税で、個人事業主の場合は保有する設備や機械、器具、備品などが対象となります(土地や建物などの不動産や個人的に使用される資産や自宅用の家具や家電が対象外)。
この償却資産税は、毎年1月31日までにその年の1月1日時点で所有している償却資産について市区町村に申告する必要があります。
償却資産税は、固定資産税の一部として取り扱われ、通常年に4回の分割で納付します。なお納付書は市区町村から送付されます。
所得税
所得税とは、個人が1年間に得た所得に対して課される税金のことで、主に給与や事業所得、投資による利益などさまざまな収入に対して課税されます。
所得税は、収入が多いほど高い税率が適用される累進課税方式が採用されています。
この所得税の計算ですが、次の計算式にて計算できます。
- 所得=収入金額-必要経費
- 課税所得=所得-所得控除
- 所得税額=(課税所得×所得税率)-税額控除
所得税の確定納税は3月15日が納税期限となりますが、予定納税は7月末と11月末の2回行われます。
なお予定納税とは、主に自営業者やフリーランスなど、給与から所得税が天引きされない人が対象となるもので、前年の所得税額が15万円以上である場合にその年に予定納税の義務が発生するものです。
場合によっては、翌年3月の確定申告時に調整(不足分の追加納税または過剰分の還付)を行います。
消費税
消費税とは、商品やサービスの購入時に課される税金です。
消費税は販売者やサービス提供者が消費者から徴収した上で国や地方自治体に納めます。
消費税率は2024年現在10%、このうち7.8%が国税、2.2%が地方消費税となります。
また、食品や新聞などの一部の生活必需品には軽減税率8%が適用されています。
個人事業主が消費税を納める場合、仕入れ時に支払った消費税を販売時に受け取った消費税から差し引いて納付することで二重課税が防がれます。
消費税の申告と納付については、年に1回あるいは規模に応じて年に数回行います。
年間売上が1,000万円以下など、売上規模によっては免税事業者として消費税の納付義務が免除される場合もあります。
個人事業税
個人事業税とは、事業を営む個人に対して課される地方税のひとつで、主に事業を通じて得た所得に対して課税され都道府県が徴収します。
個人事業主やフリーランスなどの自営業者に対して課せられる税金で、所得税とは異なる税金を言います。
個人事業税が課されるのは、地方税法で定められた70種類の事業であり、事業内容によっては農業や漁業の一部、作家や芸術家などのように個人事業税が課されない業種もあります。
法廷業種と税率
種別 | 税率 | 事業の種類 |
第1種事業 (37業種) |
5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業 、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業 |
第2種事業(3業種) | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業(30業種) | 5% | 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業 |
3% | あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業 |
この個人事業税は、年間の所得に基づいて都道府県から税額が決定され、通常8月と11月の年2回に分けて納付します。納付書は都道府県から送られてきます。
なお、事業所得が290万円以下の場合には個人事業税がかりません。これは年間290万円の事業主控除が適用されるためです。
まとめ
人によっては支払いが発生しない税もありますが、以上で紹介したように、個人事業主はほぼ毎月のように何かしらの納税を行うことになります。
滞納すると延滞税がかかり無駄な出費が増えてしまいますし、ケースによっては督促状の送付、財産の差し押さえなどが発生する場合があります。
もし納税が厳しい場合には、分割納付や猶予を申請することもできますので、早めに所轄税務署などに相談してみることも検討してみましょう。