好きなことに没頭する人は多いと思いますが、そもそも没頭できるほど好きなものに遭遇できる人はある意味幸せです。さまざまな誘惑を振り切って、あることに取り組むことができる。そうすることで、人間は通常とは比べ物にならないくらいのパフォーマンスを発揮することができると言われています。
今回は「没頭力」を身に付ける方法について見ていきたいと思います。
目次
没頭とは?
没頭とは、ある活動や仕事、趣味などに完全に集中する、あるいはその活動に深く熱中することを指します。たとえば、「好きな本に没頭する」、「研究に没頭する」、「音楽に没頭する」などという形で使用することがあります。この表現は一般的に自分の時間やエネルギーを特定のことに全力で投入し、他の全てから離れている様子を描写するのに使われるものです。
没頭すると何が起こるのか?
人間が物事に没頭すると、次のようなことが起こると言われています。
集中力が向上する
人間が没頭した状態では、他の気を散らす要素から離れて一つのことに集中することが可能となります。その結果、集中力を向上させて仕事や勉強のパフォーマンスを高めることができるようになります。
時間の感覚が失われる
没頭した状態のことは別名「フロー体験」とも呼ばれます。このフロー体験においては、ある活動に深く没頭していると時間が早く過ぎていくように感じることがあります。たとえば、集中して勉強している時、仕事をしている時に気が付いたら夜になっていたといったことがあると思いますが、そのようなことが起こるのが没頭の特徴です。
創造性が高まる
あるテーマやプロジェクトに深く没頭していた場合には、普段では思いつかないようなる新たなアイデアや解決策を見つけ出せる可能性が高まります。これはクリエイティブな作業が伴う場合にはとても有益です。
没頭と集中の違いについて
「没頭」と似たような意味に「集中」があります。2つは似たような概念で、どちらも特定のタスクや活動に注意を向けることを表しますが、その深度や継続時間に違いがあるので詳しく説明しておきます。
没頭とは、一つのアクションに対して時間を忘れるほど深く集中することを指します。人は没頭状態に陥ると、そのアクションに完全に吸収されて自分の行動に対する高いレベルの満足感を得ることができます。これはハンガリーの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー」の概念と言われていますが、フロー状態に入ると完全に熱中した状態となり、自己意識や時間の流れを一切忘れ非常に高いパフォーマンスを発揮するとされています。
一方、集中とは、ある特定のタスクや活動に対して意識的に注意を向けることを指します。集中力は一時的なものであり、特に努力を必要とするアクションにおいて重要な役割を果たします。しかし、人間の集中力は時間と共に疲労するため、一定の時間が経過すると休息が必要となります。また、集中力はノイズや他の誘惑といった外的要因によって簡単に妨げられることがあります。
まとめると、没頭は長期間にわたる深い熱中状態を意味し、集中は短期的な注意の集中を意味しています。とはいえ、これら2つの概念はしばしば連動しており、長時間にわたって深く集中できる能力は、あるアクションに対して没頭する能力と密接に関連しているものです。
没頭力とは?
次に没頭力について詳しく見ていきたいと思います。「没頭力」とは、とあるアクションやタスクに集中してそのまま没頭し続ける能力を指します。たとえば、自分が行うべき仕事や好きな趣味、勉強などに対し、外部からの様々な妨げや誘惑に影響されることなく、自分自身をその活動の中心に置き、完全に意識を投入する力のことです。
この没頭力を身につけると、生産性は大幅に向上する可能性が高まります。なぜなら、その際に生じる深い集中力によって、作業に対する理解と効率が向上するからです。しかしながら、常に高い集中力を保つのは簡単なことではありません。環境設定や時間管理、ストレス管理など、さまざまな要素が関与し、没頭できる状態を作り出す必要があります。
また、没頭力は心の訓練やマインドフルネスなどを通じて向上することが可能です。さらに、自分の関心や興味を追求すること、自分のエネルギーと注意力を最も必要とするタスクに集中すること、無駄なディストラクションを排除することも有益です。
没頭力を身につける方法
それでは、没頭力を身につけるためにはどのような行動をとれば良いのでしょうか?ここからは没頭力を身につけるための方法について見ていきます。
明確な目標設定を定める
没頭力を身に付けるためには、明確な目標が必要です。その際、目標は大きすぎず小さすぎず、達成可能なものであることが重要です。大きすぎる目標は分割して小さな達成可能な目標にすると良いでしょう。また、それぞれの小さな目標達成に対する報酬を設定するとモチベーションも高まります。
障害の排除
没頭力を最大限発揮するには環境が大事です。仕事場や勉強部屋といった環境の整備を行ったり、行動を妨げるような通知や雑音、頻繁な中断要素が入り込まないように気を付けましょう。たとえば、スマートフォンの通知をオフにしたり、集中力を削ぐウェブサイトへのアクセスを制限したりすることも大変有効です。
時間管理のテクニックを身に付ける
時間管理を磨くテクニックとして「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれるものがあります。これは、1980年代にイタリア人のフランチェスコ・シリオが考え出した時間管理術で、25分間集中して作業を行い、その後5分間休憩するというサイクルを繰り返す方法です。このテクニックを利用することで、一定の時間だけ集中すればよいという安心感から、集中力を増すことができます。
健康的なライフスタイルを維持する
集中力を高めるためには、睡眠・栄養・運動といったものが大きな影響を与えることがわかっています。常に質の良い睡眠を取り、バランスの取れた食事を摂取し、定期的に運動をすることで健康的な生活を維持することはとても重要です。
マインドフルネスの訓練
マインドフルネスや瞑想を取り入れ、今の瞬間に意識を集中させて心地よさを感じる訓練も没頭力を鍛えるのに適しています。それにより集中力を高め、ストレスを軽減する効果もあります。また、免疫力の改善や血圧の低下、血糖値や血中コレステロールの低下などにも効果があり、より良い睡眠が得られるようになります。
情熱を追求する
自分自身が情熱を持っていることに対しては、人間は自然と没頭するものです。情熱を持つことができれば、仕事や勉強が楽しくなり、集中しやすくなるはずです。
以上のようなことを継続的に実践することにより、没頭力を身につけることができるでしょう。しかし、すべての人に同じような効果があるわけではありません。自分に合った方法を見つけ、継続可能なものを行うようにしましょう。
没頭しすぎることによるデメリット
没頭力を身に付けることで多くのメリットを得ることは可能ですが、適切なバランスが取れないとデメリットも生じてしまいます。
たとえば、没頭しすぎることで時間の経過を気にしなくなる点は先ほど述べた通りです。しかし、一方で適切な休憩を取らないということにつながり、過労やストレスの増加につながる可能性があります。また、特定のタスクに集中しすぎて他の重要なタスクや人間関係、自己ケアなどが疎かになる場合もあります。
これらのデメリットを避けるためには、適度な休息や自己ケア、時間管理、他のタスクへの注意など、適切なバランスを取ることが必要です。また、自身の行動やタスクが目標や生活にどのように影響を与えているかを改めて評価し、必要な調整を行うことも重要です。何事もやりすぎはよくないということを肝に銘じておきましょう。