資産運用や投資に不慣れだったり、将来の資金計画に不安があったりする人は結構多いものです。その理由として、資産運用や投資にはリスクがつきものであったり、将来の自分の人生設計がはっきり見えておらず、どのタイミングでどれだけのお金が必要かよくわからないことが挙げられます。
そんな時に「財務アドバイザー」に相談してみることはひとつの解決策として有効です。財務の専門家のアドバイスであれば、多少のリスクはあったとしても大きく資産を減らしたり、人生設計を間違えたりすることは大幅に低減できるとみてよいでしょう。
そんなやりがいを求めて財務アドバイザーになって起業してみたいという人も多数いるはずです。今回は財務アドバイザーで起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
財務アドバイザーとは?
財務アドバイザーとは、個人や企業に対して財務に関するアドバイスを提供する専門家のことです。主な業務には、投資戦略の提案、税務計画、資産管理、リスク管理、そして資産承継に関するコンサルティングが含まれます。企業においては、財務健全性の分析や資金調達のサポートを行い、個人に対しては、長期的な資産形成や老後の生活設計に役立つアドバイスをしていきます。
財務アドバイザーの仕事
財務アドバイザーの仕事は主に次のような業務を顧客に対して行っています。
資産運用の提案・管理
財務アドバイザーは、顧客の目標やリスク許容度に基づき最適な投資ポートフォリオを設計します。たとえば、投資商品の選定や分散投資の戦略を立案、資産の成長を支援するといったことです。
財務計画の策定
財務アドバイザーは、顧客のライフプランに合わせた長期的な財務計画を作成します。収入、支出、資産、負債の分析を行ったうえ、将来の目標達成に向けた計画を立てていきます。
保険の提案
また、財務アドバイザーは、予期せぬ事態に備えるためのリスク評価も行います。たとえば、生命保険や医療保険、損害保険などの適切な保険商品の提案や契約手続きをサポートします。
税務対策や節税のプランニング
財務アドバイザーは、顧客の税負担を最小限に抑えるための効果的な税務戦略を提案します。そのために最新の税制や法規制をしっかり把握したうえで、適切なアドバイスを行います。
老後の資金計画
退職後の生活に必要な資金を確保するための計画を立案するのも財務アドバイザーの仕事。年金制度の理解や退職金の運用方法についてアドバイスしていきます。
資産承継と相続対策
さらに財務アドバイザーは、遺産相続や資産承継に関する計画を策定して法的手続きをサポートします。たとえば、遺言書の作成や信託の活用など円滑な資産移行を支援していきます。
市場調査・マーケティング
財務アドバイザーは、常に新しい金融商品や投資機会を探していくことが求められます。そのためにも経済動向や金融市場の分析を行って最新の情報を顧客に提供することが使命です。金融セミナーや研修への参加などを行ったり、市場調査やマーケティングを徹底することで、財務知識を習得していくことが日々求められます。
顧客とのコミュニケーション
顧客とは定期的なミーティングや報告書を通じて、財務状況の見直しと改善策を提案することも財務アドバイザーは行います。顧客のライフイベントや経済状況の変化に合わせて計画を随時更新していくため、未来予想が大きく外れることはあまりありません。
財務アドバイザーとして起業するのに必要なもの
財務アドバイザーは、個人や企業の財務計画や資産運用をサポートする専門職ですので、経営や金融に関する知識はある意味必須と言えるものです。財務アドバイザーとして独立起業し活躍するのに必要と言われるものを挙げてみました。
学位
大学で経済学や経営学、金融学、会計学などの分野で学士号を取得しておくと財務に関する基本的な知識を身につけることができます。財務アドバイザーとして独立起業するにあたり、最低限の知識があると認められやすくなりますので経済学部や経営学部、商学部などはおすすめです。
資格
財務アドバイザーとして活躍するためには、税理士、公認会計士、証券外務員、宅地建物取引士など業務内容に応じて資格を取得しておくと有利です。
それ以外の国家資格や民間資格として取得しておくとよいものは次の通りです。
AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)・・・日本FP協会が認定する資格で、基本的なFP知識を証明してくれます。
CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)・・・AFPの上位資格で、国際的にも認められているものです。
FP技能検定/ファイナンシャルプランニング技能検定・・・一般社団法人金融財政事情研究会および特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が行っている国家資格である、ファイナンシャルプランニング技能士の資格ですが、ファイナンシャルプランナーとして活躍するためには2級以上の取得が好ましいです。
人脈構築
財務アドバイザーとしての業務を円滑にこなすためには、日本FP協会などの団体に加入して、同業者との情報交換や人脈を広げたり、税理士や弁護士など他の士業との協力体制を築くことでサービスの幅を広げることができます。そのようなネットワークは一朝一夕で作られるものではありませんので、独立起業する前から人脈構築はしっかりと行っておきたいものです。
実務経験
財務アドバイザーとして活躍するには、銀行や証券会社といった金融機関や保険会社、コンサルティング会社での勤務経験または独立系のFP事務所で経験を積むことが有効です。そこでの数年の経験が実務スキルと顧客対応力を向上させます。
財務アドバイザーとしての収入
財務アドバイザーはコンサルティング会社や会計事務所などに属している人でも1,000万円程度の年収が稼げる業種です。かなり高収入であることから転職や独立起業しなくても十分高い年収が期待できることは間違いありません。ただ、自分のやりたい業種に対しての財務アドバイスができなかったり、きついノルマがプレッシャーとなり体調面で不安がある、といった人の場合は、独立起業して自分のペースでやっていくのもありでしょう。
前述の通り高収入が期待できる仕事ではありますが、もちろん楽な仕事ではありません。当然独立起業して仕事を得ることができなければ、倒産の憂き目に逢うことも予想されます。過去の経験や実績は案件を獲得するうえで有効に働くこともありますが、仕事を取った後しっかりと自分で仕事を回せることができるかどうかが、独立後の結果につながっていきます。軌道に乗れば、3,000万円を超える年収も期待できる、魅力のある仕事と言えるでしょう。
まとめ
財務アドバイザーとして独立起業するためには、自身で営業を行って仕事を取れる力はさることながら、専門的な知識と資格の取得だけでなく、実務経験や継続的な学習も重要です。顧客の信頼を得るために、高い倫理観と優れたコミュニケーション能力を持つことが求められます。