飲食店経験者であれば、飲食店コンサルタントとして独立起業を考えている人もいるかもしれません。ただし、飲食店コンサルタントは思った以上に幅広い領域の知識が必要となるため、どのようにしてなればよいのかよくわからない、また起業するにはどのような資格が必要かなど知識を持たない人も多いのではないでしょうか。
今回は飲食店コンサルタントとして起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
飲食店コンサルタントとは?
飲食店コンサルタントとは、飲食業界に特化した専門知識と豊富な経験を持ち、飲食店の経営改善や新規開業、運営効率化などをサポートする専門家のことを指します。これから飲食店経営者や新規開業を目指す人に対し、ビジネスのさまざまな面で支援するのが仕事です。
飲食店コンサルタントの仕事内容
飲食店コンサルタントの仕事内容は多岐にわたり、飲食業界における専門知識と経験を活かしてクライアントの店舗運営を総合的に支援することです。具体的には次のような業務を行っていきます。
1.経営分析と現状評価
飲食店コンサルタントは、最初にクライアントの店舗の現状を詳細に分析します。具体的には、売上データやコスト構造、人材配置、顧客満足度などの各種データを収集・解析して現状課題や改善点を明確化します。また、この段階で、財務状況の把握や市場ポジションの評価も行い、経営全体の健全性を診断することがあります。
2.戦略立案と事業計画の策定
行った現状分析を基に、飲食店の成長や安定化を図るための具体的な戦略を立案していくのが次の段階です。戦略立案では、売上向上のためのマーケティング戦略や新規顧客獲得のための施策、コスト削減のための運営効率化プランなどを実施します。また、新規開業を目指す場合は、事業計画書の作成や資金調達の支援も行っていきます。
3.メニュー開発と商品戦略
さらに、飲食店の魅力を高めるためのメニュー企画・開発を支援することも飲食店コンサルタントの仕事。市場のトレンドや顧客の嗜好を分析し、競争力のあるメニューを提案したり、食材選定や調理プロセスの最適化を図ったりしながら、品質の維持・向上を目指します。価格設定や原価管理のアドバイスも行い、利益率の向上をサポートすることもあります。
4.店舗デザインとレイアウト
飲食店コンサルタントは、店舗の雰囲気や顧客体験を向上させるために、内装デザインやレイアウトの改善を提案することもあります。効率的な動線設計や快適な空間作りを通じて、顧客の満足度を高めるとともにスタッフの作業効率も向上させたり、必要に応じて専門のデザイナーや施工業者との連携も行ったりします。
5.マーケティングとプロモーション
さらに、効果的なマーケティング戦略を策定して実施することもあります。具体的には、オンラインマーケティングやSNS活用、Webサイトの最適化を通じて集客力を高めるほか、広告やプロモーション活動の企画・実行を支援したりもします。また、ブランドイメージの構築やリブランディングのサポートも行い、店舗の認知度向上を図ります。
6.人材育成とマネジメント
飲食店が繁盛するかしないかはスタッフにかかっていると言っても過言ではありません。そのため、スタッフの教育やマネジメント方法の改善を提案し、効果的な研修プログラムの設計や、リーダーシップの強化、人材の採用・配置戦略の立案などを通じてスタッフのモチベーション向上と業務効率化を支援します。また、労務管理やコミュニケーション改善のアドバイスも行います。
7.オペレーションの最適化
飲食店コンサルタントは、日々の業務フローを見直し、効率化を図ることも行います。具体的には、ITツールの導入や業務プロセスの改善を通じて、在庫管理や仕入れの最適化を実現。これにより、無駄なコストを削減し業務のスピードと正確性を向上させます。
8.継続的なサポートとフォローアップ
一通りコンサルティングの提案が実行された後も、継続的なサポートを提供するのも仕事。定期的な進捗確認や成果の評価を行い、必要に応じて戦略の見直しや追加支援を行います。これにより、長期的な成功と持続的な成長を支援します。
飲食店がコンサルタントを利用したほうが良い理由
飲食店がコンサルタントを利用したほうが良い理由には、次のようなものがあります。もちろん、飲食店コンサルタントがいなくても飲食店経営はできますが、長く継続的に飲食店を運営し続けるには飲食店の幅広い知識が必要となるケースがたくさんあるのです。
コスト効率の向上
一見すると飲食店コンサルタントの利用には費用がかかるように思えますが、長期的にはコスト削減や収益向上に繋がる可能性があります。たとえば、無駄な在庫管理の改善や効率的な人材配置、効果的なマーケティング戦略の導入など、具体的な施策を通じて経営資源を最適化することができます。
戦略的な計画立案
飲食店の成長や安定化を図るためには、明確な戦略が必要です。そこに対し飲食店コンサルタントは市場分析や競合調査を基に、売上向上や新規顧客獲得のための具体的な戦略を立案することができます。また、新規開業や店舗拡大を検討している場合には、事業計画書の作成や資金調達の支援も行います。
効果的なマーケティングとブランディングの実現
飲食店の認知度を高め、集客力を強化するためには、効果的なマーケティング戦略が不可欠です。コンサルタントはSNSやWebサイト、広告キャンペーン企画など、最新のマーケティング手法を提案し、各施策の実行をサポートします。また、ブランドイメージの構築やリブランディングを通じて、店舗の魅力を最大限に引き出すことも支援できます。
飲食店コンサルタントとして起業するのに必要な資格
飲食店コンサルタントとして成功するために、特別必要となる資格やスキルはありません。ただし、次のような資格があるとクライアントを説得するためには非常に有効です。
食品衛生責任者
食品衛生責任者として食品の安全管理に関する知識を持つことは、飲食店コンサルタントとして重要です。
調理師免許
実際の調理経験や知識を持つことで、メニュー開発やキッチン運営のアドバイスがしやすくなります。
中小企業診断士
経営全般に関する高度な知識を有し、コンサルティング業務全般に対応可能です。
飲食店コンサルタントとしての収入
飲食店コンサルタントの収入ですが、一般的な企業勤めの飲食店コンサルタントの平均年収は約400万円から800万円程度とされていますので、まずはこの金額を上回れるようにすることを目指しましょう。独立前の会社からのクライアント引き継ぎができたりすれば、開業直後でも収入は確保できる可能性が高まりますので、独立を意識した段階でクライアント候補に目星をつけておくのがおすすめです。
また営業活動もさることながら、立ち上げ直後はあまりコストをかけず低コストで事業をスタートさせるのが賢明です。それにはレンタルオフィスを活用するなど固定費をどうやって削減するかに知恵を絞りましょう。
まとめ
飲食店コンサルタントは、幅広く専門的な知識と経験を活かし、具体的なアクションプランを提供するなど、飲食店の成長と持続的な成功を支援する仕事。飲食業界で成功を目指す経営者や新規開業者にとって非常に価値のあるパートナーとなり得る存在ですので、必要となる知識をバランスよく身につけたうえで、クライアントに対して高品質なコンサルティングサービスを提供し、飲食店の成功を実現していきましょう。