個人的に株やFXをしている人も多いと思いますが、なかには法人口座を開設して事業として株やFXをしている人もいます。トレーダーが法人化すると、個人よりも節税効果が高くなるため、ある程度の売り上げが見込めるようになったら、脱サラしてトレーダーとして活躍してみるのもよいかもしれません。
今回は株・FXトレーダーとして起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
トレーダーとは?
トレーダーとは、株式やFX、暗号資産(仮想通貨)、先物、オプションなどの金融商品を売買し、利益を得る人のことを指します。
トレーダーにはさまざまな種類があり、株式市場で企業の株を売買する株式トレーダーや、外国為替市場で通貨の取引を行うFXトレーダーが一般的です。近年ではビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を売買する暗号資産トレーダーも注目されています。
トレーダーの種類
トレーダーには大きく分けて専業トレーダーと兼業トレーダーがあります。これら2つにはトレードを行う際の取り組み方や生活スタイルに大きな違いがあります。
専業トレーダー
専業トレーダーとは、トレードを本業として収入を得ている人を指します。日々の収入のほとんど、またはすべてがトレードによってまかなわれており、金融市場の動向を常に監視しながら取引を行います。専業であるため、相場が動く時間帯に集中してトレードができるというメリットがあること、加えて相場の分析に時間を割けることから、高度な市場分析力や戦略が求められます。しかしながら、収益が安定しないリスクもあり、相場が低迷する時期には精神的なプレッシャーが大きくなることもあります。
兼業トレーダー
兼業トレーダーとは、別の本業を持ちながら空き時間にトレードを行う人を指します。仕事が終わった後や休日などに市場をチェックして限られた時間で売買を行います。兼業であるため収入源が複数あり、相場が不調でも生活に大きな影響を受けにくいというメリットがあります。ただし、日中に相場が急変しても対応が難しいため、トレード手法は中長期のスイングトレードや、自動売買ツール(EA)を活用した方法が主流です。
専業と兼業のどちらを選ぶかは、個人のリスク許容度やライフスタイルによって異なります。専業は時間と集中力をトレードに注ぐことができる分、収益の波に左右されやすいのが特徴です。兼業は安定した収入を維持しつつ資産形成を目指せるものの、トレードに使える時間が限られるため、短期売買で利益を積み上げるのは難しい傾向にあります。
株やFXの専業トレーダーとして起業するメリット
専業トレーダーと兼業トレーダー、2つのうち専業トレーダーとして起業することは多くのメリットがあります。よってここからは専業トレーダーとして起業した場合のメリットについて見ていきましょう。
収入の上限がない
専業トレーダーは成功すれば短期間で大きな利益を得られる可能性があります。ビジネスオーナーやサラリーマンとは異なり、自身のスキルと努力次第で収益を最大化できる点が魅力です。
時間と場所に縛られない自由な働き方
専業トレーダーは、基本的にパソコンやスマートフォンがあればどこでも取引が可能です。インターネット環境が整っていれば、自宅やカフェ、レンタルオフィス、旅行先でもトレードができます。通勤の必要もなく時間を自由に使えるため、自分のペースで働けるのが大きなメリットです。
初期費用が少ない
専業トレーダーは他のビジネスと比べて、トレードで起業する際の初期費用が比較的少なく済みます。必要なのはトレード資金とパソコン、インターネット環境程度で、大規模な設備投資は不要です。自己資金の範囲内で始められるため、リスクを抑えつつ起業が可能です。
法人化すれば節税効果が高い
専業トレーダーとして利益を得ると、当然ながら税金がかかります。しかし、専業トレーダーでも工夫次第で節税が可能。特に法人化すれば節税効果を得ることができます。一定の利益を安定して得られるようになったら、個人ではなく法人化を検討するのが有効です。
ちなみに個人の場合の所得税は累進課税で最大55%(住民税含む)の支払い義務が生じますが、法人化した場合、利益が800万円以下であれば約20%程度で済みます。つまり個人トレーダーでなく法人としてトレードすれば利益に対する税率が抑えられるうえ、経費計上の幅も広がります。
たとえば、経費に関しては次のようなものが法人化した場合に認められます。
経費項目 | 商品例 | 備考 |
設備・備品関連 | PC、モニター、タブレット、スマートフォン | トレード専用のデバイスは全て経費に耐用年数に応じて減価償却 |
デスク、椅子、UPS(無停電電源装置) | トレードルームの設備費用も経費計上可能 | |
通信費・インフラ | インターネット回線料金 | 高速回線を利用している場合も経費対象 |
サーバー費用・VPS | 自動売買のための仮想サーバー運用費用 | |
取引関連費用 | 証券会社・FX会社の手数料 | 取引時に発生するコストはすべて経費として計上 |
スプレッドコスト、自動売買ソフト(EA)購入費用 | トレードに直接関わるコストは漏れなく経費に | |
教育・情報収集費用 | 書籍・参考書、セミナー・オンライン講座 | 市場分析やトレード技術向上のための費用 |
ニュースサイト購読、有料アナリストレポート | トレーダー向け情報収集も対象 | |
交通・出張費用 | セミナー・勉強会の参加費、交通費 | トレード関連の外出・出張費用も経費に |
海外視察、トレード仲間との情報交換会 | ビジネス交流や視察を伴う出張も経費対象 | |
光熱費・家賃 | 自宅の家賃・光熱費の一部 | 面積按分でトレードルーム分を経費にできる |
電気代、エアコン代 | トレード専用部屋の消費電力も経費 | |
保険・福利厚生 | 法人契約の生命保険・医療保険 | 役員(自身)向けの保険料は経費計上可能 |
健康診断費用 | 役員の健康維持も経費の対象に | |
役員報酬の退職金積立 | 退職金を法人で積み立てることで利益圧縮 | |
交際費・接待費
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投資仲間や証券会社担当者との会食費 | 情報交換会や接待費も経費対象 |
勉強会開催費用 | トレーダー同士の会合や交流会の費用も対象に | |
減価償却費 | 高額PC、モニター | 一括経費が難しい場合は減価償却して計上 |
消耗品 | 文房具、ノート、プリンターインク | 日常的に使うトレード関連の消耗品も経費化 |
株やFXトレーダーとしての収入
株やFXの専業トレーダーの収入はピンキリです。年収1,000万を稼ぐ人もいますし中には「億り人」と呼ばれるような1億円以上を獲得している人もいます。その一方で稼げないトレーダーも数多く存在しています。
一般的に専業トレーダーとして活動していくためには、株やFXでの年間利益が500万円以上稼げるようになることが目標とされています。これは個人トレーダーから法人化する際の節税効果を得られる額がだいたいこの額を稼げるようになったら、と言われていることからもおおよそ間違っていません。トレーダーの収入は浮き沈みが激しく、勝つこともあれば負けることもあり、常に勝てるわけではないということを念頭に置いたうえで、負けが込んだ時にはメンタルがやられないようにするための強い精神力も必要です。
まとめ
株やFXトレーダーとして個人トレーダーから法人化していくことは、税制面でのメリットだけでなく、経費計上の観点や資産保全の観点からも大きなメリットがあります。計画的に法人化を進めることで、長期的に有利なトレード環境を構築できますので、専業トレーダーとして活躍したいのであれば、法人口座開設をおすすめします。