社交辞令というと、ネガティブな印象を持たれがちですが、正しく活用すればビジネスにおける人間関係を円滑に進めるためのスキルとなります。
また、職場や取引先で苦手な人がいる場合にも、角を立てずにコミュニケーションを取る方法としても役立ちます。
そこで、今回は社交辞令を使うシーンや本音と社交辞令の見分け方について解説します。
目次
社交辞令とは?
社交辞令とは、人間関係を進めるために丁寧な言葉や態度を示すことです。
相手に対する敬意や好意を表すと同時に、円滑なコミュニケーションや人間関係の維持に役立ちます。
ビジネスでなぜ社交辞令が重要かというと、「挨拶」と「コミュニケーション」の2つの側面があるからです。
フレーズに特別な意味があるわけではなく、「尊敬・配慮」していることを暗に伝えることができ、信頼を得るためにも重要なスキルの1つと言えるでしょう。
社交辞令を使うシーンの例
では、社交辞令はどのようなシーンで用いられるのか、具体的な状況を紹介します。
商談をスムーズに進めたいとき
お客様との商談をスムーズに進めたいとき、相手を褒めるときに社交辞令が使われることもあります。
たとえば、一度お世話になっていた場合、次に会ったとき「その節は、お世話になりました。」と伝えると好印象を与えられます。
顧客や取引先にはネガティブな要素はできるだけ取り除きたいものです。
そのため、相手に嫌な印象を与えないよう、コミュニケーションを図る目的でも、社交辞令は重要なポイントとなります。
その場を穏便にやり過ごしたいとき
ビジネス上でも、なるべく関わりたくない、本当の気持ちを伝えたら関係が悪化する場合にも、社交辞令は使われます。
その場を穏便にやり過ごしたいときや、関わりたくない場合、「またこちらから連絡します」と伝えるのも社交辞令も1つです。
「こちらから連絡するので、それまでは連絡しないでください」というニュアンスを含んでいるので、相手への牽制にも役立ちます。
相手の意見と自分の意見が異なるとき
相手と自分の意見が異なるとき正面から否定しづらい場合にも、社交辞令は用いられます。
「さすがですね」「参考になります」などの言い回しを使うことで、相手を立てながら意見が違うことを伝えずに回避できます。
相手の心をつかむ社交辞令
社交辞令は、うまく利用すれば相手に好印象を与えられ、ビジネスをスムーズに進める重要な味方になります。
そこで、実際のビジネスシーンで相手の心をつかむ社交辞令について紹介します。
興味のない誘いを断りたいとき
「お声がけありがとうございます。楽しそうではあるのですが、残念ながらその日は予定があり参加できません。次回は参加したいので、またお声がけください」
職場では、飲み会や食事など、誘いを受けることもあるでしょう。
しかし、興味のない誘いであれば、はっきりとその場で断ることが重要です。
誘いに対してのお礼を伝えた上で、行けない理由を伝えましょう。
角の立たない断り方なので失礼にもならず、次回に参加したいと思った場合にも支障をきたしません。
自慢話を聞いたとき
「経験が違いますね。それで、仕事の○○のことですが・・・」
自慢話や武勇伝は、適度に共感しつつ、適切なタイミングで別の話題に移るように誘導するのがおすすめです。
自慢話をしてくる人は、自分に自信がなく現状に満足していないことがほとんどです。
そのため、自慢話を過度に賞賛すると、反対に自慢話がヒートアップするので注意が必要です。
迷惑をかけてしまった相手に会ったとき
「以前は○○の件でご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。あれから、改善をしてまいりましたが、不都合ありませんでしょうか。」
取引先やお客様など、過去に迷惑をかけてしまった相手に会ったときは、すぐに謝罪から始めると良いでしょう。
謝罪のポイントとしては、問題点を事実として伝え、申し訳ないと謝ったうえで、どう改善したのか、何か問題はないかを確認するようにします。
注意したい社交辞令の例
社交辞令の中には、真に受けて受け取ってしまうと痛い目に合うことも少なくありません。
そこで、お客様や上司に言われる言葉で、鵜呑みにすると危ない事例を紹介します。
「いつでもいい」は迅速に対応するべき
上司やお客様から、「いつでもいいから対応お願いします」ということは度々起こります。
受け取る側からすると「いつでもいい」のであれば、後回しにしてしまいがちではないでしょうか。
しかし、「いつでもいい」の捉え方は人によって異なり、「今日中にはやってほしい」「時間が空いたときに急ぎではない」と考え方に幅があるのです。
そのため、自分の考えで安易に3日4日放置すると、トラブルに発展する可能性があります。
そのため、「いつでもいい」と言われたら、「明日までの対応でもよろしいでしょうか」など具体的な期限を確認すると良いでしょう。
「検討します」は断り文句の可能性が高い
お客様との会話で「検討します」と言われて、そのまま契約されないというケースを経験した人も多いのではないでしょうか。
実際、本人を目の前にしてはっきりと「契約しません」とは言い出しにくいため、断り文句として「検討します」と言われることも多いです。
「検討します」と言われたとき、「社内稟議を申請するのでお待ちください」「〇日までに検討してお返事します」など、具体的に検討してくれるケースもあります。
ただし、「検討します」と一言だけの場合、「何を検討するのか」「いつまでに返事をもらえるのか」を確認してみて下さい。
保留にする理由によっては交渉の余地がある場合もあり、違った角度から話ができるかもしれません。
「大丈夫です」は問題があっても大丈夫と言ってしまう
上司や先輩からの「大丈夫?」は、問題があっても「大丈夫ではない」と言いづらい雰囲気があります。
急ぎでない案件を頼むときは良いですが、早急に対応してほしい仕事を依頼するときに気になるようであれば「大丈夫?」以外の言葉を使うようにしましょう。
たとえば、体調が悪そうに感じるなら「熱はある?」「咳が出てるけど、体調悪い?」と質問を変えてみると違った答えが返ってくるかもしれません。
本音と社交辞令の見分け方
社交辞令と本音は混ざっていることもあり、線引きが難しいのが実情です。
そこで、この章では社交辞令と本音の見分け方のポイントを整理しておきましょう。
言動が一致しているか
まず、社交辞令は、言動(言葉と行動)が一致しているかで、本音かどうか見分けられます。
たとえば、後輩から「今度案件の相談させてください」と言われたあと、実際に相談されたら社交辞令ではなかったということがわかります。
つまり、本音の場合は言動が一致、社交辞令であれば行動が伴わないということが見極めるポイントです。
約束が具体的か
「また機会があればお願いします」など、曖昧な約束の返事が来ることもあるでしょう。
約束事が本音かどうか見分けるポイントは、「約束の内容が具体的かどうか」を判断材料にすると分かりやすいです。
相手が本当に「会いたい」「次の機会もお願いしたい」と考えているなら、具体的な日にちや場所を提案してくることが多いです。
また、具体的な約束でない場合、いくつか日にちを提案してみるのも方法の1つです。
たとえば、「〇日か〇日はいかがですか」と聞いて、前向きではないなら社交辞令であると考えると良いでしょう。