お疲れ様やご苦労様という言葉は、日本語の中でよく使われる挨拶や励ましの言葉です。
仕事や活動の終わりに相手に対して使用されることが一般的ですが、その意味や使い方にはいくつかのニュアンスがあります。
間違って使ってしまうと失礼に当たることもあるので、しっかり理解しておきましょう。
この記事では、お疲れ様とご苦労様の正しい使い方や違いについて詳しく解説します。
目次
「お疲れ様」「ご苦労様」「お世話様」の使い分け
言葉の種類 | 主な使用シーン |
お疲れ様です | 部下から上司 |
ご苦労様です | 上司から部下 |
お世話様です | 上司から部下 |
「お疲れ様」は、相手の仕事や活動に対して感謝や労いの意味を込めて使われる言葉です。
そのため仕事が終わった後や長時間の労働の後に、同僚や上司、部下などに対して言われることが一般的です。
一方、「ご苦労様」とは、相手の労働や努力を称える言葉です。
主に上司や目上の人が部下や目下の人に対して使われることが多いですが、同僚や親しい関係の人同士でも使われることがあります。
また、似た用途で「お世話様です」もありますが、ご苦労様ですと同じように上司から部下に向けて使う言葉なので上司や取引先など、目上の人には使わないのがマナーです。
「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の意味と由来
「お疲れ様です」と「ご苦労様です」を正しく使うには、意味や由来を理解しておくと咄嗟のときに便利なので覚えておきましょう。
ご苦労様ですの由来と意味
「ご苦労様です」という言葉は、職場や日常生活で広く使用される感謝や労いの言葉です。
この言葉の起源は、封建時代の日本に遡ります。
当時、上位者が下位者に対してその労力や努力に感謝し、尊敬を表すために使用されていました。
「苦労」という言葉自体は古くから日本語で使われており、文字通り「苦しい労働」や「辛い仕事」を意味します。
「ご」を付けることで敬意を示し、相手の努力や苦労に対して感謝の意を表します。
つまり、「ご苦労様です」は、相手の努力や忍耐に対して敬意と感謝を示す言葉です。
封建時代の日本では、社会階層が明確に分かれており、武士や領主が農民や下働きの者に対して、その労働を労う際に使われていました。
背景には封建社会における厳格な上下関係が存在していました。
上位者が下位者の努力を評価し感謝することで、社会秩序が保たれていたのです。
このように、「ご苦労様です」は、特に上位者が下位者に対して彼らの努力や仕事に対する感謝の意を表現するために使用されることが多いです。
お疲れ様ですの由来と意味
「お疲れ様です」という言葉は、現代の日本において最も一般的に使用される労いの言葉の一つです。
この言葉の起源は、平安時代にまで遡ります。
当時から日本人は「疲れ」という概念を尊重し、互いに感謝の意を表現するために使っていました。
「疲れ」という言葉は、肉体的または精神的な労力の消耗を意味します。
「お疲れ様です」は、その労力に対して感謝や敬意を示すための表現であり、特に相手の努力を認める意味があります。
平安時代から江戸時代にかけて、「疲れ」という概念は主に貴族や武士の間で使用されていました。
当時の社会では、労働や努力に対する感謝を示すことが非常に重要視されており、この感謝の表現が「お疲れ様です」という言葉の形で現れました。
江戸時代になると、商人や庶民の間でも労働に対する感謝の表現として広まりました。
とくに商業活動が活発になるにつれて、労働者間で互いに感謝の意を示す言葉として定着していったのです。
このように「お疲れ様です」は、仕事や活動の終了後に相手に対して、その努力や労力を認め感謝の意を表すために使用されます。
この言葉は「ご苦労様です」よりも幅広い状況で使われることができ、同僚間や上司から部下、または部下から上司に対しても使うことが適切です。
お疲れ様ですの使い方をシーン別に紹介
「お疲れ様です」はビジネスシーンでも使う機会が多く、比較的どのような場面でも使いやすいのが特徴です。
たとえば社内においては「上司」「同僚」「部下」問わず使えるので、非常に重宝する表現と言えるでしょう。
しかし、お疲れ様ですはシーンによっては伝わりにくいことがあります。
そのため、「悩む上司への声かけ」について類義語を整理しておきましょう。
感謝を伝えたいシーン:ありがとうございます
上司に仕事を助けてもらうなど、感謝を伝える時は「ありがとうございます。」の方が適しています。
また、社長などより目上の人にお礼を伝える場合は「お礼申し上げます」などかしこまった表現を使うのもおすすめです。
感謝を伝える場合の例文
- 本日はお忙しい中ご出席いただき、感謝いたします。
- ○○の件でご指導いただき、ありがとうございました。
挨拶を伝えるシーン
挨拶では「お疲れ様です」でも問題ありませんが、時間帯によって使い分けるとより効果的です。
たとえば朝の挨拶は「おはようございます」お昼では「こんにちは」など、時間帯に合った表現も使えるようになるとよりベストと言えるでしょう。
挨拶を伝えるシーンの例文
- おはようございます。今日も1日よろしくお願いします。
- みなさまこんにちは。本日の会議で進行をつとめます、○○です。
上司より先に帰宅するシーン
上司よりも先に仕事を終えて帰宅するときには「お疲れ様です」でも良いですが、一言添えると相手への気遣いが伝わりやすくなります。
上司より先に帰宅するシーンの例文
- 本日の業務が終わりましたので、お先に失礼いたします。お疲れ様です。
ねぎらいを伝えるシーン
取引先との打ち合わせやプレゼンなど、何かの区切りに上司へ言葉をかけたい時には「感謝の言葉」や「ご自愛ください」などの言葉も使いましょう。
ねぎらいを伝えるシーン
- 本日は○○さんのご指導のおかげで無事に終えられました。今後もご迷惑をおかけするかと存じますが、引き続きよろしくお願いいたします。
- 急に冷えてきたので、ご自愛ください。
お疲れ様ですを使うタイミング
お疲れ様ですは汎用性の高い表現ですが、メールやお客様に対して使っていいのか不安に思う人もいるでしょう。
それぞれのタイミング別に、具体的に解説します。
社内の人に対してメールで「お疲れ様です」は使っても良い
ビジネスではメールでやり取りする機会が多いですが、メールの文章で「お疲れ様です」を使うかどうか迷う人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、上司を含めて社内にいる人に対してはメールで「お疲れ様です」を使っても問題ありません。
注意点としては、年配にあたる人へのメールです。
年配に当たる人の中には「お疲れ様です」を失礼と考える人もいるので、代わりの言葉として「いつも大変お世話になっております。」「メールを拝読いたしました。」などの表現にすると好印象を与えられるでしょう。
お客様への「お疲れ様です」は問題ない?
取引先やお客様に対し「お疲れ様です」を使うのは、表現としては間違いではありません。
しかし少し軽い印象を与える可能性があり、失礼だと感じる人もいるかもしれません。
そこで、旅行業界ではお客様への言葉がけで「お疲れ様でございます」という表現を使っています。
「お疲れ様でございます」は「お疲れ様です」をより丁寧に表現した言葉で、正しい日本語として使うことができます。
そのため年配のお客様、社長やクライアント先の役員など、表現をより丁寧にしたいときは「お疲れ様でございます」を使うとより誤解を与えないでしょう。
まとめ
お疲れ様やご苦労様は、日本語における重要な挨拶や励ましの言葉です。
仕事や活動の終わりに相手に対して感謝や労いの意味を込めて使われることが一般的であり、日本の文化や社会において重要な役割を果たしています。
これらの言葉を適切に使い分けることで、相手に対する敬意や感謝の気持ちを表現することができるのでビジネスシーンでも仕事を円滑に進めることができるでしょう。