中古品を買い取り、欲しい人に売ってその利ザヤを稼ぐ「買取サービス」。
昨今メルカリのようなフリマアプリの人気に伴い、市場拡大傾向にあることや、参入障壁の低さから「買取サービス」で起業しようと考えている人もいるのではないでしょうか。
買取サービスはフランチャイズ展開しているところも多く、その傘下に加盟し運営するのが手っ取り早いです。
面倒なことはフランチャイズ本部が行ってくれるため、集客においても支援を受けることができるところもあるようですが、その一方で本部の意向が強く、自由度があまりないこと、ロイヤリティの負担が大きいことなどから、あまり長続きせず廃業する人も後を絶ちません。
もちろん「自分一人の力で買取サービスを立ち上げる」といった方法もありますが、開業資金の準備や店舗契約、古物商許可の取得などやらなければならないことは多々ありますので、大変であることには変わりありません。
今回は買取サービスで起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
買取サービスとは?
買取サービスとは、企業が個人が所有している商品や不用品を業者が買い取り、リユースとして別の人に提供していくサービスを指します。
売り手側は使用しなくなった商品や不要な物品を現金化することができ、業者側はそこで仕入れた商品を再販したり、リサイクルすることを目的としたビジネスで、主に家電製品や家具、衣類、書籍、車、宝石や金属製品、ブランド品、ゲーム機やカメラなどが対象となります。
買取サービスは、店舗での対面型買取やオンライン上で手続きができる宅配買取、さらには出張買取など、さまざまな形態がありますが、特にオンライン上で行える宅配買取は、売り手側が自宅から商品を送るだけで簡単に査定および買取をしてもらえるため、手軽で人気があります。
買取サービスの基本的な流れ
買取業者は、売り手の商品を査定してその価値に基づいた価格を提示します。
提示した価格に売り手が同意すると商品が業者側に引き渡され、現金や銀行振込などによって支払いが行われます。
買取業者は買い取った商品をクリーニングしたり、修理して再販する、別のリサイクル市場に出品するなどして利益を稼ぎます。
買取サービスに必要な資格とは?
買取サービス業を始めるためには、主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)に「古物商許可」を申請する必要があります。提出書類は、警察署を通じて公安委員会で審査されます。
法人として許可申請する場合には次のような資料を用意しなければなりません。
- 法人の定款
- 法人の登記事項証明書
- 略歴書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
- 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
- 誓約書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
- 身分証明書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
- URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ必要)
審査が通ると公安委員会から古物商許可が発行されますが、審査には通常30日から40日程度かかります。
許可が下りたら警察署から通知が届きますので、許可証を受け取ることが可能です。
許可証が交付されたのち、営業を開始する際には店舗に「古物商許可証」を掲示する義務があります。
これに加え、古物商の営業を示す古物商標識を見やすい場所に設置する必要があるので覚えておきましょう。
なお、許可を取得したのち古物商としての営業活動を行う場合には、取引ごとに詳細な記録を残す義務があります。
もし古物商許可申請を行わず、許可なく中古品販売を行う買取業を行った場合には、「懲役3年または100万円以下の罰金」がかかってしまうので注意しましょう。
買取サービスをフランチャイズでスタートするには?
買取サービスでの起業を最も楽にスタートする方法は、フランチャイズに加盟することです。
たとえば「大黒屋」「おたからや」「買取大吉」などはよく見かける買取フランチャイズ店ですが、取り扱いたい商品な度を考慮したうえで、どの店舗のフランチャイズに加盟するかを決める必要があります。
どの店舗にもメリット・デメリットがありますので、「ロイヤリティ」「サポート内容」などを比較して検討してみましょう。
買取サービスとしての収入
買取サービスで起業した場合の想定年収を公開しているデータはありませんが、一説によると買取サービス店のオーナーの年収は700万~1,000万円程度と言われており、努力次第で高収入を得られる可能性が高い業種と言えます。
ただし、ブランド品や貴金属、時計等、もともとの取引値が高いものを扱えば利益率も高く、儲かる可能性は高くなりますが、一方で商品単価があまり高くないもの、季節によって売り上げが左右されるもの、電化製品のように年度が経てば価値の下がっていくものなどを中心とした買取サービスを行っていく場合には、期待したほどの売り上げが見込めない可能性もあります。
買取サービスを始めるのにかかる費用はどれくらい?
買取サービスを始める際にかかる資金は、事業規模や取扱商品、営業形態(店舗型か、オンライン型か)、個人経営かフランチャイズかによっても大きく異なります。
たとえば、小規模にオンライン型買取サービスから始める場合には、古物商許可の申請費用、買取資金、ホームページ、システム費用など、ミニマムでも50万円~100万円程度かかります。
小さな店舗型の場合には、上記の費用に加えて店舗の賃貸費用や内装費、在庫資金、マーケティング費などが加わり、100万円~300万円程度を見ておく必要があります。
さらに大きな店舗や複数店舗運営を検討している場合には、上記までの費用に必要となる人件費などを考慮していくと300万円~1,000万円以上の資金が最低でも必要となるでしょう。
当然イニシャルコスト以外にもランニングコストもかかってきますので、最低半年から1年は運営を継続できる程度の資金をみておかなければなりません。
自己資金や銀行などからの借入れなどで集めた資金から、どのくらいの規模で事業が展開できるかをしっかり計画を立て、無理のない範囲での運営を行っていく必要があります。
なお、フランチャイズによる買取サービスを使って起業を考える場合、加盟する店舗によって異なるものの、加盟金や研修費、運転資金などの開業資金が必要となります。加えてロイヤリティの支払いが発生したりと、思った以上にコストはかかります。
一般的にフランチャイズの加盟金の相場としては、100万円〜200万円程度かかると言われていますが、中には加盟金が0円の店舗もあるようです。
フランチャイズに加盟すればブランドを使った集客恩恵が受けられることもありますので、極力手間を減らしたいのであればフランチャイズを検討してみてもよいでしょう。
まとめ
メルカリやヤフオクなどのフリマサービスがまだまだ多くの人に利用されている現在、買取サービス業界は市場拡大が見込めるため、しばらくは安泰と言えそうです。
だからといって、未知の業界にいきなり飛び込んで業績を上げていくのに不安がある、在庫を抱えたり借金をしてまでスタートするのは避けたいという人もいると思います。
その場合には、フランチャイズに加盟したりオンラインによる小規模でのスタートといった選択肢もありますので、身の丈にあった形での起業を検討してみましょう。