取引先へ訪問する際には、ある意味で会社の代表としていくことになります。そのため、基本的な礼儀作法はさることながら、相手への敬意や思いやりを具体的な行動で示すことも求められます。
時間の厳守、身だしなみ、言葉遣い、態度などすべての行動が相手との信頼関係を築く要素となります。ビジネスは人と人との関わりで成り立っているため、これらのマナーを大切にすることで、良好な関係を長く続けていくことができるはずです。
今回は取引先への訪問マナーについてお伝えしていきます。
目次
取引先へ訪問する際の基本行動
取引先を訪問する際に順守すべきマナーは、ビジネスにおける基本的な礼儀作法として身に付けておくべきものです。新人社員研修で学ぶこともあるかと思いますが、中途入社の場合には知っている前提で採用されていることがほとんどで、入社後に教えてもらうことはほぼありません。ですから、知らないと自身が恥をかくだけでなく、会社として恥をかくことにつながります。
そうならないように次に紹介するアクションタイミングでどのようにふるまうべきかをしっかりと把握しておきましょう。
訪問前はアポをきっちり取る
取引先の訪問前には、必ずアポイントメントを取り相手の都合を確認することが必要です。近くに行く用事があるからといって、連絡もなしに突然訪問することは、相手の業務に支障をきたす可能性があるため避けるべきです。なお、訪問アポイントを取る際には、訪問の目的や要件を明確に伝え、時間を正確に確認します。
基本は5分~10分前に着いておく
取引先への訪問時には、約束の時間よりも少し早めに到着するよう心掛けましょう。ただし、30分前などあまりにも早く着きすぎると相手に準備の時間を与えないことになるため、5~10分前が適切とされています。早く着きすぎで時間をつぶす場所もない場合、気心知れている関係の取引先であれば、「早く着いてしまったんですけど」といってアポを早めてもらうことができる場合もあります。
なお、遅刻はビジネスパーソンとして厳禁です。万が一遅れる場合には、遅れるのが分かった段階で早めに連絡を入れて謝罪しておきましょう。
ネームプレート・ネームホルダーは見えるように身に付けておく
入退室管理を行っている企業の場合、ネームプレートやネームホルダーが守衛から手渡され付けるように促されることがあります。このネームプレート、ネームホルダーは相手に見えるように身に付けておきましょう。くれぐれもポケットなどに入れてしまい、返すのを忘れてしまったといったことにならないよう注意しましょう。
服装は清潔感のあるものを
服装に関しては、取引先の雰囲気や業界に合わせた適切なビジネスウェアを選びましょう。それに清潔感がありしわや汚れのない服装が基本です。相手に対する敬意を示す重要なポイントともなり得ますので、靴やカバンなどの小物にも気を配り、全体的な身だしなみを整えましょう。
なお、夏のクールビズであればノーネクタイもOKですが、ネクタイはしておくほうがよいです。最近の若い方はネクタイをしないことも多いようですが、年配の方が多い会社に訪問する際には、ネクタイの着用も見られていることが多いので、忘れないようにカバンに1本は忍ばせておくと安心です。
なお冬でコート着用時には取引先に入る直前にコートを脱いでおきましょう。オフィスビルの場合には、入館後にコートを脱いでもかまいませんが、いきなり入り口となっている会社の場合には、ノックする前、またはインターフォンを鳴らす前には脱いでおくのがマナーです。
手土産は持っていっても持っていかなくてもOK
すでに取引先となっている会社の場合、それなりに関係性は築けているはずです。そのような場合には、手土産を持っていくかどうかは個々の判断によります。手土産は、訪問先への感謝の気持ちを込めた品物ですので、負担にならないレベルでの手土産は、良好な関係を築くためのツールになり得ます。
たとえば、久しぶりの訪問となった場合や、出張に行った際のお土産があるといった場合には手土産はとても喜ばれるでしょう。しかしながら、毎週のように訪問しているような関係の会社であれば、毎度手土産を持っていってはかなりの出費や負担にもなりますので、わざわざ持参する必要はありません。
上座・下座を把握しておき間違った席に座らないこと
訪問企業で案外困るのが、いったいどの席に座ったらよいか?という素朴な疑問ではないでしょうか?
座席を表すのに「上座」「下座」という概念がありますが、上座・下座は日本の伝統的な礼儀作法やビジネスマナーにおいて、座席の位置関係を示す重要な考え方です。通常、上座とは部屋の中で最も格の高い席を指し、部屋の奥や景色の良い場所がそれにあたります。反対に、下座は入り口に近い場所や出入り口に近い席です。
たとえば会議室での席順の場合、入り口から最も遠い席が上座となり、そこにお客様が案内されます。入り口に近い席が下座となり、ホスト企業が座る席となります。これは立ち位置的にクライアントと業者の主従関係であっても、ホスト側が基本的に下座、訪問側が上座に座るのが一般的です。
スマートフォンの電話はできるだけ切っておく
会議室に通されたら、打ち合わせの相手が現れるまでは静かに待機し、スマートフォンの使用は控えましょう。必要があれば、マナーモードに設定して通話は避けます。ただし、緊急の電話が入った場合、お断りをして電話に出ることもあるかもしれません。そのあたりは取引先との関係性によって、しても許される場合とそうでない場合がありますので、TPOに合わせて電話に出る・出ないを判断しましょう。
出していただいたお茶はできるだけいただくように
せっかく出していただいたお茶はできるだけいただくのが礼儀です。まれに、真夏の暑い日に熱いお茶、寒い日に冷たい飲み物が出てくることもありますが、一口でもいただきましょう。いただく際には「いただきます」「頂戴します」など一言言ってから口を付けるようにしましょう。
打ち合わせはスムーズに進行するように準備をしっかりと
取引先との商談や打ち合わせ中は、相手の話をよく聞き適切なタイミングで質問や意見を述べましょう。相手の時間を奪わないように、かつ話が長引かないように注意します。資料を用意している場合は、事前に整理しておきわかりやすく説明できるよう準備しておきましょう。くれぐれも印刷を訪問時に依頼するようなことがないようにしなければなりません。
使う言葉には注意しよう
会話は専門用語や業界用語を多用しすぎないよう心掛け、相手が理解しやすい言葉で話すことが大切です。よく業界で一般的な言葉を多用してしまう人がいますが、相手はわからないことも多いですし、知らないと聞くのが恥ずかしく知ったふりをしていることもあります。業界用語を使う場合には、できるだけ別の言葉に置き換えて話すようにするのがビジネスマナーです。
訪問のお礼メールを送る
帰社後は、できるだけ早めにお礼のメールや手紙を送ります。もし、直帰する場合には、次の日の朝になっても構いません。その中で訪問の機会をいただいたことへの感謝や、商談内容の確認、次のアクションなどについて簡潔にまとめます。このメールを送っておくことで、相手に良い印象を残し、さらに信頼関係を深めることができます。