起業や事業拡大の時期は、とくにオフィス選びが重要となります。
賃貸オフィスは自由度が高い反面、初期費用や家賃が高く、ビジネス拡大に悪影響を及ぼす可能性も否めません。
そこで、おすすめな選択肢としてインキュベーションオフィスがあります。
インキュベーションオフィスは、創業期の事業者を助ける支援や設備が整っているオフィスで、賃貸オフィスより安く利用できるのがメリットです。
インキュベーションオフィスは、起業や事業拡大の時期の大きな手助けとなるでしょう。
そこで、今回はインキュベーションオフィスの特徴や機能、向いている利用者について解説します。
目次
インキュベーションオフィスとは創業期の事業者の支援オフィス
インキュベーションオフィスとは、起業や事業拡大の時期にサポートや支援を受けられるオフィスのことです。
最大の特徴は「公的期間が関わっていること」で、自治体が運営している例もあれば、委託を受けた民間企業が運営していることもあります。
たとえば、東京都のインキュベーションオフィスは、オフィスとして求められる設備やサポートの条件が整っていれば「認定インキュベーションオフィス」として登録できます。
また、インキュベーションオフィスの利用は期間が定められており、原則1年間のオフィスが多いです。
しかし、オフィスや条件をクリアすれば3年~5年延長できるオフィスもあります。
インキュベーションオフィスは、通常のシェアオフィスよりも低価格で利用できるので、長期間利用を検討しているなら、あらかじめ利用可能時間を確認しておくと良いでしょう。
インキュベーションオフィスの機能
インキュベーションオフィスは、起業や経営に関するサポートが受けられるのが魅力です。
そして、ビジネスをスタートするのに必要な設備も整っていることがほとんどです。
どのようなサポートや設備が利用できるのか、具体的に見ていきましょう。
インキュベーションオフィスのサポート内容
インキュベーションオフィスには、インキュベーションマネージャーという起業・経営に関する知識や経験を持つアドバイザーが在籍しています。
具体的には、以下のようなサポートが対象です。
- 新規事業の相談
- 事業経営に必要なノウハウ
- 必要な人材の紹介
- 業務提携先の紹介
- 資金計画の支援
- 経理や税務申告など事務知識のサポート
- 人事労務管理
これから起業をする人はもちろん、創業期で手が回らないこともサポートしてくれるので、ビジネス拡大期には大きな味方となるでしょう。
インキュベーションオフィスで利用できる設備
インキュベーションオフィスによって設備は異なりますが、たとえば以下のような設備があります。
インキュベーションオフィスにある設備 | 詳細 |
電源 | コンセント |
インターネット回線 |
|
OA機器 |
|
オフィス家具 |
|
打ち合わせスペース |
|
作業スペース |
|
郵便物管理 |
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住所利用 | 法人登記が可能 |
すぐに仕事をスタートできるよう、インターネット回線や複合機、電源、オフィス家具といったビジネスに必要な最低限の設備が確保できます。
オフィスによっては打ち合わせスペースとして会議室やラウンジが設けられていることもあり、クライアントとの商談がある場合に便利でしょう。
ほかにも、研究室や工場があるインキュベーションオフィスもあり、必要な初期設備を準備せず費用を抑えて利用できるのも大きな特徴です。
インキュベーションオフィスのメリット
一般的な賃貸オフィスにはない、インキュベーションオフィスを利用するメリットを紹介します。
自分のニーズに合うかどうかも含めて注目してみてください。
シェアオフィスよりも賃料が安く抑えられる
インキュベーションオフィスの賃料相場は、一般的なシェアオフィスよりも低価格で利用できるというメリットがあります。
立地や間取りによっても金額は異なりますが、1ヶ月あたり3万円~5万円程度で利用できることが多いです。
さらに、自治体が運営しているインキュベーションオフィスなら、家賃の一部の補助が受けられる「賃料補助制度」が設けられています。
賃料保証制度が適用されると、賃料の負担額の「50~70%」程度の金額まで抑えて利用が可能です。
そのため、家賃負担をできるだけ軽減したい場合、自治体が運営しているインキュベーションオフィスを利用すると良いでしょう。
起業や経営に関するアドバイスを受けられる
インキュベーションオフィスには、専属のインキュベーションマネージャーが常駐しているので、創業や事業成長に関するサポートを受けられます。
起業から事業が軌道に乗るまで継続的に支援してもらえるので、初めての起業でも安心して事業に集中できるでしょう。
ビジネスチャンスや人脈を広げられる
インキュベーションオフィスでは、ビジネスチャンスや人脈を広げられるよう共有スペースが備わっています。
同業種や関連性のある業種同士で、情報交換をすることでビジネスチャンスのきっかけにもつながります。
また、創業期には欠かせない人脈も形成できるので、事業の活性化が期待できるでしょう。
インキュベーションオフィスのデメリット
インキュベーションオフィスには、デメリットも少なからずあります。
利用するなら、あらかじめ把握しておきましょう。
入居期間が決まっている
インキュベーションオフィスは、入居期間が決まっているので長期間入居はできません。
施設によって異なりますが、原則1年、最長でも3年~5年の入居と決められています。
最終的には退去しなければならないこともあり、オフィスとして長く入居を希望するなら、インキュベーションオフィスはおすすめしません。
入居手続きに時間や手間がかかる
インキュベーションオフィスは、一般的なシェアオフィスと比べると入居までの手続きに時間や手間がかかります。
賃料が安く利用できることもあり、入居には面接や審査、事業計画の提出など、書類の作成や手続きが大変なのが事実です。
とくに、起業や事業拡大で忙しい時期でまとまった時間が取れない場合、デメリットに感じるかもしれません。
レイアウトや内装に自由が効かない
インキュベーションオフィスは、あくまでレンタル扱いのため、レイアウトや内装に自由が効かないというデメリットがあります。
賃貸オフィスを利用するなら、壁の色やレイアウトの変更も、費用の負担さえすれば可能なことが多いです。
しかし、インキュベーションオフィスは、自由に工事ができないうえ、ネット回線や機器などの設備も自分で追加ができません。
そのため、自分好みの装飾やレイアウトにこだわりがある人はインキュベーションオフィスは向かないと言えるでしょう。
インキュベーションオフィス利用に向いている利用者
最後に、インキュベーションオフィス利用に向いている事業者の特徴を整理しましょう。
まず、賃貸オフィスやシェアオフィスに比べて低コストで利用できるので、賃料を抑えてビジネスに充てたい人におすすめです。
また、複合機やネット環境など、ビジネスに必要な設備が整っていることもあり、初期投資が少なくて済むのも創業期にはメリットと言えるでしょう。