ワークショップとは?セミナーやグループワークの違い

研修や採用活動にも用いられているワークショップは、知識や学びを得られる場の一つです。
体験型のアウトプットまでセットとなっているので、実践的な学びを得やすいという特徴があります。

そこで、今回はワークショップの特徴や開催のポイントを詳しく解説します。

ワークショップとは?

ワークショップとは、目的別に与えられた課題を体験することで、自主的に学べる場のことです。
ワークショップの語源は、「仕事場」や「作業場」で、主に学習やトレーニング、問題解決を目的として活用されます。

通常、進行役(ファシリテーター)のもと、与えられた課題やテーマを複数人のグループで話し合いや共同作業を行います。

参加者が主体的に取り組むことから、当事者意識や達成感を感じやすいのが特徴です。

セミナーやグループワークとの違い

混同しやすい物として、セミナーやグループワークがあります。

種類 当事者意識 目的
ワークショップ 学びやスキルの習得が重視される
セミナー 専門家による話を聞く
グループワーク チームワークやコミュニケーションスキルの向上

セミナーは、「知識やノウハウがある講師が参加者に対して伝えること」が中心なので、事柄に対して正しい知識は得られますが、当事者意識が少ないのがワークショップとの明確な違いがあります。

一方、グループワークは学校や職場などで行われ、採用活動でも行われるので、混同しやすいです。
グループワークは、チームワークやコミュニケーションスキルの向上を目的とすることが多く、採用活動でもグループの中の役割や人柄を確認するために開催されます。

ワークショップもグループワークを含みますが、参加者の学びやスキルの習得が重視されるという違いがあります。

ワークショップの具体例

ビジネスで行われるワークショップは、主に3種類があります。

研修型のワークショップ

研修型のワークショップとは、グループを作って特定のテーマを決めることからスタートします。

そして、決めたテーマに対し、グループで意見交換を行い、意見をまとめます。
最後に、グループの最終意見をプレゼンテーションすることで、知識として定着する効果が期待できるでしょう。

イベント型のワークショップ

イベント型のワークショップは、ある分野の専門家から知識や技術を学ぶことが目的の場です。

主に、ものづくりやアートなどを体験することが多く、得た知識を利用して作ることで創造性を育てられるという特徴があります。
他のワークショップと比べて交流は少ないですが、お互いに作品のアドバイスをし合うことでコミュニケーションを取ることも可能です。

作品制作という明確なゴールがあるため、ファシリテーションもしやすいワークショップです。

採用型のワークショップ

就職活動に開催されるグループワークも、ワークショップの1つと言えます。
求職者をいくつかのグループに分け、ひとつのテーマに沿って意見交換をします。

採用担当者は、態度や成果が選考に大きく影響するため、参加者が活発なコミュニケーションがしにくいのがデメリットです。

そのため、参加者の感心が強いテーマや、ファシリテーターが一時退出するなど、話しやすい雰囲気作りが成功するかどうかの重要なポイントとなります。

ビジネスにおけるワークショップのメリット・デメリット

ビジネスにおけるワークショップのメリット・デメリットを整理しましょう。

メリット デメリット
  • 主体的に学べる
  • モチベーションが上がる
  • 達成感が得やすい
  • 理解から実践までアプローチできる
  • 成功は参加者の質に左右される
  • 強制的にコミュニケーションを取る必要がある

ワークショップは、参加者が主体的に参加して実践形式に近い学びを得ることができます。
そのため、終了後には大きな達成感を得られるのがメリットです。

セミナーや講習会では、知識を得るだけで留まってしまうので、アウトプットができませんが、ワークショップはアウトプットまでがセットなので、自分の力として身に付くというのも大きな特徴です。

一方、参加者同士のコミュニケーションが必須なため、参加者の質(意欲)によっては満足度が低くなってしまうデメリットもあります。

ワークショップを成功に導くためには、時にはチームを変更する、ファシリテーターが入って交流を促進するなどの工夫も求められます。

ビジネスワークショップの成功例

ビジネスワークショップを行った、実際の成功例を2つ紹介します。

ダイソン|問題解決型のワークショップ

ダイソン問題解決ワークショップは、ジェームズダイソン財団が提供するワークショップです。

2010年に開始されてから、9,000人以上が受講する人気のワークショップで、2015年度の「キャリア教育アワード中小企業部門」において経済産業大臣賞を受賞しています。

掃除機メーカーのダイソン製品を分解することで、各パーツの役割や機能の成り立ちを考えるという構成です。

このワークショップを通じて、「パーツの意味」を知り、ビジネスの本質である「ユーザーの課題解決のために商品が存在すること」が学べます。

NEC|オンラインワークショップ

2020年にNECマネジメントパートナーは、ZOOMを使ったオンラインでのワークショップ体験を実施しました。
ウェビナー(Webのセミナー)とワークショップの二部構成で、オンラインでも行いやすいワークショップのポイントについて講習会が行われました。

参加人数を10名に絞って、1人1人の状況や学びの進捗状況をチェックしながら進めることで、初めてのオンラインワークショップでも参加しやすいという結果を収めました。

ワークショップ開催のポイント

アイスブレイクを行う

意見交換がしやすい雰囲気には、アイスブレイクの時間が重要なポイントとなります。
アイスブレイクとは、会の冒頭に行われる、雰囲気や意識を和ませるための環境づくりのことです。

たとえば、以下のような方法を取り入れてみるのもおすすめです。

  • 自己紹介に心理テストの要素を入れる
  • 共通点探しをしてコミュニケーションを取る
  • ゆったりとしたBGMを流す

アイスブレイクが成功すると、その後のワークショップの成功に一歩近づくでしょう。

参加者全員の課題とゴールを共有

参加者全員が、最初にワークショップで取り組む課題とゴールを共有することも重要です。
たとえば、「新しいビジネスづくりを確立する」「話術の向上」など、達成したいゴールを意識させることが重要です。

ゴールを明確に意識することで、より学びを得やすくなります。

詳細なスケジュール設定が求められる

ワークショップは、参加者が楽しんで参加できる反面、時間配分を考えないと目的が十分に達成できないという側面があります。
そのため、ファシリテーターの時間管理が重要になります。

事前に細かく時間配分を決めておき、想定より時間がかかることを考えて余裕を持ったスケジューリングをしておくと良いでしょう。

満足感で終わらない仕組みをつくる

ワークショップは、参加するだけで満足してしまいがちなのが注意点として挙げられます。
新しい知識や体験ができるため、参加することが目的となってしまうことも少なくありません。

そのため、ワークショップの終わりや参加後のアフターフォローが重要です。
まとめとして学んだことを意識させるようなプログラムなど、参加者に結果と目的を意識して参加してもらうような仕組み作りを行いましょう。

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