事務代行サービスで起業する方法

事務作業はどんな企業においても必ず行われる仕事のひとつです。

単純な事務作業であれば誰でもできる反面、企業としては社員の技術向上につながりにくいことから、そのような業務を外注化し、従業員をより生産性の高い作業に従事させることを考えるほうが会社の業績アップには必要だと考えています。

そんな事務作業の外注化を請け負うビジネスが昨今増えています。

なかにはオンライン上でのやりとりだけで単純なデータ入力作業や経理処理などを行うところもあり、在宅ワークを好む個人事業主や主婦には人気の仕事となっています。

今回は事務代行サービスで起業する方法について見ていきたいと思います。

事務代行サービスとは?

事務代行サービスとは、企業が日常的な事務作業の一部を外部の専門業者に委託(アウトソース)するサービスのことを指します。

ノンコア業務となる事務作業を外注化することで、企業は自社のリソースをより戦略的な業務に集中させることができます。

一般的に行われる事務代行サービスの内容には次のようなものがあります。

総務業務代行

電話・メール対応

企業にかかってくる電話やメールに対して、事務代行サービス会社が代わりに対応します。具体的には問い合わせ対応や伝言メッセージの伝達、転送対応などを行います。

書類管理・整理

事務所に溜った書類の分類や整理を行い、必要な書類がいつでも迅速に利用できるように管理を行います。古くなり不要となった書類の廃棄、データ化なども行います。

郵送物処理

企業に届く郵送物を受け取って、必要に応じてスキャンしてデータ化したり、処理が必要なものに対応を施します。

経理業務代行

請求書発行・管理

企業が販売した商品やサービスに対する請求書を作成し、取引先に発行・送付します。

発行後には入金確認を行い、未払いのある場合は連絡を行うなど迅速かつ適切な対応を行う場合もあります。

支払処理:企業が仕入先などに対して支払うべき請求書や経費を確認したうえで、期日通りに支払を実行します。

給与計算・処理

社員の給与計算を行う作業も事務代行サービスの仕事。源泉徴収税や社会保険料の計算を含んだ複雑な給与処理を正確に行います。

経費精算

交通費や出張費など社員の経費申請を適切に処理し、精算業務を行います。同時に領収書の整理も行い、不明なものについては担当者に確認するなどの作業も併せて行います。

人事関連業務代行

採用活動のサポート

求人情報の作成やサイトへの公開、募集があった求職者の管理、面接スケジュールの調整など、採用活動のサポートを担います。

労務管理

タイムカードに基づく社員の労働時間管理や休暇申請の処理、社会保険の手続きなどの労務管理を効率的に行います。また労働法に基づく書類作成も対応します。

給与・福利厚生の管理

福利厚生制度の利用手続きや新入社員の保険加入および年金手続きの管理を行います。

マーケティング支援業務代行

カスタマーサポート業務

企業の顧客からの問い合わせやクレームに適切に対応し、フォローアップを行います。

データ入力・管理

顧客情報の入力や更新、データベース管理などの業務を行い、企業の情報を正確かつ安全に整理します。

ホームページ管理・デザイン業務

チラシ作成やウェブ情報の更新、バナー等のデザイン、プレゼンテーション資料作成など、ウェブ更新作業やデザイン業務の代行もあります。

データ入力・集計業務代行

データ入力

顧客情報や売上データ、商品情報などをエクセルやシステム等に正確に入力し、データベース管理や更新を行います。

データ集計・レポート作成

売上やマーケティング結果を集計し、経営者の意思決定に役立つレポートを作成します。その際にはエクセルや導入したアプリケーションを利用して詳細な分析を提供する場合もあります。

秘書業務代行

スケジュール管理

社長や役員のスケジュールを管理し、会議の調整や出張の手配を行います。

オンライン上のカレンダーを用いることで、リモートでも共有が可能です。

資料作成・翻訳

会議やプレゼンテーションに必要な資料を作成するのは事務代行サービスのお手の物。

海外取引先とのやり取りでは英語など必要となる日本語以外の言語を用いて、メールや書類の翻訳を行うこともあります。

事務代行サービスに資格は必要?

基本的に事務代行サービスに資格は必要ではありません。

ただし信頼性やスキルの証明として取得しておくと有利な資格があります。

日商簿記

経理や会計業務を代行する際に必要となる基礎的な知識を証明する資格です。

日商簿記2級や3級が主流で、企業の財務管理や会計処理をサポートする際に役立ちます。

ファイナンシャルプランナー

経理や財務計画に関連するアドバイスを行う際にファイナンシャルプランナーの資格はとても有用です。

個人や企業の財務状況の改善に貢献する際には、FP2級やAFPなどの資格が役立ちます。

秘書検定

秘書業務を代行する際に、秘書検定は事務作業におけるマナーやビジネスマナーの知識を証明するのに役立ちます。

準1級以上あればスキルとしてかなり高度であると認められます。

MOS(Microsoft Office Specialist)

ワード、エクセル、パワーポイントはビジネスで必須のスキルです。

これらの知識やスキルを証明するのに最適なのがMicrosoft Officeのスキルを証明する資格MOSです。

データ入力やレポート作成などの事務作業を効率的に行えることをアピールするのに持っておくとよいでしょう。

TOEIC・英検

グローバルビジネスを展開している企業の事務代行サービスを行いたいなら、TOEICや英検などの英語能力試験のスコアを持っていると信頼感が高まります。

TOEICであれば800点以上、英検であれば準1級以上あると、一定の英語力があることが証明できます。

事務代行サービスとしての収入

事務代行サービスで起業する場合には、仕事柄長期契約が基本となり固定収入を得やすいこともあって、安定収入を見込めやすいという特徴があります。

報酬形態は月額制が多く、それ以外にも業務量によって金額がアップする従量制のようなスタイルもあります。

基本的には事務代行サービスの仕事は「〇〇時間以内の稼働でいくら」といったスタイルで業務委託契約が結ばれることが多いです。

この場合のメリットは、1か月の稼働に対しての報酬額が一定であるため、安心して働けることにあります。

一方、デメリットとして、業務内容によっては報酬に見合わないものも出てくるため、作業ごとに単価を明確にきり分けて金額提示するとよいでしょう(たとえば、データ入力は1時間2,000円~、経理処理は1時間3,000円~といった具合)。

一人で稼働するのであれば、数社抱えることで月額数十万円以上の収入が見込めますが、もともとバックオフィス業務は、営業等の仕事と比べて単価が安く見積もられやすいため、思ったほどの収入にならないこともあります。

なお、依頼案件数が増えてきたらメンバーを増やし効率よく回せるように調整することも必要です。

まとめ

事務代行サービスで起業しようと考えている人の大半は、もともと事務職に就いていた経験を活かした仕事をしようとした結果たどり着くことが多いのではないでしょうか。

結婚退職した方でも在宅ワークで仕事をこなせるなど、ワークライフバランスの理にかなった仕事だと思いますので、まずは自分の得意なジャンルにフォーカスして事業をスタートさせましょう。

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