ITエンジニアとして起業する方法

現代では、働き方改革により企業に勤めるITエンジニアもプログラミングスキルを活かし、システム開発やアプリ開発を行って副収入を得られる時代です。その結果、一定の実績を積んだITエンジニアは、独立・起業し、より自由な働き方やさらなる収入を目指すこともあるでしょう。ただし、起業にはリスクも伴います。収入が不安定になる可能性や、ITエンジニアの業務とは異なる営業活動、さらに経理業務まで、すべての業務を一人でこなさなければならない点などが挙げられます。そのため、労働時間も長時間に及ぶことも覚悟しなければなりません。したがって、ITエンジニアとして起業する前には、これらのリスクを十分に理解し、準備を整えることが重要です。今回は、ITエンジニアとして起業する方法について見ていきたいと思います。

ITエンジニアとは?

ITエンジニアは、情報技術に関する深い専門知識を持ち、システムの設計、開発、運用、保守を担当する技術者を指します。主な職責としては、企業や組織が技術を効果的に活用できるようサポートすることが挙げられます。

たとえば、システム開発ではプログラミング言語を使用して、ユーザーの要件に基づくソフトウェアやアプリケーションを作成します。ネットワーク管理では、企業の通信インフラを設計・導入し、安定したネットワーク環境を維持するための運用や保守を行います。サーバ管理では、データの安全性やシステムの可用性を確保するために、サーバのセットアップや監視、メンテナンスを担当します。

また、サイバー攻撃や情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策にも力を入れるITエンジニアが多く、企業のデジタル資産を守る重要な役割を果たしています。

ITエンジニアに必要なスキルとは?

ITエンジニアとして起業するには、以下のスキルを持っていると起業に役立ちます。

プログラミングスキル

ITエンジニアは、複数のプログラミング言語に精通していることが求められます。代表的な言語には、PHP、Python、Java、C++、JavaScriptなどがあります。幅広い言語を網羅することで案件獲得の幅が広がりますが、広く浅くでは大きな案件をこなすのが難しくなる可能性があります。まずは、自信を持って扱える言語をしっかりと極めておくことで、競合と差別化が図れ、強みとなるでしょう。

データベース管理

システム開発では、プログラミングだけでなく、データを格納するためのSQLやNoSQLデータベースの設計や管理に関する知識も必要です。一般的には、MySQL、PostgreSQL、MongoDBなどのデータベースの設計・管理スキルが役立ちます。

システム設計・アーキテクチャ

ITエンジニアは、システムの全体設計やアーキテクチャに関する知識も必要です。特に、スケーラビリティやパフォーマンスを考慮した設計が求められるため、過去にある程度の規模のシステム開発を経験していることが望ましいです。

問題解決能力

ITエンジニアには、複雑な問題を迅速に解決する能力が求められます。システムが正常に稼働しているときよりも、トラブルが発生した際の対処能力によってITエンジニアのスキルレベルが評価されるため、トラブルシューティングのスキルは特に重要です。

セキュリティに関する知識

近年、サイバー攻撃や個人情報漏洩のリスクが高まっているため、ITエンジニアはセキュリティの基本概念や脆弱性、攻撃手法、セキュリティ対策についての知識を持っておく必要があります。

コミュニケーションスキル

ITエンジニアに限らず、コミュニケーションスキルは重要ですが、特に技術的な知識を技術者以外の人にもわかりやすく説明できる能力が求められます。一般的にIT技術者は作業に没頭しがちで、他者とのコミュニケーションを軽視しがちですが、起業して案件を獲得するためには、一定のコミュニケーションスキルを身につけることが大切です。

継続的な学習

IT技術は日進月歩で進化しており、ITエンジニアは常に新しい技術やトレンドを追い続ける姿勢が必要です。現在のスキルが数年後には使えなくなることもあるため、専門書やネットの情報を常にチェックし、最新の技術動向に目を通しておくようにしましょう。これらのスキルは、ITエンジニアとしてのキャリアを築く上での基盤となります。

ITエンジニアとして起業するメリット

ITエンジニアとして起業することで、多くのメリットが得られる可能性があります。デジタル化が進む現代において、ITサービスやソリューションへの需要が非常に高まっており、ビジネスチャンスが豊富に存在します。技術者不足が叫ばれる中、ソフトウェア開発、クラウドサービス、セキュリティ対策などの分野では、新しい技術やサービスが常に求められており、これらのニーズに応えることで起業の成功確率は高まります。

さらに、起業することで業務内容や働く場所、時間を自分で決めることができ、自分のアイデアやビジョンを自由に実現できます。これにより、創造力やイノベーションを追求する機会も広がり、自分の理想とする働き方やビジネスの展開が可能になります。

ITエンジニアとしての収入

フリーランスエンジニア1000名を対象にしたRelanceのアンケート調査によれば、フリーランスのITエンジニアの平均年収は約576万円です。年代別に見ると、20代で約510万円、30代で約558万円、40代で約620万円が相場とされています(出典:【2023年版】フリーランスエンジニア白書 1000人に聞いた!フリーランスエンジニアの実態調査-2023年1月-Relance)。

比較的、ITエンジニアは他の業種に比べて収入が多い傾向があります。起業後には、会社勤め時代よりも多くの収入を得ることができるITエンジニアもいます。しかし、働き方によっては、起業後に予想よりも稼げないケースもあります。

そういった場合には、「高単価の案件を得られる仕事を探す」「営業スキルを高める」「他があまり取り組んでいない言語の使用や開発実績を増やす」などの対策を行うことで、収入アップの可能性を高めることができます。
高単価で定期的に仕事を発注してくれる企業と取引するかどうかで、収入は大きく異なります。

まとめ

ITエンジニアとして起業する際には、すぐに仕事が得られない可能性もあるため、独立を躊躇してしまう方も多いかもしれません。そのため、ITエンジニアとしての起業を目指す場合、会社員として企業に属している間に、業務時間外でITエンジニアとして副業を行ったり、IT資格や技術を身に付けておくことが重要です。

おすすめのIT資格には以下がありますが、資格がなくても起業は可能です。

  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験
  • システムアーキテクト試験
  • プロジェクトマネージャ試験
  • ITストラテジスト試験

起業が軌道に乗り始めたら、独自のソフトウェアやプラットフォームを開発し、それをサブスクリプションモデル(サブスク)やライセンスフィーで提供するビジネスも視野に入れると良いでしょう。こうしたビジネスモデルはスケールしやすく、利益率も高いため、ITエンジニアとしての基本軸を持ちつつ、定期的に得られる収入モデルも考えていけると安心です。

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