空間デザイナーとして起業する方法

デザイナーという仕事の中には「空間デザイナー」という職種が存在します。空間をデザインする、ということにピンとこない人もいるかもしれませんが、要は建物の内部や外部の空間をデザインする人ということです。空間を有意義にするためにその周辺をどう彩るかが腕の見せ所となる空間デザイナーは、おしゃれな建築物が増えている現在、ニーズが増加している職種のひとつとされています。

そんな空間デザイナーとして起業するにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?今回は空間デザイナーとして起業する方法について見ていきたいと思います。

空間デザイナーとは?

空間デザイナーは、建物や屋外の特定の空間に対して、視覚的・機能的なデザインを行う専門家のことを指します。空間デザインには、インテリアデザインや商業施設のデザイン、展示会やイベント会場のデザインなど、室内外やスペースの大小を問わずさまざまなジャンルが含まれます。

空間デザイナーの仕事は、クライアントの要望に基づいて、空間の用途やコンセプトに合わせたデザインを提案し、空間の雰囲気や使い勝手を向上させることが目的です。

空間デザイナーといっても、インテリアデザイナーや建築士の肩書を持って仕事をする人も多いのが特徴で、なかでも「空間」という名前の通りある程度のスペースを持った環境下におけるデザインを手掛けることが空間デザイナーには求められます。

空間デザイナーの種類

空間デザイナーにはその目的に応じてさまざまな呼び名があります。代表的なものには次のような肩書きがあります。

インテリアデザイナー

インテリアデザイナーは主に住宅やオフィスの室内空間をデザインする人です。家具の配置や照明、色彩の使い方など、居住者や利用者が快適に過ごせる空間作りに焦点を当てたデザインを施します。

商業空間デザイナー

商業空間デザイナーは、商業施設や店舗のデザインを担当する人です。商品が魅力的に見えるようなレイアウトや顧客の購買行動を促す空間作りが求められます。

展示・イベントデザイナー

展示・イベントデザイナーは、展示会やイベントの会場デザインを行います。限られた空間内で訪問者にインパクトを与えられ、かつ情報やブランドメッセージを効果的に伝えるレイアウトや装飾を考えることが仕事です。

エクステリアデザイナー

エクステリアデザイナーは屋外空間のデザインを行うのが仕事です。庭やテラス、公共の広場などの屋外空間において、景観や利用者の動線を考慮したデザインを施します。

空間デザイナーとして起業するのに求められるスキル

空間デザイナーとして起業するには次のようなスキルを持ち得ているとよいと言われています。

デザイン力と創造力

空間デザイナーとしてクライアントの要望を理解し、それに応じた独創的な空間を提案するためには、当然ながら優れたデザイン力が必要ですし、トレンドに敏感であることも重要です。デザイン力は持って生まれたものもありますが、後発的に学習して身に付くものも当然ありますので、日々の訓練は欠かせません。また創造性はいろんなデザインを見ることで養われますので、個性を磨きつつも独創的なアイデアを生み出せるよう、今のトレンドを吸収しましょう。

コミュニケーション能力

空間デザイナーの仕事では、クライアントや施工スタッフとのスムーズなやり取りが求められます。クライアントの意向を正確に把握し、それを形にするための提案や調整が必要となるため、綿密なコミュニケーションが欠かせません。

技術的知識

空間デザイナーは、建築物や空間をつかさどる素材や構造に関する技術的な知識も必要です。どのような素材がどのような用途に適しているか、また設置に関する技術的な制約を理解しておくことが、現実的なデザイン提案に役立ちます。

プロジェクト管理能力

空間デザイナーは、デザインの計画から実施までを一貫して管理するため、プロジェクトのスケジュール管理や予算管理のスキルが重要です。自ら起業して空間デザイナーとして事業を営むには、単なるデザインができるだけではだめです。

空間デザイナーとして起業するのに必要な資格

空間デザイナーとして起業するのに必ず必要といえる資格はありませんが、業界で活躍するためには専門的な知識やスキルを証明する資格はあります。次のような資格は空間デザイナーにとって有利となる資格やスキルとなりますので、起業する前に取得しておきましょう。

インテリアコーディネーター

インテリア産業協会が実施するインテリアコーディネーターの試験は、住空間や商業空間のインテリアに関する知識を証明する資格です。家具、照明、カーテンなどの調整や提案を行う際に役立ちますが、特に住宅やオフィスのインテリアデザインを扱う場合には重宝されます。

インテリアプランナー

インテリアプランナー協会が実施するインテリアプランナーの資格は、専門的な空間設計やインテリアデザインを行う資格です。建築設計とインテリアの両方に関する知識が求められます。主に建築関連の知識と室内空間の設計を統合して扱うため、技術的な要素も含まれます。

1級・2級建築士

建築士の資格は商業施設や大規模なプロジェクトにおける空間デザインを行う際に有利に働きます。建築士資格があれば、構造や建築基準法に精通しているため、建築そのものから空間をデザインすることができ、空間デザイナーとしての業務範囲が広がります。ちなみに、1級建築士はほぼすべての規模・用途の建築物を設計・施工することができますが、2級建築士は設計できる建物の規模や用途に制限があります。

カラーコーディネーター検定

空間デザインにおいて、色彩の知識は非常に重要ですが、東京商工会議所が実施するカラーコーディネーター検定は、色彩の基本的な理論から空間における色の使い方まで幅広い知識を習得するための資格となります。商業空間や展示会など、視覚的に強いインパクトが求められるデザインを行う際にはとても役立ちます。

CAD関連資格

空間デザインでは、CAD(コンピューター支援設計ソフト)を使用して図面を作成することが一般的です。そのため、CADのスキルが必須とされAutoCADやVectorworksなど、デザイン業界でよく使われるソフトの操作スキルを証明する資格があると有利とされています。

空間デザイナーとしての収入

企業勤めの空間デザイナーの平均年収は、400万円~500万円程度が一般的とされています。空間デザイナーで起業した場合には、まずはその金額を目指しつつ、直接クライアントとの契約を得ることで収入を大幅にアップしていくことは可能です。そのためには、マーケティング戦略をしっかりと考えて、どのレベルの層に営業活動を行っていくか、案件単価はどれくらいにするかを、競合調査をしたうえで固めていく必要があります。

まとめ

空間デザイナーとして起業する場合は、デザインを考えるだけでなく現場の施工にも関わっていくなどより深い知識や経験が求められます。独立起業する場合であれば、まずは建築事務所やデザイン事務所でいろんな経験を積み、ある程度の経験を積んでからを考えましょう。

デザインは感性が重要な仕事です。ある人にとっては素晴らしいと思われても、別の人にとっては全くピンとこないことなんて往々にしてあります。そういったことにめげることなく、自分のやりたい空間デザインが満足してもらえる人に出会えるよう、使えるネットワークを駆使して、ぜひ仕事を全うしていきましょう。

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