起業時には希望を持って事業を立ち上げたものの、思ったように集客ができなかったり、新型コロナウィルスのような外的要因によって思わぬ形で廃業せざるを得なくなったりと、起業して事業を継続していくのは思った以上に大変なものです。
では、実際に起業して成功し続けている人はどれくらいいるのでしょうか?またどんな業種だと事業を継続しやすいのでしょうか?
本記事では起業の成功率や成功しやすい業種について見ていきます。
目次
起業の成功率について
起業の成功率についての正確なデータというものはなく、巷では10年後に事業が続いている人は6%程度であるといったまことしやかな噂は存在します。
一応中小企業庁が出している「2017年度版 中小企業白書」にて、5年後の起業成功率は80%というデータは存在しているようです。
しかし、このデータに使われている資料は帝国データバンクに登録されている企業のもので、どちらかというとしっかりした企業の母数においてのデータとなるため、信ぴょう性は薄いのが現実です。
起業に失敗する原因とは?
以前、プロ野球の監督をしていた故野村克也氏は「勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし」という言葉を残していますが、起業に100%成功する方法はないものの、起業に失敗する原因はある程度明確なものであると言われています。
市場ニーズの誤認
自社の商品やサービスが市場ニーズに合わない場合、顧客を獲得できず売上が伸びないことがあります。
これはひとえに市場調査の不足やターゲット市場の誤解が原因です。
なんとなく自分が得意だったり好きだったりするもので事業をスタートしがちですが、世の中に必要とされない商品やサービスがいかにいいものであっても、ニーズがなければ売れず、お金が入ってきません。
資金不足
今は1円起業という言葉もあるように、自己資金がほとんどなくても会社を立ち上げることは可能です。
しかし実際には、十分な資金がないとビジネスの成長を維持したり、経済的な困難を乗り越えることが難しくなります。
さらにキャッシュフローの管理ミスや資金調達の失敗もリスクとなります。
経営能力の欠如
起業家が十分な経営経験や知識を持っていない場合、組織運営、財務管理、マーケティング、販売戦略の構築などに失敗することがあります。
サラリーマン時代にはどんなに業績を上げていても、一社員として会社の看板を背負ってビジネスをするのと、自分の力だけで仕事を取ってきてこなすこととでは、必要とするスキルやマインドが大きく異なります。
競合の過小評価
競争相手に関する情報を十分に把握することなく分析も行わずビジネスをスタートさせることはあまりに無謀と言えます。
自社独自の強みを見出せない場合、市場での競争に敗れビジネスが行き詰まることは往々にしてあります。
特に金額的な面について「これだけいいものだからこの値段で売れないはずがない」など、安易に考えていると、競合との価格競争に巻き込まれ、資金が目減りし事業継続が難しくなっていってしまいます。
チームの問題
当然仕事は一人ではできません。会社としては一人かもしれませんが、ビジネスパートナーや外注などを含めた良いチームができなければ、ビジネスの成長が阻害されることが予想されます。
特に立ち上げの際には共同創業者とのいざこざによりしばらくして仲違いしてしまうこともありますし、従業員のモチベーションやスキルの不足が原因で事業が立ち行かなくなることもあります。
マーケティングの失敗
商品やサービスが優れていても、それを効果的に顧客に伝えることができなければ、売上に結びつきません。
マーケティング戦略の欠如や誤ったターゲティングも失敗要因のひとつに挙げられることがあります。
マーケティングは安易に考えられがちですが、マーケティングについての一通りの学習や、専門家の知恵を借りるなどしないと販売促進はむずかしいです。
外部環境の変化
日本の良い世界経済の変動や規制や法律の変更、自然災害やパンデミックなど、外部環境が急激に変わることで、これまでのビジネススタイルが維持できなくなり、結果としてビジネスが失敗することもあります。
これを避けるためには、常日頃から経済の変化を敏感に感じ取り、自社の商品やサービスに影響はないかどうかを見極めることです。
もし何かしらの要因により事業内容を変更せざるを得なくなる場合には、速やかに対処する決断力はとても重要となります。
顧客との関係構築不足
顧客満足度の低下やリピーターを確保できない場合、長期的な売上が見込めずにビジネスの持続が困難になります。
特に担当者が変わったりした場合、経営者が代替わりした場合などにブランドスイッチが行われることがありますので、常日頃からクライアント企業の内部情報にも目を光らせておきましょう。
起業で成功しやすい業種とは?
起業で成功しやすい業種とは、当然需要の高い市場や成長性のある分野にフォーカスされたものです。
逆に斜陽産業と言われるようなジャンルで起業することは、どんなに業界知識を豊富に持ち得ていてもあまりおすすめすることはできません。
以下は近年特に成功しやすいとされる業種の一例です。
ソフトウェア開発分野
クラウドサービスは、企業の業務効率を高めるためのツールとして需要があります。
エンジニアとしての実績を積んできた人であれば、独立して事業を展開するのもありかもしれません。
AI・データ分析といった分野
ビッグデータや人工知能を活用したビジネスは、企業の戦略的意思決定をサポートし、多くの分野で成長しています。
最近ではチャットボットをはじめ生成AIを利用したサービスの開発ニーズも高まっており、今後さらなる需要が期待できます。
医療分野
テレメディスンや遠隔診療、健康管理アプリなど、技術と医療の融合は今後も拡大する分野です。
また、昨今は健康志向が高まる中、フィットネススタジオ、オンラインフィットネスプログラム、健康食品などの分野も人気です。
サステナビリティや再生可能エネルギー分野
太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギーなど、環境に配慮したエネルギー関連の事業は、脱炭素社会の推進に伴い成長しています。他にも、環境に優しい製品やサービスへの需要が高まっており、プラスチックフリー製品、リサイクル商品などにも注目が集まっています。
オンライン教育やeラーニングの分野
コロナを境に、さまざまな分野においてオンラインサービスの提供が活発化してきました。
その影響もあり、スキル習得や自己啓発を目的としたオンライン学習プラットフォームや教材の需要が急増しています。
また、学校や教育機関においても紙を中心としていた教材類がデジタルに移行していることもあって、学習管理システムや教育アプリ市場の拡大も顕著です。
サブスクリプションビジネス
定期的な収益を確保できるサブスクリプションモデルは、フィットネス、音楽、ソフトウェア、食品、雑貨など、幅広い業界で成功しています。
これまでの月額固定収入を得るビジネスモデルは存在していましたが、サブスクリプションモデルは入退会が気軽にできる点もポイントとなっており、すでに持っているコンテンツを活用するか、コンテンツを載せるプラットフォーマーとなるかは持っているスキルによって変わってきます。
まとめ
一昔前に比べると起業を目指す人は減ってきたように思います。
これには少子高齢化や安定志向の人が増えたことなどの要因があると思いますが、それでも上がらない給与に不満を持つ人の中には、起業して大きなことをやってみたいという想いを持つ人もいることでしょう。
しかしながら、起業してうまくいく人がいれば、失敗してしまう人がいるのも事実。
そうならないようにするために、これから起業を目指す人は、ここで紹介した失敗原因を参考に、改めて市場調査を徹底し、需要に合ったビジネスモデルを構築することが成功の鍵となります。