これまでの人生で営業職として多くの経験を積み、「営業が得意」と自信を持つ方の中には、営業代行としての起業を考えている方もいるのではないでしょうか。営業はどの会社にも欠かせない業務であり、企業が存続するために必要不可欠な活動の一つです。そのため、営業を代行する仕事がなくなることは考えにくく、ビジネスとして十分に成り立つ可能性があります。
今回は、営業代行として起業する方法について詳しく見ていきたいと思います。
目次
営業代行とは?
営業代行とは、企業が自社の営業活動を外部の専門業者や個人に委託することを意味します。営業代行サービスを提供する企業は、クライアント企業の代わりに新規顧客の開拓、既存顧客との関係強化、商談の設定などの営業活動を行います。このサービスを利用することで、クライアント企業は自社の営業リソースを効率的に活用し、コストの削減や営業活動の効果向上が期待できます。
営業代行には、主にインサイドセールス型とフィールドセールス型の2つのスタイルがあります。
- インサイドセールスは、オフィス内で電話、メール、オンラインミーティングを通じて営業活動を行うスタイルです。リードの獲得や商談の設定を担当し、直接的な顧客訪問を行わないのが特徴です。
- フィールドセールスは、営業担当者が顧客のオフィスや現地を直接訪問し、対面で商談を進めるスタイルです。顧客との直接的な接触を重視するアプローチが特長です。
営業代行に向いている人としては、以下のようなタイプが挙げられます。 - 営業という職種が何よりも好きな人
営業活動そのものに情熱を持ち、成果を出すことに喜びを感じる人は、営業代行の仕事に向いています。 - クライアントや顧客と話すことが好きな人
コミュニケーション能力が高く、人と接することが好きな人は、クライアントや顧客と良好な関係を築きやすく、営業代行の仕事で成功する可能性が高いです。 - すでに営業としての実績や経験が豊富にある人
営業の経験が豊富で、すでに実績を持っている人は、そのスキルとノウハウを活かして効果的に営業代行の仕事を進めることができます。
企業が営業代行を利用する理由
企業が営業代行を利用する理由はいくつかありますが、主に次の5つが挙げられます。
1. 営業の専門知識・スキルがあるので成果が期待できる
営業代行は、営業活動に特化した専門知識やスキルを持っているため、効率的に成果を上げることが可能です。自社にない営業戦略やテクニックを駆使し、短期間での成果向上が期待できます。営業代行の経験豊富なプロフェッショナルによるサポートにより、新規顧客の獲得や売上拡大が効率的に進められます。
2. 営業コストが削減できる
自社で営業チームを構築し維持するには、人件費、営業研修費、営業ツールの導入費用など、多くのコストがかかります。営業代行を利用することで、必要な部分だけをサービスとして外部に委託できるため、これらの固定費を大幅に削減することが可能です。結果として、コストを抑えながら効果的な営業活動を行うことができます。
3. 社内リソースを最適化できる
営業代行のように営業活動を外部委託することで、自社の経営資源を営業以外の他の重要な業務に集中させることができます。
4. 失敗リスクを軽減できる
営業代行を利用することで、営業活動における失敗リスクを軽減・分散させることが可能です。自社の営業戦略が思うように成果を上げられなかった場合でも、営業代行の専門的なサポートを受けることで、リスクを最小限に抑えながら新たな成果を生むことが期待できます。営業代行の知識や経験に依拠することで、状況に応じた柔軟な対応が可能になり、結果としてリスク管理がより効率的に行えます。
5. 営業活動を柔軟に行える
営業代行を利用するメリットのひとつは、事業の成長や変化に応じて、利用範囲や規模を柔軟に調整できる点です。必要な時期だけサービスを利用し、必要のない時は利用を控えるといった選択が可能であり、事業環境に合わせた対応がしやすくなります。この柔軟性により、リソースの最適化やコスト管理が容易になり、効率的な営業活動を実現できます。
営業代行に必要なスキルとは?
営業代行として起業するのに必要なスキルには、以下のようなものがあります。
コミュニケーションスキル
営業代行において最も必要となるスキルは、優れたコミュニケーション能力です。顧客のニーズを的確に理解し、適切な営業提案を行うためには、明確で説得力のある話し方や、相手の意見や要求をしっかりと把握する聞き方が求められます。このスキルにより、顧客との信頼関係を築き、商談を成功へと導くことができます。
リレーションシップ構築スキル
営業代行には、顧客との信頼関係を構築する能力も不可欠です。顧客が抱える課題に対して真摯に向き合い、長期的なビジネス関係を築くためには、誠実さと共感力が求められます。これにより、顧客の信頼を得ることができ、継続的な取引や新たなビジネスチャンスにつながる可能性が高まります。
市場動向や商品に関する知識
営業代行では、顧客ごとに異なる商品やサービスを販売するため、それぞれの商品の特性や市場動向について深い知識を身に付けることが必要です。顧客に適切なアドバイスやソリューションを提供するためには、製品やサービスの強みだけでなく、競合との差別化ポイントを理解し、それを的確に伝える能力が求められます。これにより、顧客の信頼を得て、販売の成果を最大化することが可能になります。
営業戦略の策定力及び実行力
営業代行が提案する営業戦略は、実行可能で具体的なものでなければなりません。効果的な営業戦略を立案し、それを実行に移す能力が求められます。具体的には、ターゲットとする市場の選定や適切なアプローチ方法の決定など、戦略的な思考を持ち合わせることが重要です。これにより、クライアントの目標達成をサポートし、営業成果を上げることができます。
商談交渉スキル
企業から営業代行の仕事を依頼される場合、商談において顧客の要求と自社の利益をバランスよく調整する交渉スキルが非常に重要です。価格交渉や契約条件の取り決めにおいて、双方にとって最良の結果を導き出すためには、柔軟な対応力が求められます。これにより、双方が納得できる合意を形成し、長期的な信頼関係を築くことが可能になります。
分析力
営業代行には、営業プロセスをしっかりと分析し、次の戦略に反映させる能力が求められます。どのような営業活動でも、すべての案件を獲得できるわけではありません。成功事例と失敗事例を継続的に分析し、その結果を基に営業プロセスを改善する姿勢が重要です。このような取り組みによって、営業活動の精度を高め、より良い成果を上げるための土台を築くことが可能となります。
営業代行の報酬形態
営業代行の報酬体系は、以下の3つの形態であることが一般的です。依頼される企業のニーズや契約内容によっては組み合わされる場合もあります。
固定報酬型
固定報酬型とは、営業代行に対して、一定の金額を定期的に支払う報酬形態のことです。月額や契約期間に応じて設定されることが多く、営業代行としては安定した収入を確保できるというメリットがあります。これにより、営業代行は安定的な資金計画を立てやすくなり、クライアントもコストを予測しやすいという利点があります。
成果報酬
成果報酬(コミッション)とは、獲得した成果(新規顧客の獲得や契約成立など)に応じて報酬が支払われる形態です。この報酬形態では、営業代行に対してインセンティブを与える効果があり、営業活動の成果に応じた支払いが行われます。
しかし、成果が出ない限り報酬が得られないため、紹介する3つの報酬形態の中で最も難しいミッションを達成しなければなりません。その一方で、成功した場合には、最も高い報酬を得られる可能性があるため、高いリターンを目指す方には魅力的な報酬形態です。
ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、固定報酬と成果報酬を組み合わせた報酬形態のことを指します。この仕組みでは、一定の固定報酬を受け取りながら、実績に応じて成果報酬も得られるようになっています。これにより、営業代行は安定した収入を確保しつつ、成果に対するモチベーションを維持できるため、非常にメリットが高い報酬形態と言えます。
営業代行としての収入
営業代行として起業した場合の収入については、報酬形態や営業スタイル、クライアントの規模などによって大きく異なるため、一概には言えません。ただし、一般的な目安としては、固定報酬型の営業代行で1日あたり25,000円~30,000円程度、月額では50万~60万円程度が相場と言われています。成果報酬型の場合、売上の20%~50%程度が報酬となることが多く、報酬額は案件の規模や成功の程度によって大きく変動します。ハイブリッド型は、固定報酬と成果報酬の両方を組み合わせたもので、それぞれの報酬額は通常よりも低めに設定される傾向があります。
これらの数字だけを見ると、営業代行で起業することは高収入を目指しやすいように思えるかもしれません。しかし、案件が継続的に取れる保証はなく、固定報酬型であっても成果が出ない期間が続けば契約解除になる可能性が高いなど、非常に厳しい現実も伴います。安定した収入を得るためには、持続的なクライアントの確保と成果を上げ続けることが不可欠です。
まとめ
営業代行は、自社の商品ではなく他社の商品を販売することが主な業務であるため、事前に商品の知識をしっかりと身に付ける必要があります。さらに、成果を出せなければ契約が解除される可能性も高く、非常に厳しい仕事です。
しかし、成果を上げることができれば、大きな報酬を得られるのが営業代行の魅力でもあります。営業に自信のある方や、営業経験が豊富な方が起業を考える際には、営業代行としての起業が特におすすめです。