スモールビジネスを運営する方々は、オフィスを借りる高い費用を避けて、共同オフィスを利用することでコスト効率を向上させると考える方が多いでしょう。特に、東京都内のようなビジネスが集まる地域では、オフィスの賃料が高く、借りることが難しいこともあります。共同オフィスは低コストで利用できるため、スタートアップ企業でも気軽に利用できます。
さらに、オフィス用品が用意されていることも多く、初期費用を削減できるメリットがあります。
この記事では、共同オフィスの特徴や、他の類似したワーキングスペースとの違いについて解説します。
目次
共同オフィス(コワーキングスペース)とは?
実際には、「コワーキングスペース」という言葉が共同オフィスより一般的です。共同オフィス(コワーキングスペース)は、固定の区切られたスペースではなく、開放的な環境で個人や複数の企業が共有して利用するオフィス形態です。フリーアドレス制で、固定の部屋や椅子がなく、自由に利用できるのが特徴です。
共同オフィスは、利用者同士のコミュニティ形成を主な目的として設立されており、事業間のコラボレーションが容易に生まれるのも特徴です。コンテンツやコストの面ではシェアオフィスと似ていると言われますが、大きな違いはほとんどなく、どちらの名称で運営されているか程度の違いです。
共同オフィス(コワーキングスペース)の利点
共同オフィス(コワーキングスペース)の最大の利点は、低コストでオフィスを利用できることです。コワーキングスペースは、すでに整備されたビジネス環境で利用できるため、インターネット回線や備品、家具の準備が不要です。また、駅近に位置する共同オフィス(コワーキングスペース)が多く、アクセスの利便性も高い点が人気の理由です。駅に近い場所にあると、利用頻度が上がり、コストパフォーマンスが向上します。
最近では、コロナ禍によりテレワークやリモートワークが一般化しています。コロナが収束に向かう中でも、在宅ワークやテレワークは今もなお継続しています。そんな状況で、自分専用の仕事場を求める方々が、レンタルオフィスやシェアオフィスを利用する機会が増えています。自宅では集中できないと感じる方にとって、月額1万円前後から利用できる共同オフィス(コワーキングスペース)は理想的なビジネス環境と言えるでしょう。
共同オフィス(コワーキングスペース)の欠点
手軽に利用できるのが共同オフィス(コワーキングスペース)の特徴ですが、一方でデメリットも存在します。例えば、セキュリティ面では、個室スペースと比べると劣ることが否めません。不特定多数の人が利用する共同オフィス(コワーキングスペース)では、セキュリティ対策は自己責任です。トイレに行く際など、貴重品を持ち歩くことはもちろん、パソコンのモニターを閉じるなど、個人情報の漏洩や流出のリスクが常に存在します。
また、カフェと同様に、人の話し声が気になる方には、共同オフィス(コワーキングスペース)は向いていないかもしれません。オンラインミーティングが一般的になった現代では、会話が避けられず耳に入ることがあります。そのため、作業に集中できないことが起こり得ます。対策として、耳栓を使用したり、ヘッドフォンで音楽を聴きながら仕事をするといった方法が考えられます。
他のオフィス形態との違い
共同オフィス(コワーキングスペース)に類似したオフィス形態には、レンタルオフィスやシェアオフィスがあります。また、オフィスの住所だけを利用したい場合には、バーチャルオフィスという選択肢も存在します。
以下では、他のオフィス形態の特徴と共同オフィス(コワーキングスペース)との違いを検討していきます。
レンタルオフィスとは?
レンタルオフィスは、個室利用が主体のオフィス形態です。専用の個室が提供され、他の利用者が立ち入ることはありません。仕事に集中しやすい環境が整っており、オフィス環境を重視する方には適しています。ただし、他のオフィス形態と比較して、環境が整っている分、費用が高くなることが多いです。なお、個室であっても運営会社によっては、月額固定型と時間貸し型があり、コスト削減の可能性も存在します。
月額固定型
賃貸マンションと同様に、月ごとの契約でスペースを完全に占有できるオフィス。1人~数名、数十名など人数に応じて専用エリアを借りて利用できますが、広さに応じてコストが上がります。
時間貸し型
運営会社が保有する個室スペースを時間単位で貸し出すオフィス。利用人数や用途に応じて部屋を選べたり、月に数度しか利用しない場合はお得です。ただし、空きがなければ利用できないことや、いつでも希望の部屋が利用できるわけではない点がデメリットです。
その他のタイプ
完全密閉型
部屋自体が密閉された防音効果の高い個室タイプで、費用もそれなりにかかります。
簡易型
天井が開いているものや、パーテーションで区切られたタイプは比較的安価ですが、防音効果やセキュリティ対策が十分でないことがあります。
シェアオフィスとは?
シェアオフィスは、「Shared Office」を意味し、複数の企業や個人事業主が共有するオフィススペースを指します。そのため、共同オフィス(コワーキングスペース)と似た概念です。特定の個室スペースがなく、フリーアドレスで利用できるため、情報交換や事業コラボレーションがしやすい環境が整っています。シェアオフィスの利用料金は、レンタルオフィスに比べて安いことが多いため、起業家や1人会社の経営者、ウェブデザイナーやエンジニアなどの個人事業主に人気です。ただし、静かな環境で邪魔されずに仕事がしたい方には、シェアオフィスは適していないかもしれません。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスは、共同オフィス(コワーキングスペース)、レンタルオフィス、シェアオフィスとは利用シーンが異なるオフィス形態で、オフィスの住所だけを利用したい方向けのサービスです。具体的な作業スペースは提供されませんが、法人登記ができることでオフィスとしての価値があります。作業は自宅やカフェなどで行いますが、対外的にはオフィスの所在地をアピールできます。また、都心の一等地にもバーチャルオフィスサービスが提供されているため、そこにオフィスを構えることが可能です。さらに、郵便物の転送サービスがあるため、オフィスとしての機能も十分に果たせます。実際の作業スペースがない分、コストも抑えられます。
まとめ
共同オフィスと他のオフィス形態にはそれぞれ特徴があります。共同オフィスの最大の利点は、低コストで利用できることです。また、コミュニティ形成や事業コラボレーションがしやすい環境が整っています。一方で、セキュリティ面や静かな環境が求められる場合には適していない場合もあります。
レンタルオフィスは、個室スペースを提供するオフィス形態で、静かな環境が整っています。一方で、コストが高くなる傾向があります。
シェアオフィスは、共同オフィスと似た概念で、複数の企業や個人事業主が共有するオフィススペースを指します。利用料金は、レンタルオフィスに比べて安い傾向がありますが、静かな環境が求められる場合には適していない場合もあります。
バーチャルオフィスは、共同オフィスやレンタルオフィスとは異なる利用シーンがあります。オフィスの住所だけを利用したい場合に適しており、作業スペースは自宅やカフェで行います。コストが抑えられるため、起業家や個人事業主に人気があります。
それぞれのオフィス形態には特徴があり、利用シーンによって適した形態が異なります。自分の目的に合わせて最適なオフィス形態を選択することが重要です。