企業再生とは、経営状態の悪化により存続が危ぶまれている企業に対し、経営状態を改善させるための取り組みを提案、実行していくことです。通常、自社ではすでに施しようもない段階となっていることが多く、第三者が間に入り再生に向けたアクションを採っていきます。
企業再生コンサルティングとは、経営不振や財務問題を抱える企業に対して、専門的な知識と経験を活かして再建・立て直しを支援するコンサルティングサービスのことです。
今回は企業再生コンサルティングを行うべく起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
企業再生コンサルティングとは?
企業再生コンサルティングでは、企業の現状を総合的に分析し、問題点を特定し、具体的な改善策を提案・実行することで、企業の持続的な成長と安定を目指します。当然一時的な対症療法ではなく、根本的な原因を解決し、企業が長期的に持続可能な成長を遂げるための総合的な支援を行うことができなければなりません。
企業再生コンサルティングを行うのはどんな企業?
通常、企業再生コンサルティングは専門的な知識と経験を持つコンサルタントや組織が行うことになります。支援する企業の規模によりますが、具体的には次のような専門家や企業が企業再生の支援を提供していきます。
経営コンサルティングファーム
一般的に企業再生コンサルティングを行う企業としては、マッキンゼーやボストンコンサルティンググループ、ベイン・アンド・カンパニーなどといった大手コンサルティング会社が有名で、戦略的な視点から企業再生を支援していきます。ただし、中小規模のコンサルティング会社も、特定の業界や領域に特化した再生支援を行うことがあります。
会計事務所・監査法人
デロイトトーマツ、PwC、KPMG、EYといったビッグ4と呼ばれる大手会計事務所は、企業再生コンサルティングにおいては、財務面での再生支援やデューデリジェンスを提供するのを得意としています。コンサルティングファーム同様に中小クラスの会計事務所も、財務再構築や資金繰り改善のサポートを行うことでコンサルティングを請け負うことがあります。
法律事務所
大手の法律事務所においても、倒産法や再生法に基づいて法的な支援を提供するケースがあります。
金融機関
企業再生コンサルティングの一環として、銀行や信用金庫の場合は、資金面での支援や債務再編をサポートすることがあります。また、投資ファンドは、資本注入や経営支援を通じて企業再生に関与することもあるようです。
企業再生専門会社
ターンアラウンドマネージャーや事業再生アドバイザーなど、企業再生に特化した専門家を抱える事業会社が、企業再生コンサルティングと称し支援を行うケースもあります。
個人のコンサルタント
フリーランスのコンサルタントや、特定の業界に深い知見を持つ専門家も個別に企業再生コンサルティングを行うことがあります。
企業再生コンサルティングを実行する主な目的とは?
企業再生コンサルティングの目的は、経営不振や財務問題を抱える企業に対して持続的な成長と安定した経営基盤を再構築することです。具体的には、企業の現状を総合的に分析し、問題点を特定し、それに対する解決策を提案・実行することで、業績の回復や収益性の向上を目指します。
主に次の項目が重要視されるポイントです。
財務の健全化・・・資金繰りの改善や負債の整理を行い、財務体質を強化する
経営戦略の再構築・・・市場環境や競合状況を踏まえ、新たな事業戦略を策定する
業務プロセスの改善・・・業務の効率化やコスト削減を図り、生産性を向上させる
組織・人事の改革・・・組織体制や人材配置を見直し、組織力を強化する
事業ポートフォリオの見直し・・・不採算事業の整理や新規事業への参入を検討する
信頼性回復・・・顧客や取引先、金融機関からの信頼を取り戻し、良好な関係を築く
リスク管理の強化・・・経営リスクを低減し、企業の持続可能性を高める
法的・コンプライアンス対応・・・法規制の遵守や法的リスクの最小化を図る
企業再生コンサルティングを事業として起業するには?
企業再生コンサルティングを事業として起業することは、経営不振や財務問題を抱える企業を支援し、自身の専門知識と経験を活かして社会に貢献する大きなチャンスです。そのため、事業が行き詰っている企業にアプローチできればクライアントが拡大する可能性が高いと言えるでしょう。
企業再生コンサルティングで起業するためのポイントは次の通りです。
専門知識と経験の習得
企業再生コンサルティングで食べていくためには、財務分析、経営戦略、組織改革、法務知識など、多岐にわたる専門分野の知識が求められます。よって、過去にコンサルティングファームや金融機関、事業会社での実務経験があれば信頼性を高めることが可能です。
なお、実務経験がなくても中小企業診断士や公認会計士、弁護士などの専門資格を持っていることでクライアントから信頼を得ることもできます。自身の経験を通じてどのようなルールがベストかは検討の余地があります。
ビジネスプランの策定
企業再生コンサルティングを行うにあたり、競合状況や市場ニーズを把握し、自社の強みを明確にする必要があります。提供可能なコンサルティングサービスの範囲と特徴を定義したうえで営業活動やプロモーションを行っていかないと、事業内容にぶれが生じる可能性があります。自身のビジネスプランはしっかりと策定しておきましょう。
ネットワークの構築
企業再生コンサルティングをスムーズに実施するためには、会計士、弁護士、税理士などの専門家と協力体制も必要ですし、金融機関や投資ファンドとの関係構築は重要です。必要に応じてコンサルティング業界の団体に加盟し、情報収集とネットワーク作りを行うのもありです。
現実的なクライアント獲得を
企業再生コンサルティングとして起業した直後、いきなり大きな企業のコンサルティングというのはなかなか現実的ではありません。中小企業や特定業界に焦点を当てるなど、明確なターゲットを設定していくのが賢明です。なお、コンサルティングは短時間で解決するようなものではなく、ある程度の期間が必要です。そのため、長期的なパートナーシップを築けるよう、誠実な対応が必要です。
最新情報の収集や新技術の習得
企業再生コンサルティングで活躍するためには、最新の業界情報や経済動向、法改正、業界トレンドなどの常に把握しておく必要があります。新たなコンサルティング手法やツールの習得に勤しむことで、幅広いクライアントの獲得にもいい影響を及ぼします。
企業再生コンサルティングを事業として行う場合の収入
企業再生コンサルティングによる収入は、企業勤めの場合で700万円~1,500万円前後と言われており、業界や所属する会社、役職等によっても異なります。その経験をもとに独立起業としてやっていく場合、最初の段階は勤めていた時より年収が一時的に下がる可能性もありますが、しっかりと実績を積み重ねれば2,000万や3,000万といった高収入も可能です。
まとめ
企業再生コンサルティングは、高度な専門性と実践的な経験が求められる分野です。起業にあたっては、自身の強みを活かしつつ、クライアントの信頼を得るための基盤をしっかりと築くことが重要となります。
なお社会的な意義の高い仕事であるため、クライアント企業の成功が自身の成功にも直結します。慎重な準備と戦略的なアプローチで、起業の成功を目指してみましょう。