CGデザイナーで起業する方法

CGデザイナーとは、一言で言えばコンピュータグラフィックスを使って映像や画像を制作するクリエイターのことを指しますが、その活躍の場や役割は非常に多岐にわたります。たとえば、ゲームや映画、アニメーション、建築パースなど、私たちの身の回りにある多くのビジュアルにCGデザイナーの技術が活かされています。表現手法も幅広く、2Dから3D、静止画からモーショングラフィックスなどさまざま。求められるスキルやツールも常に進化しています

そんなCGデザイナーとして独立起業して活躍するためにはどのような心構えが必要なのでしょうか?今回はCGデザイナーとして起業する方法について見ていきたいと思います。

CGデザイナーとは?

CGデザイナーとは、コンピュータグラフィックス(Computer Graphics)の技術を用いて、視覚的なデザインや映像コンテンツを制作する専門職のことを指します。活躍フィールドは非常に広く、ゲームをはじめ映画、アニメーション、CM、建築パース、プロダクトデザイン、医療、AR/VR分野など非常に多岐にわたります。

CGといっても一括りにはできず、制作物の目的やジャンルによって必要なスキルや表現力は大きく異なります。たとえば、ゲーム業界のCGデザイナーであれば、キャラクターや背景、モーション、エフェクトなどを3Dで制作するのが主な仕事です。リアルタイムで動く映像に対応した軽量で美しいデータを作るため、Unity、Unreal Engineなどのゲームエンジンとの連携が重要になります。

映像・映画業界では、VFX(視覚効果)や3DCGアニメーションを通じ、実写映像と融合させたり、空想的な世界観をリアルに再現したりする力が求められます。また、高精細なビジュアルやライティング、カメラワーク、リアルな質感表現が重視され、After Effects、Maya、Houdiniなどのソフトを使うことが多くなります。

建築・インテリア業界におけるCGデザイナーは、建物や空間の建築パースを3Dで制作します。なお、クライアントが完成形をイメージしやすいように、光の入り方や素材の質感をリアルに再現する必要があります。そのため、建築知識や空間把握力も求められます。

他にも医療分野で人体や手術のシミュレーションをCGで表現したり、AR/VR分野でインタラクティブな空間デザインを手がけたりと、CGデザイナーの可能性は年々広がっているのが現状です。

CGデザイナーとCGクリエイターの違い

CGデザイナーとCGクリエイターは似たような言葉として使われることが多いですが、実際にはその領域に若干違いがあります。CGデザイナーがビジュアルの構成やデザイン性に重きを置いたCG制作を担う職種であるのに対し、CGクリエイターはCGを使った映像表現やアート・エンタメ分野での表現活動に関わる広義の職種を意味します。デザインだけでなく演出や動き、世界観の構築など、総合的な表現力や技術力が重視されるのが特徴です。

CGデザイナーとして独立起業するのに必要となるスキル

CGデザイナーに必要なスキルとしては、単にソフトを扱えるだけではなく、目的に応じて魅せるビジュアルを生み出す総合的な力が求められます。

技術的スキル

基本となるのがCGデザイナーとしての技術的スキルです。たとえば3DCGなら「Maya」「3ds Max」「Blender」、モデリングやスカルプトなら「ZBrush」、モーショングラフィックスなら「After Effects」や「Cinema 4D」、レンダリングには「V-Ray」や「Arnold」、ゲーム開発では「Unity」「Unreal Engine」などの知識や技術スキルが必要になります。当然ながらこれらのソフトの使い分けや、制作工程ごとのワークフローを理解していることがプロとしてのベースとなります。

デザイン力

当然ながらデザイン力も必要です。具体的には、「バランス」や「色彩感覚」「質感表現」といった視覚的に魅力あるものを構成する力が求められます。さらに、アート的な素養、たとえばデッサン力や構図の理解、美術や建築に対する知識もクオリティの高い作品を生む上では必要です。

発想力

さらに、CGは「言われたとおりに作る」だけではなく、「どう表現すれば伝わるか」「他にもっと良い提案はないか」と考え抜く発想力やクリエイティビティも非常に大事です。空想的な世界観をリアルに構築したり、見る人に感情やインパクトを与える演出を行うには、論理と感性の両方が求められます。

コミュニケーション力

CGデザイナーに限らず、どんなビジネスマンにも必要となる能力がコミュニケーション力です。クライアントやチームとのやり取りを通してニーズを正確に汲み取り、時には専門外の人にも分かりやすく提案・説明する能力が求められます。なお、CG制作は個人プレーだけでなくチームで進めていくことが多いことから、報連相やスケジュール管理もプロジェクトを円滑に進めるうえで不可欠である点も覚えておきましょう。

CGデザイナーとして独立起業するのに必要な資格

CGデザイナーとして活躍するための必須の資格はありません。そのため、資格がなくてもスキルと実績があれば仕事を獲得できる実力主義の世界で生きていくことになります。

実際、現場では「どんなソフトが使えるか」「どんな作品が作れるか」「過去にどんなプロジェクトに関わったか」が重視され、資格よりもポートフォリオや実績の方が圧倒的に評価されます。とはいえ、一定の知識やスキルを証明する手段として、「あると役立つ資格」はいくつかあります。以下は、CGデザイナーを目指す人が検討する価値のある資格です。

CGクリエイター検定

公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)が主催の「CGクリエイター検定」は、2D・3DCGの基礎知識、映像表現、ワークフローに関する理解を問う資格。スタンダードとエキスパートの2段階があり、基礎から応用まで体系的に学べます。就職や案件獲得時のアピールにもなりやすいです。

マルチメディア検定

同じく公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)が主催の「マルチメディア検定」は、CGだけでなく、Web、映像、インタラクティブメディア全般の知識を広くカバーしている検定で、マルチスキルを証明したい人に適しています。

色彩検定

公益社団法人色彩検定協会が実施する色彩検定は、色に関する知識や技能を客観的に評価する公的資格。デザイン、ファッション、建築、インテリア、広告、商品開発、Webなど、色を扱うあらゆる業界で活かせる資格として知られています。1級~3級さらにUC級の4つが設置されています。

CGデザイナーとして独立起業した際の収入

CGデザイナーの平均年収は、企業勤めの場合で年収300万〜500万程度と言われています。もし、独立起業して活躍した場合、経験、スキル、勤務先、働き方によって大きく変動しますが、この年収額を大きく上回る可能性は広がります。中でも高いスキルと実績を持つ売れっ子のCGデザイナーだと、1,000万円以上の年収を獲得しているCGデザイナーもいるようです。

まとめ

CGデザイナーとして起業すれば、創造力や技術力を活かして自由な働き方を実現できるチャンスが広がります。最近では、クラウドソーシングやSNSを活用して仕事を獲得し、少しずつ信頼と案件を積み重ねていく人も増えていますが、専門性を高めることで高単価案件につながっていき、収入もアップさせることができます。

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