
個人投資家として独立起業するには、投資を事業として成立させるための準備が必要です。たとえば、株式、不動産、FX、仮想通貨などどの分野で収益を得るのかを明確にし、継続的に利益を出せるスキルと戦略を身につけることが前提となります。また、一定の資金とリスク管理能力も必要です。
今回は個人投資家として起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
個人投資家とは?
個人投資家とは、企業に属さずに自らの資金を使って株式や不動産、FX、投資信託、仮想通貨などに投資し、利益を得ることを目的として活動する人を指します。サラリーマンや自営業のかたわら副業として投資を行う人も個人投資家に含まれますが、専業で投資を生業としている場合は、まさに職業=個人投資家となります。
個人投資家の最大の特徴は、自分の資金を自分で運用して収益を生み出すことにあります。労働の対価として給料を得るのではなく、あくまで市場の変動や資産の価値上昇、配当などによって利益を得るという、お金を働かせるスタイルが個人投資家の仕事です。
また、個人投資家は仕事の自由度が高く、時間や場所に縛られない働き方ができるという大きなメリットがあります。朝から晩までパソコンに張り付いて短期トレードを繰り返すデイトレーダーもいれば、中長期的な視点で不動産を保有して賃貸収入を得るというようなスタイルの投資家もいます。投資の方法は多種多様であり、自分に合ったスタンスを選ぶことができます。ですから、自宅やレンタルオフィスで仕事をするといったことも可能です。
しかし一方、個人投資家は収入が不安定となりがちで、成果はすべて自己責任という厳しい側面もあります。たとえば、市場の急変や経済状況の悪化、情報の読み違いなどが損失につながる可能性もあり、冷静な判断力とリスク管理力が常に求められます。また、投資対象についての知識や分析力、資金管理、税務・法律の理解も必要となるため、自己研鑽は欠かせません。
個人投資家が法人化するメリット・デメリット
個人投資家である程度成果を出している人の場合、「わざわざ法人化する意味はないのでは?」と思う人もいるかもしれません。自分の投資活動を個人事業としてではなく法人として行うほうが節税や資産管理の観点から有効な手段となる場合がありますが、一方で注意すべき点も多く、全ての投資家にとってベストとは限りません。
ここから個人投資家が法人化するメリット・デメリットについて見ていきます。
法人化のメリット
個人投資家の場合、所得が一定を超えると累進課税によって最大45%の所得税+住民税10%=55%の税率が適用されます。一方、法人税は一定の利益までは実効税率約23%程度で済むことから、利益が大きくなるほど法人化の節税効果は顕著になります。また、役員報酬を設定すれば、給与所得控除を活かして所得を分散できるため、家族を役員にすることで所得分散による節税も可能になります。
さらに法人の場合、投資に関わるオフィス費用、通信費、書籍、交通費、セミナー参加費などの経費計上が柔軟に認められる傾向にあります。個人投資家では認められにくい費用も、事業としての必要性があれば経費化できる可能性があります。
なによりも、個人投資家が起業して法人格を持つことで、金融機関との取引や融資、法人名義の口座開設、信用調査などの面において一定の信頼性が生まれます。これにより、事業としての拡大や他者との契約の際に有利に働くこともあります。
一般的には、年間の投資収益が1,000万円以上ある場合には法人化を目指すとよいと言われています。
法人化のデメリット
個人投資家が法人設立する場合、登記費用や定款認証費用などが必要です。また、法人となると毎年の法人住民税(最低7万円程度)や、会計・税務の処理にかかる顧問税理士費用(年間数十万円)が発生します。たとえ赤字でも、これらの最低限の費用は避けられません。
さらに法人の利益についてですが、これは会社の資産であって個人が自由に使うことはできません。自分の報酬として得るには「役員報酬」や「配当」という形を取る必要があり、個人の財布感覚では動かせないといったデメリットがあります。
起業して個人投資家として成功するためのポイント
個人投資家として起業してやっていくためにはいくつかのポイントがあります。
マイルールを持つこと
何よりも大切なのが、自分なりの投資方針とルールを持つことです。周囲の情報や一時的な相場の動きに流されず、自分のスタイルに基づいて判断を下すことは、長期的に安定した成果を上げるための土台となります。
情報収集を欠かさない
次に必要なのが、情報収集力と分析力です。投資対象となる銘柄について、常に正確な情報を得て、客観的に評価する力は必要です。特に株式や不動産投資では、企業の業績や経済指標、政策の動向などを読み解く力が、成功と失敗を分ける大きな要素になります。
感情に振り回されない
投資においては感情のコントロールも非常に重要です。損失が出たときに焦って売ったり、利益が出ているときに欲を出しすぎたりすると、パフォーマンスを落としかねません。常に冷静にリスクを受け入れ、計画通りに動くメンタルの強さは経験と共に身についていくものです。
PDCAを欠かさない
個人投資家としての成功には、継続的な学習と改善が欠かせません。市場は常に変化しており、過去の成功パターンが今後も通用するとは限りません。書籍やニュース、専門家の意見に触れながら、自分の思考や戦略をトライしながら常にアップデートしていく柔軟さが、長く勝ち続けるための鍵となります。
投資はギャンブルではないと理解する
投資活動は当然ながらギャンブルではありません。根拠に基づいた判断と戦略でリスクをコントロールしなければなりません。企業の業績や経済指標、相場のトレンドなどを分析し、将来の成長や収益性に対して資金を投じるのが投資の本質であり、偶然に頼るギャンブルとは違い、学び続け、判断を積み重ねることで、再現性のある成果を生むことができるようになります。常にリスクはありますが、それを管理し、乗り越える力が投資家には求められます。
個人投資家としての収入
個人投資家として起業して稼げる収入は、まさに自分次第です。働いた時間ではなく、どれだけ市場を分析し、適切な判断ができたかによって収益が決まります。成功すればある意味青天井で大きなリターンを得られる一方、判断を誤れば損失も出るため、知識・経験・冷静な判断力が問われます。努力と継続が結果に直結する、自由で責任の大きい収入モデルと言えるでしょう。
まとめ
個人投資家として起業することは、お金に働かせる力を最大限に活用し、自由なライフスタイルと経済的自立を目指すことに他なりません。株式やFX、不動産、仮想通貨など自分の得意な分野に集中し、経験とスキルを積み上げながら安定的に利益を生み出すことができれば、立派な事業となります。
起業することで、節税や資産管理の幅も広がり、信用や融資の面でも有利になる一方で、収益は常に自己責任であり、損失リスクもあるため、金融知識や戦略的思考、感情のコントロール、そして継続的な学習は欠かせません。「自由」と「不安定さ」が表裏一体となる中で、自分自身で意思決定し責任を引き受ける力こそが、個人投資家として起業するうえで大事になります。