広告業界で培った経験やスキルを活かし、自らの力でキャリアを切り拓きたいと考えるなら、「広告プランナー」として独立起業するのがおすすめです。市場やターゲットの分析、広告戦略の立案からメディア選定、クリエイティブディレクションまで、多岐にわたる業務を手掛ける広告プランナーは、企業やブランドにとって不可欠な存在となりつつあります。
今回は広告プランナーで起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
広告プランナーとは?
広告プランナーとは、企業やブランドの課題を解決するために最適な広告戦略を企画・立案する専門家のことを指します。ただ単に広告を作るのではなく、市場環境やターゲット層のニーズ、競合他社の動向などを綿密にリサーチし、どのようなメッセージをどのメディアでどのタイミングで届けるべきかを設計します。その過程でクライアントの要望を丁寧にヒアリングし、商品やサービスの強みを引き出しながら、伝えたい内容を的確に形にしていきます。
また広告制作においては、コピーライターやデザイナー、カメラマンなどクリエイティブチームと連携し、全体の方向性をまとめる役割も担うことがあります。さらに実施後の効果測定や改善提案まで行うこともあり、広告成果に責任を持つポジションでもあります。
以上のように、広告プランナーはクリエイティブな発想力と論理的な思考、さらには高いコミュニケーション能力が求められる非常に総合力の問われる職種だと言えます。
広告プランナーとして独立起業するのが向いている人
広告プランナーに向いている人としては次のような特徴が挙げられます。
自分で考え行動できる人
自ら考え、自ら行動することに楽しさを感じられる人は広告プランナーに向いています。企業に属していたとき以上に、独立後は自分で仕事を生み出し、提案し案件をまとめていく主体性は必要です。
コミュニケーションスキルが高い人
クライアントの要望を引き出して的確に応えるためには、ヒアリング力やコミュニケーション能力が高いことも重要です。コミュニケーションスキルが高い人は、相手の話をしっかりと受け止め、最後まで丁寧に聞く姿勢を持っています。ただ耳を傾けるだけではなく、相手の意図や感情をくみ取りながら、適切なタイミングで相づちを打ったり、理解を示すことが自然にできるなど対人スキルが高いため、摩擦を起こしにくい特徴があります。
向上心の高い人
さらには、広告やマーケティングのトレンドを敏感にキャッチし、自分の知識やスキルを常にアップデートできる柔軟性も持ち得るとよいです。クリエイティブな発想力や現実的なビジネス感覚の両方をバランスよく持ち合わせている人は、独立後も安定して活躍できる可能性が高いでしょう。
広告プランナーとして独立するためのルート
広告プランナーとして独立するためには、まず企業で実務経験を積むことが一般的な流れです。広告代理店や制作会社、事業会社のマーケティング部門などで、広告戦略立案やメディアプランニング、クリエイティブディレクションに携わり、業界の仕組みや案件の流れを体得していくとよいでしょう。
そうして実績と人脈をある程度築いたら、次のステップとして独立に向けた準備を進めます。なお、独立後すぐに安定した案件を得られるとは限らないため、事前にクライアント候補を確保しておくことも重要です。
また、未経験から広告プランナーとして独立を目指す場合、業界や広告に対する理解を深めることが出発点となります。広告の仕組みやマーケティング理論、メディア特性などを独学で学びつつ、可能であれば小規模な案件や副業の形で実践経験を積んでいきましょう。たとえば、クラウドソーシングサイトを活用して広告運用やSNSマーケティングの案件に関わったり、知人や小規模事業者の広告活動をサポートする形で実績を作ったりすることが効果的です。
広告プランナーに必要なスキル
広告プランナーに求められるスキルには次のようなものがあります。
戦略的思考力
広告プランナーは、ただ際立った広告を作るだけでは務まりません。市場の動向やターゲット層のニーズ、競合の動きを読み解き、最も効果的な方法でブランドや商品の魅力を伝える戦略を練る必要があります。論理的に筋道を立てて考える力と、目先の成果だけでなく中長期的な視点を持つバランス感覚が不可欠です。
ヒアリング力
クライアントが本当に求めているものは、必ずしも最初の依頼内容に明示されているとは限りません。潜在的なニーズを引き出すためには、丁寧に話を聞いて相手の言葉の裏にある意図をくみ取る力が必要です。また、社外のクリエイティブスタッフやメディアパートナーとの調整も多く、円滑にやり取りできる対話力が大きな武器になります。
プレゼンテーション能力
どれだけ素晴らしい企画を作っても、相手に納得してもらわなければ意味がありません。プレゼンテーション能力とは、単なる説明力ではなく、相手の立場を考えて論理的かつ魅力的に提案を伝えるスキルです。言葉選びや資料の構成、話し方のテンポに至るまで、相手に「任せたい」と思わせるための工夫が求められます。
クリエイティブへの理解力
広告の本質は伝えることにありますが、そのためには言葉やデザイン、映像といった表現手段を深く理解している必要があります。自ら制作するわけではなかったとしても、コピーライターやデザイナーと対等に意見を交わして方向性を明確に示すためには、クリエイティブの背景や効果についての理解はできるようにしておきましょう。
デジタル広告運用・データ分析力
近年の広告はデジタルが中心です。SNS広告やWeb広告を使いこなす知識はもちろん、広告運用の結果を数値で把握し、PDCAサイクルを回して効果を最大化する力が求められます。クリック率やコンバージョン率といった指標を正しく読み解き、次の施策につなげるためには、データに強い広告プランナーであることが強みとなります。
広告プランナーとして独立起業するのに必要な資格
広告プランナーとして独立起業するために、必須となる資格はありません。正直なところ、広告業界では資格よりも実績やスキル、人脈が重視されるため、資格を持っていなくても十分に活躍することができます。
とはいえ、一定の専門知識を証明するために取得しておくことで信用度を高められるのも事実。たとえば「マーケティング・ビジネス実務検定」や「Web解析士」、「広告プランナー認定試験」などを持っておくことは、顧客を安心させる材料になり得ます。
広告プランナーとして独立起業した場合の収入
広告プランナーとして独立起業した場合の収入は、スキルや実績、受注案件の規模によって大きく幅があります。初年度は、営業活動や実績づくりに時間を取られるため、大きな収入が期待できないケースも多いです。しかし、信頼関係が築けてリピートや紹介案件が増えてくれば、年収1,000万円以上を目指すことも十分可能です。くれぐれも「サラリーマン時代の給与のほうがよく、独立しなければよかった」といったことにならないように精進しましょう。
まとめ
広告プランナーとして独立起業すれば、自分の裁量で仕事を選べる自由さ努力次第で収入を大きく伸ばせる可能性が高くなります。一担当レベルでの仕事とは大きく異なり、企画から実施まで一貫して携われるため、クリエイティブな発想力を存分に発揮でき、成長を実感できることでしょう。
もっとも、独立起業には相応のリスクもつきまといます。そうしたリスクを十分に受け止めたうえで、それでも前に進む覚悟と自信があるのなら、ぜひチャレンジしてみる価値はあると思います。