ブレインストーミングとは?

ビジネスにおけるブレインストーミングとは、自由な発想を促し、多様なアイデアを生み出すための会議手法のひとつです。参加者がテーマに対して自由に意見を出し合い、他人の発言を否定せず、量を重視してアイデアを積み上げていくのが特徴で、通常の議論とは異なり、斬新な解決策や新たな視点を引き出すことが目的です。
本記事では、ビジネスにおけるブレインストーミングについて詳しく解説します。

ブレインストーミングとは?

ブレインストーミングとは、複数人が集まって自由な発想を持ち次々とアイデアを出し合うこと。新しい考えや解決策を生み出すための手法のひとつです。1940年代にアレックス・F・オズボーンによって提唱され、それ以来、ビジネスや教育、研究開発の現場などで広く活用されてきました。

ブレインストーミングの最大の特徴は、「批判をしない」「自由奔放なアイデアを歓迎する」「量を重視する」「他人のアイデアに便乗して発展させる」という基本ルールに基づいて進められます。通常の会議では現実的な制約やリスクを考慮して発言が控えめになりがちですが、ブレインストーミングの場ではそうした制限を一切排除し、たとえ奇抜であっても思いついたことを次々に口に出すことが求められます。

その際に重要なのは、「多くのアイデアを出す」ことに集中し、質は後から議論すればよい、という考えです。この自由な環境が、普段は抑え込まれている創造性を引き出し、思いもよらない発想を生み出す土壌となっていきます。

またブレインストーミングは、単独のひらめきだけでなく、他人のアイデアに刺激を受けてさらに新しい発想が生まれる「連鎖反応」が起こりやすいことも大きな強みです。うまく機能すれば、一人で考えるよりもグループで行うことによってアイデアが加速度的に広がり、個人の限界を超えた発想に到達できるようになります。

ブレインストーミングのやり方

ブレインストーミングを効果的に行うためには、単に人間が集まって自由に話し合うだけでなく、次のような段取りを踏むことが重要です。

テーマ設定

まず、最初にやることはテーマ設定です。議論の方向性をある程度絞るために、「新商品のアイデアを考える」「売上を伸ばす施策を探る」といった具体的で明確なテーマを設定します。このテーマが曖昧なままだと、話がまとまらないため、全員が「何について考えるか」を最初に共有することが大切です。

ルールの確認

次に、ルールの確認を行います。基本的なルールは、「他人の意見を批判しない」「自由な発想を歓迎する」「質より量を目指す」「アイデアに乗っかって発展させる」という4つがあります。特に批判をタブーとすることが非常に重要で、誰かがアイデアを出したときにすぐ「それは難しい」「無理だ」と否定する空気が生まれてしまうと、発言意欲が急速にしぼんでしまうので注意しましょう。

アイデア出し

その次に時間を切ってアイデア出しに入ります。たとえば、最初の20分間は「とにかく思いつく限り、出していこう」といったようにスピード感を意識して進めていきます。この際、ホワイトボードや付箋、オンラインツールなどを使って、出たアイデアをすべて可視化しながら書き留めていくと、さらに発想を広げやすくなります。言葉で流してしまうのではなく、目に見える形で蓄積していくことがポイントです。

まとめて分類する

アイデア出しがひと段落したらまとめと分類に入ります。似たアイデアをグループ化したり、目立つ発想をピックアップしたりして、出てきた素材を整理します。当然「実現性」や「優先度」について検討していきますが、あくまで最初はアイデアを殺さないよう柔らかい整理にとどめるのがポイントです。

情報整理

最後に、次のアクションにつなげるための整理を行っていきます。「このアイデアはさらに検討する」「これは仮に試してみる」など、出たアイデアを実際の行動に結びつけるためのプランを立て、ブレインストーミングを「ただ行っただけ」で終わらせないようにしましょう。

ブレインストーミングと似た会議手法

ブレインストーミングと似た会議手法にはいくつかありますが、それぞれに特徴や目的が少しずつ異なります。

KJ法

KJ法は、ブレインストーミングと同じく自由な発想で多くの意見を出す会議手法です。しかしKJ法はその後、出た意見をグループ分けして構造化し、テーマや本質を探るところに特徴があります。単なるアイデア出しではなく、たくさんの情報を整理して意味のある形にまとめるプロセスに力を入れる点がブレインストーミングとの違いです。

ラウンドロビン法

ラウンドロビン法は、参加者全員が順番にアイデアを出していく形式の会議手法で、発言の偏りを防ぎ、内向的なメンバーにも発言の機会を平等に与えることが可能となるものです。自由度の高さを重視するブレインストーミングとは違い、一定の秩序を保ちながらアイデアを集めていくのを特徴としています。

シックスハット法

シックスハット法もブレインストーミングに似たアプローチを持つ手法です。シックスハット法は、議論の参加者が「感情」「楽観」「悲観」「論理」「創造」「統括」という6つの異なる視点(帽子)を使い分けながら発言するもので、自由な発想を促しながら視点を切り替えることでバランスの取れた議論を進めることができます。
ブレインストーミングが「自由な発想を拡げる」のに対し、シックスハット法は「発想を整理しながら深める」ことを狙っています。

ブレインストーミングを失敗させないために

ブレインストーミングは多くの参加者により行っていく会議手法ですが、それだけの貴重な時間を使うこともあり失敗は避けたいものです。では失敗させないためにはどうしたらいいのでしょうか?

ブレインストーミングを成功させるために最も大切なのは、心理的な不安を取り除くことです。どんなに自由な発想を求めても、参加者が「否定されるかも」「笑われたらどうしよう」と感じていたら、誰も積極的に意見を出そうとしません。

ですから「どんな意見も歓迎する」「批判や評価は後回しにする」というルールをしっかり確認し、誰もが安心して発言できる空気を作ることが不可欠です。

次に、テーマを明確にすることも非常に重要です。テーマがぼんやりしていると、議論があちこちに散らかってしまい、結局何も得られずに終わることがよくあります。「誰が、何について、どんな視点で考えるか」を具体的に設定し、テーマを全員に共有してからスタートするようにしましょう。

また、ファシリテーターの存在も重要です。ファシリテーターはただ司会をするだけでなく、沈黙が続いたら話を振ったり、アイデアが偏ってきたら別の切り口を投げかけたりして、場の流れを柔軟にコントロールする役割を担います。そのため、ファシリテーターは強引にまとめようとしたり、自分の意見を押し付けたりしないようにする必要があります。

まとめ

ブレインストーミングは、自由な発想を引き出し、個人では思いつかない斬新なアイデアを生み出す優れた会議手法です。批判を排除し、量を重視して意見を積み上げることで、新たな視点や創造的な解決策が得られます。ただし、テーマ設定を誤ったり進行役の工夫が欠けると失敗しやすいこともあります。事前に不安要素を取り除くなど、しっかりと準備をして臨むことがブレインストーミング成功の鍵となります。

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