ビジネスや日常の会話で「できる」と答えることは、信頼を得るうえではとても重要なことかもしれません。しかし、本当に100%達成できる確信がない場合でも「できる」と言うべきなのか、それとも「できない」と伝えるべきなのか、迷うことはありませんか?
特に責任の大きな仕事や重要なプロジェクトでは、「できる」と言った以上、それを実行する責任が伴います。一方で、確実に保証できること以外は「できる」と言わないスタンスを取る人もいます。それはどのような考え方に基づいているのでしょうか?また、状況に応じて適切な返答をするには、どのような判断が求められるのでしょうか。
本記事では、「100%できる」とき以外は「できる」と言わないとはどういうことかを詳しくお伝えします。
目次
「100%できる」とき以外は「できる」と言わない状態とは?
「100%できないと『できる』と言わない」というのは、何かを完璧にこなさない限り、それを「できる」と認めない考え方を指します。
これを「完璧主義」と言います。たとえば、英語のスピーキングを学ぶ人が「ミスなく流暢に話せるようになるまでは、自分は英語ができるとは言えない」と思う場合はこれに該当します。完璧主義は向上心の表れでもありますが、必要以上に自分を厳しく評価してしまい、成長の実感を得にくくなることもあります。
完璧主義者の特徴
完璧主義者は、何事にも高い基準を持ち、それを達成しようと強くこだわる傾向があります。常に最高の結果を求めるため、細部にまで注意を払い少しのミスも見逃しません。
また、自分に対して厳しいだけでなく時には他人にも同じレベルの完璧さを求めることがあります。成果を重視するあまり、途中の過程を軽視してしまったり失敗を過度に恐れて行動が慎重になりすぎたりすることもあります。さらには、努力をしても満足できず、達成感を得にくいこともあるため、心身への負担が大きくなることがあります。
完璧主義のメリット・デメリット
完璧主義には、ポジティブな側面とネガティブな側面の両方があります。高い目標を持ち、細部にこだわる姿勢は成果の質を高めますが、行き過ぎると精神的な負担が増し、効率を下げる原因にもなりますので、自分の性格や状況に応じて、適切にコントロールすることが大切です。
メリット
100%の完璧を目指すことには、仕事や学習の質が向上し、細かいミスを防ぐことが可能となります。特に正確さや精密さが求められる分野では、完璧主義の性格が大きな強みになります。
また、向上心が高いため、自分を厳しく鍛えて継続的に努力できる点もメリットとなります。何かに取り組む際に妥協せず、最後までこだわる姿勢は、周囲からの信頼を得やすく、プロフェッショナルとしての評価を高めることにもつながります。
さらに、完璧を追求することで問題を深く考え抜く力が身につき、複雑な課題にも対応できるようになります。品質を重視するため、成果物のクオリティが高くなり他者との差別化が図れるのも大きなメリットです。
デメリット
一方で完璧主義が行き過ぎると、心身への負担が増大します。少しのミスや不完全さが気になり、いつまでたっても満足することができないため、常にストレスを感じやすくなってしまうのがデメリットです。
また、「完璧に仕上げなければならない」というプレッシャーが強く、作業のスピードが遅くなったり、期限を守れなくなったりすることもデメリットになり得ます。
さらに失敗を極端に恐れるあまり、新しい挑戦を避けるようになる傾向もあります。「完璧にできる保証がないなら、最初からやらないほうがいい」と考えてしまうため、成長の機会を失うことも。周囲にも高いレベルを求めることで、チームでの協力が難しくなったり、人間関係にストレスを感じたりすることもあります。
完璧主義をやめる方法
完璧主義をやめるには次のような方法を実践してみることが得策です。
完璧でない自分を受け入れる
完璧主義の人は、まず「完璧でなくても大丈夫」という考え方を少しずつ受け入れることが大事です。完璧主義の人は、100%の完成度を目指さないと不安を感じがちです。まずは「80%でも十分」「とりあえず前に進めることが重要」という意識を持つことから始めるとよいでしょう。
すべてを完璧にしようとすると、かえって行動が遅くなったり、途中で疲れてしまったりするため、まずは「完璧よりも前進を優先する」ことを意識することが大切です。
完璧でないことは失敗ではない
完璧主義者は、失敗に対する考え方を変えることも必要です。完璧主義の場合、失敗を「自分の能力不足」と捉えてしまいがちですが、実際には失敗は成長のための大切なステップであることを認識すべきです。
成功している人ほど、小さな失敗を繰り返しながら学び、そこから改善を積み重ねていくわけですから、失敗を避けすぎることのほうが、大きな成長の機会を逃すことにつながってしまうことを知りましょう。最初から完璧にできる人はいないという事実を受け入れ、むしろ「失敗から学ぶことが成長につながる」と考えるようにすると、プレッシャーが減り挑戦しやすくなります。
自分自身の評価をもっと柔軟に
自分自身に対する評価の仕方を見直すことも完璧主義解消のために役立ちます。完璧主義の人は自分に対して非常に厳しく、「もっと良くできたはず」「まだ足りない」と考えがちです。しかし、それではどれだけ努力しても満足できず、心理的な負担が増えてしまいます。よって、「できたこと」に目を向ける習慣をつけることが大切です。
たとえば、一日の終わりに「今日の良かった点」を振り返るといったことが有効です。そうすることで、自分の成長や進歩を実感しやすくなります。小さな成功を積み重ねていくことで、完璧を求めなくても自分を肯定できるようになり、無理に完璧を追い求める必要がなくなります。
他人の評価を気にしすぎない
他人の評価を過度に気にしすぎないことも完璧主義者には重要です。完璧主義の人は、「他人に認められなければ意味がない」と考えることが多く、周囲の期待に応えようと無理をしがちです。
しかし実際には、すべての人に完璧な評価を得ることは不可能ですし、ほとんどのケースでは「十分に良いレベル」であれば問題なく評価されます。他人の期待に縛られすぎず、自分自身が納得できる範囲でベストを尽くすという意識を持つことで、完璧を求めすぎることを防げるようになります。
完璧主義を手放すのは簡単ではありませんが、「完璧でなくても良い」「失敗は成長の一部」「できたことを評価する」「まずは進めることを優先する」といった考え方を少しずつ取り入れることで、無理なくバランスの取れた生き方ができるようになります。
まとめ
完璧を求めること自体は悪いことではありませんが、それが行き過ぎると逆効果になることもあります。大切なのは、「完璧でなくても十分に良い」という考え方を持ち、柔軟に対応することです。時には「80%の完成度でも前に進む」ことを意識し、適切なタイミングで区切りをつけることが、より良い成果につながります。