夏のオフィスやビジネスの現場では、涼しく快適に過ごしながらも相手に失礼を与えることのない服装を心掛けることが大切です。そこで登場するのが「クールビズ」。クールビズは、環境負荷を軽減しつつ働きやすさを追求するために推奨されているスタイルですが、自由な服装の中にもTPOを意識したマナーが存在します。まもなく到来する夏のシーズンに向けて、どのような点に気を付けたらいいかを知っておくに越したことはありません。
本記事では、クールビズのマナーについて詳しくお伝えします。
目次
クールビズとはどんなものか?
クールビズ(Cool Biz)は、政府が2005年に環境省主導で提唱した省エネルギー対策の一環としたビジネススタイルのことを指します。夏季の冷房使用をできるだけ抑え、オフィスの温度設定を28℃にしても快適に働けるように軽装を推奨する取り組みがクールビズです。
具体的には「ノーネクタイ・ノージャケット」が基本とされ、企業によってはポロシャツやチノパンなどの着用も許可される場合があります。見た目の清潔感やTPOに配慮しつつ、環境負荷の軽減と快適な職場環境の両立を目指すのがクールビズの目的とされています。
クールビズ実施期間
クールビズの実施期間ですが、明確な規定はなく一般的には 5月1日から9月30日まで とされているようです。しかし、政府や自治体の方針、企業の規定によって多少異なる場合があります。近年は異常気象の影響で猛暑が続くこともあり、地域によっては10月まで延長されるケースなど、柔軟に設定されることもあるようです。
クールビズのマナー
クールビズは、企業によって規定が異なるとお伝えしましたが、自由度が高い分、服装の選び方を誤ると相手に不快感を与えたり、ビジネスマナーに反したりすることもあります。快適さと品格の両方を保つために、クールビズの基本マナーをしっかり押さえておきましょう。
男性の場合、基本はノーネクタイ・ノージャケット
クールビズの代表的なスタイルですが、ネクタイを外してジャケットを着用しないことが挙げられます。ただし、すべての場面でネクタイ不要というわけではありません。当然ながら、重要な会議や初めての商談の場では、ネクタイ・ジャケットを着用するのがスマートです。
適切な服装としては、襟付きのシャツが基本で、ワイシャツやポロシャツが好ましいとされています。デザインはシンプルなものが望ましく、無地や控えめなストライプなど落ち着いた柄を選ぶとビジネスシーンにふさわしい印象を与えることでしょう。シャツにはシワや汚れがないように注意し、清潔感を保つことが大事です。
女性の場合、露出を控えめに
女性にとってもクールビズは快適に働くために重要なスタイルとして定義されていますが、男性同様TPOを意識した服装選びが求められます。
基本としては、オフィスカジュアルをベースに、涼しさと清潔感を両立した装いを心掛けましょう。トップスは、ノースリーブよりも半袖や五分袖のブラウスやカットソーがおすすめ。過度な露出を避けながらも軽やかな印象を演出できます。素材は通気性の良いものを選び、汗をかいても快適に過ごせる工夫をすることが望ましいです。
またボトムスは、スカートでもパンツでも問題ありませんが、オフィスにふさわしい丈やシルエットを意識することが重要。スカートは膝丈またはそれ以上の長さを選び、タイトすぎるものやフレアが大きすぎるものは避けたほうがよいでしょう。パンツスタイルの場合は、スラックスやセンタープレスの入ったものがきちんとした印象を与えやすく、クールビズに適しています。靴は、サンダルやミュールのようにカジュアルすぎるものは避け、パンプスやかかとのあるフラットシューズを選ぶのが安心です。
男性・女性共通に言えることですが、Tシャツやタンクトップのようなカジュアルすぎる服装はビジネスには不向きとされています。派手な色や目立つ柄のシャツは、相手に軽い印象を与えてしまうため避けるのが無難です。
清潔感を与える格好を
暑い時期はどうしても汗をかきやすく、服のシワや汗ジミが目立ちやすくなります。クールビズの服装選びだけでなく、身だしなみや臭い対策にも注意を払うよう心掛けましょう。
普段から吸汗・速乾性のあるインナーを着用し、汗ジミを防ぐ工夫が必要です。また、制汗剤や汗拭きシートを活用することで、清潔感を保ち周囲に不快な印象を与えないよう心掛けることも忘れずに。シャツはこまめに洗濯し、常にフレッシュな状態を維持するようにしましょう。
さらに、服装のシワやヨレにも注意を払います。シャツはアイロンがけを怠らず、しっかりと整えられた服を着ることで、パリッとした清潔感のある印象を与えることができます。頻繁に衣類をクリーニングに出すことで、よりきれいな状態を保ちやすくなります。
クールビズ時の服の色選びも大事
クールビズでは、服の色選びも大事なポイントです。基本的には、落ち着いた色合いを選ぶことで、清潔感と信頼感を演出することが可能。特に白やライトブルーなどの爽やかな色のシャツは暑い季節に適していることから、見た目にも涼しげな印象を与えます。
一方で、黒やネイビーなどのダークカラーを好む人も多いと思います。フォーマルな雰囲気を保ちつつ、引き締まった印象を与えるため、ビジネスシーンでも好まれるため、クールビズでも身に着けたいと考えている人も多いと思いますが、黒は熱を吸収しやすいため、営業職など屋外での移動が多い場合は注意が必要です。
なお、明るい色やパステルカラーを取り入れる場合は、派手すぎず品のある色合いを選ぶようにしましょう。たとえば、淡いピンクやグレーなどは、落ち着きがありつつも、程よい華やかさを演出できます。逆に、蛍光色や極端に派手な柄物はビジネスシーンには不向きで、カジュアルな印象を与えてしまうため避けるのが無難です。
年代別に異なるクールビズ
クールビズのスタイルは、年代によって適した服装や意識すべきポイントが異なります。それぞれの年代にふさわしいクールビズを心がけることで、ビジネスの場に適した印象を与えることができます。
20代のクールビズ
20代のフレッシュな若手社員にとって、クールビズは「ラフになりすぎず、フレッシュな印象を保つこと」が大事です。基本は、シンプルな襟付きのシャツやポロシャツを選び、派手すぎない色や柄を意識すること。パンツはスラックスやチノパンを選び、ジャケットを着用しない場合でも、清潔感を損なわないようにアイロンがけを欠かさないことが重要です。靴は革靴やビジネス向けのローファーを選ぶと、爽やかさときちんとした印象を両立できます。周囲の上司や先輩社員のスタイルを参考にしながら、自社に合ったクールビズを実践することを心掛けましょう。
30代のクールビズ
30代になると、20代の若手とは違い「信頼感」と「落ち着きのある装い」を意識することが求められます。襟付きシャツはもちろん、ポロシャツやカットソーを取り入れる場合も生地やデザインにこだわり、カジュアルすぎない上質なものを選ぶのがポイントです。
パンツもスラックスを基本とし、場合によってはジャケットを手持ちすることでフォーマルな場面にも対応できるようにすると安心です。色合いは、白やブルー系を中心にしつつ、ネイビーやグレーなどの落ち着いたカラーを取り入れると、スマートな印象を与えることができます。さらに、バッグや腕時計などの小物にも気を配り、シンプルで洗練されたデザインを選ぶことが、全体の印象を引き締めるポイントになります。
40代のクールビズ
40代にもなると、部下や後輩を指導する立場になることが多く、「貫禄」と「清潔感」を両立させたクールビズが求められます。シャツやパンツの素材や仕立てにこだわり、上質なものを選ぶことで、落ち着いた大人の雰囲気を演出できます。ポロシャツを取り入れる場合も、ラフな印象を避けるために、ジャケットやスラックスと組み合わせると、きちんとした印象を保つことができます。
色味はモノトーンやネイビー、ダークグレーなどを中心とし、シンプルながらも品のあるスタイルを意識するとよいでしょう。靴やバッグも、カジュアルすぎないものを選び、全体のバランスを考えたコーディネートを心掛けましょう。
50代以上のクールビズ
50代以上になると、会社の中でも上級管理職や役職者としての立場が求められるため、「品格」と「信頼感」を重視したクールビズが必要です。シャツは襟のしっかりしたものを選び、カジュアルすぎるスタイルは避け、シンプルで上質な生地のものを選びましょう。
ジャケットを着用しない場合でも、体型に合ったスラックスや上質なレザーシューズを合わせることでフォーマルな雰囲気を保つことができます。色は落ち着いたモノトーンや、ネイビー、ベージュ系を基調とし、派手な柄やカジュアルすぎるアイテムは控えるとよいでしょう。
なお、年齢を重ねると汗や体臭対策が重要となるため、通気性の良いインナーや消臭効果のあるシャツを活用し、常に清潔感を意識しましょう。
まとめ
クールビズは、快適に働きながらもビジネスマナーを維持するためのスタイルですので、服装の選び方や清潔感の保ち方を意識し、TPOに応じた装いを心掛けましょう。なお、年代によって装いや振る舞いは異なります。求められるクールビズのポイントを押さえながら、最適な服装を選ぶことにより、ビジネスの場で好印象を与えることができるはずです。