企業の成長にカスタマーサポートの存在は欠かせません。チャット対応やSNSサポート、電話応対など、幅広いサービス展開により、顧客の満足度を高めてブランドの信頼を築く重要な役割を担っているカスタマーサポート。近年アウトソーシングの需要が高まり、カスタマーサポートを専門に提供するビジネスが注目されています。
そのため、これからカスタマーサポート事業を立ち上げてビジネス化しようと考えている人もいるかもしれません。
今回はカスタマーサポートで起業する方法について見ていきたいと思います。
目次
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは、企業の商品やサービスに関する問い合わせに対応し、顧客の疑問や問題を解決する仕事です。企業と顧客の橋渡し役として、単なる問い合わせ対応にとどまらず、顧客満足度を向上させ、ブランドの信頼を築く重要な役割を担っています。
カスタマーサポートの主な業務としては、電話やメール、チャット、SNS対応があります。たとえば、ECサイトのカスタマーサポートの場合、注文状況の確認や配送トラブルの対応、返品や交換の手続きをサポートします。IT企業のサポートなら、ソフトウェアやアプリの使い方の説明、不具合の解決策の提案など、技術的な対応が求められます。銀行や保険などの金融業界では、口座情報の変更や契約内容の説明など、個人情報を扱う慎重な対応が必要です。
また、カスタマーサポートは単に顧客の問い合わせに答えるだけでなく、クレーム対応やトラブルシューティングのスキルも求められます。たとえば、顧客が製品の不具合に不満を持っている場合、事実確認を行ったうえで適切な補償や修理の手続きを案内し、最終的には顧客が納得できる解決策を提示する必要があります。特にクレーム対応では、冷静な判断力と共感力が求められ、企業の評判を守る役割も担っています。
カスタマーサポートは単なる「問い合わせ対応」ではなく、顧客満足度を高め企業の価値を向上させるために欠かせない業務を担う仕事です。そのため、高いコミュニケーション能力と問題解決力が求められ、企業のブランド価値向上にも貢献できる専門性の高い職種と言えるでしょう。
カスタマーサポートとして独立起業するのが向いている人
カスタマーサポートに向いている人としては次のような特徴が挙げられます。
コミュニケーション能力の高い人
カスタマーサポートにはコミュニケーション能力が高く、相手の気持ちを汲み取る能力が必要です。顧客からの問い合わせは、単なる情報提供を求めるものからトラブルやクレーム対応までさまざまあります。そのため、顧客の話をきちんと聞き、何を求めているのかを正確に理解して的確に対応できる力が求められます。
また、相手がどのような感情で問い合わせているのかを敏感に察知し、適切な言葉選びやトーンを使い分けることができる人であれば問題なく業務をこなせるはずです。
感情に振り回されない人
カスタマーサポートは冷静に対応できる人が向いています。カスタマーサポートの仕事は、時に感情的になった顧客や理不尽なクレームに対応する場面があります。その際、自らが感情的になってしまうと、問題解決が難しくなるだけでなく企業の信用を損なうリスクがあります。
そのため、冷静に状況を整理し適切な解決策を提示できる人は、顧客からの信頼を得やすくなります。クレーム対応では、自分が責められているように感じることもありますが、個人的に受け止めすぎず、プロフェッショナルとして対応できることがとても大切です。
問題解決能力が高い人
カスタマーサポートでは、顧客の悩みや疑問に対し、素早く的確な解決策を提示する必要があります。問い合わせの内容は多岐にわたるため、事前にマニュアルを用意していても想定外のケースに対応しなければならないことが少なくありません。
その際、柔軟な思考力を持ち最適な解決策を考えられる人は、優れたカスタマーサポートとして活躍できるはずです。顧客が求める答えをすぐに出せない場合でも、「今すぐお調べして折り返します」と適切に対応し、迅速にフォローアップすることで信頼を得ることができるでしょう。
カスタマーサポート業務に将来性はあるか?
企業の成長において顧客満足度は重要な要素であり、質の高いカスタマーサポートが企業のブランド価値を左右する時代になっています。たとえば、ECサイトやSaaSなど、オンラインサービスの拡大により、カスタマーサポートの需要は年々増加しています。特に顧客対応を重視する企業ほど、専門的なサポートを必要としており、外部のカスタマーサポート企業へのアウトソーシングも増えているため、独立・起業の機会も広がります。
しかし、AIやチャットボットの導入が進んでいる現在、カスタマーサポートの分野はAIにとって代わられるのでは?と思っている人もいるかもしれません。しかし、AIでは解決できない感情的な対応や複雑な問題解決は、最終的に人間のサポートスタッフにしかできません。
特にクレーム対応や高額商品のサポートでは、人間による対応の重要性が今後も続くと考えられます。今後はAIと連携しながら、より高度な対応ができるカスタマーサポートの役割はむしろ強化されるはずです。
カスタマーサポートに必要なスキル・資格
カスタマーサポート業務を行うにおいて必須となる資格は特にありませんが、スキルを証明し、キャリアアップに役立つ資格はいくつか存在します。
たとえば、接客やクレーム対応を強化したい場合には「サービス接遇検定」「CS検定」「もしもし検定」、ITテクニカルサポート向けに有効な資格としては「ITパスポート」「ITILファンデーション」「MOS」、コールセンター業務に向けて持っておきたい資格としては、「電話応対技能検定」「コンタクトセンター検定」、心理学やストレスマネジメントを学びたい方は「メンタルヘルスマネジメント検定」「行動心理士」などがおすすめです。
カスタマーサポートとして独立起業した場合の収入
カスタマーサポートとして独立した場合の年収は、経験やスキル、業務内容、契約形態などによって大きく変動します。株式会社カカクコムが運営する「求人ボックス」によると、カスタマーサポートとして会社勤務している人の平均年収は約453万円となっています。そのため、起業した場合にはまずこの年収を目指し、さらに高い収入を目指すことがポイントです。
まとめ
カスタマーサポートとして独立起業するには、顧客対応スキルとITリテラシーを活かし、企業のサポート業務を代行するビジネスモデルを確立することがとても重要です。電話、メール、チャット対応を中心に、ECサイト、SaaS企業、IT企業などのサポートを請け負うことで、安定した収益を得られる可能性は高いです。
AIやチャットボットの導入が進む中で、人間ならではの対応力が重要となるため、クレーム対応やカスタマーサクセスの分野で差別化をどう図るかが勝負のカギとなるでしょう。
そのためには、クラウドソーシングやSNSを活用して顧客を獲得したり、リモート対応を強みにするなどの戦略が必要です。スキルと実績を積みながら、チームを組んで事業を拡大していけばおのずと成功に近づくはずです。