グリーンコーディネーターで起業する方法

近年、環境意識の高まりやウェルビーイング志向の広がりを背景として「グリーンコーディネーター」の需要は着実に増加しています。これをチャンスと捉え、起業を目指す人も増えているようです。植物に関する知識や空間デザインのスキルを持つ方であれば、それらを活かして独自のスタイルで顧客ニーズに応えることができる仕事です。そこには、大きなやりがいと可能性を秘めています。
今回はグリーンコーディネーターで起業する方法について見ていきたいと思います。

グリーンコーディネーターとは?

グリーンコーディネーターとは、植物を使って空間を演出し、より快適で魅力的な環境をつくり出す専門家のことを指します。単に観葉植物を配置するだけでなく、空間全体の雰囲気や機能性、利用者の心理的効果まで考慮しながら、植物の種類や配置、メンテナンス方法を総合的に提案・管理していきます。住宅のインテリアグリーンコーディネートはもちろん、オフィスや店舗、ホテル、病院、公共施設など、さまざまな場面でその知識とセンスが求められています。

グリーンコーディネーターは、光・温度・水やりの管理、育成環境の最適化など植物に関する基本的な知識だけでなく、デザインセンスや空間把握力も必要とされます。さらに、クライアントの要望を丁寧にくみ取り、空間の使われ方やコンセプトに合った提案を行うコミュニケーション力も欠かせません。

最近では、SDGsやウェルビーイングへの関心の高まりにより、環境に配慮した緑化や、健康促進を意識したグリーンデザインなど、社会的な価値を重視した提案が求められる場面も増えています。

グリーンコーディネーターとして起業するメリット・デメリット

グリーンコーディネーターとして起業することには、いくつかのメリットとデメリットがあります。

グリーンコーディネーターとして起業するメリット

まずメリットですが、需要の広がりに支えられた確固たるビジネスチャンスがある点です。人々の間でウェルビーイングやサステナビリティへの関心が高まる中、植物を活用した空間づくりは、住宅やオフィス、商業施設、医療福祉施設など幅広い分野で求められるものです。ニッチでありながらも着実に需要が増えており、自分のセンスや専門性を活かして自由度高く仕事を進められるのは大きな魅力と言えるでしょう。また、自分の提案によって空間が生まれ変わり、クライアントや利用者の喜びを直接感じられるため、非常に高い仕事のやりがいも得られます。
さらに、独立起業として事業をスタートする場合、比較的初期投資が小さくて済みます。そのため、自宅やレンタルオフィスを活用しながら在庫を抱えるリスクも抑えこみやすいビジネスモデルである点もメリットです。

グリーンコーディネーターとして起業するデメリット

一方で、グリーンコーディネーターとして起業する場合のデメリットも無視できません。
まず、植物の生育という不確実性の高い商品を取り扱うことがあります。生きた植物を扱う以上、環境変化や管理不足によって思い通りに育たないリスクがあり、トラブル対応も求められます。季節要因に左右されやすく、夏場の管理や冬場の植物が枯れるリスクなど、業務負担に波があることもデメリットです。
また、営業力やブランディング力が必要です。グリーンコーディネーターはまだ一般的な認知が高いとは言えず、どのような価値を提供できるのかを自分自身で伝え、顧客を開拓していかなければなりません。

グリーンコーディネーターに必要なスキル・資格

グリーンコーディネーターとして独立起業するのに必須の資格はありませんが、植物の生態や管理に関する専門知識は当然ながら必要です。植物ごとの光、水、温度、湿度などの管理方法を理解し、設置する環境に合わせて適切な植物を選定できる能力は最低限持っておきましょう。また、病害虫対策やメンテナンス方法も熟知しておく必要があり、これらの知識が信頼性につながります。

なお、保有しておくとよい資格としては、日本家庭園芸普及協会認定の「グリーンアドバイザー」の資格。植物に関する総合的な知識を証明できるもので、起業直後の実績がない段階での信頼性アップに役立ちます。

また、「造園施工管理技士」や「園芸装飾技能士」といった国家資格も、大規模な案件を手がけたい場合には武器になります。さらに「インテリアコーディネーター」や「建築士」の資格を持っていれば、空間設計との連携もスムーズにできおすすめです。

なお、これはグリーンコーディネーターにとどまりませんが、どのような職業を選んだとしても、ビジネスにはコミュニケーションスキルが必須です。コミュニケーションスキルとは、自分の考えや気持ちをわかりやすく伝える力や、相手の話を正確に理解して受け止める力のことを指します。

話す、聞く、読む、書くといった言語的な能力だけでなく、表情や態度といった非言語的な要素もコミュニケーションスキルには含まれます。いずれも相手との信頼関係を築き、円滑な人間関係を保つために欠かせない能力であって、ビジネスや日常生活のあらゆる場面で重要な役割を果たします。

グリーンコーディネーターとして独立起業した場合の収入

グリーンコーディネーターとして起業した場合の年収は、個人のスキルや営業力、受注する案件の規模によって大きく異なります。一般的な企業勤めのグリーンコーディネーターの平均年収は約300万円~500万円程度とされています。ちなみに、造園業で独立した場合の年収レベルは約600万円〜800万円と言われており 、グリーンコーディネーターとしての起業でも同様の収入が期待できるかもしれません。

独立起業当初は顧客獲得や営業活動に時間がかかるため、安定した収入を得るまでにはどうしても時間がかかります。そのため、十分な資金を準備したうえで起業に臨むのが賢明です。

グリーンコーディネーターの将来性について

グリーンコーディネーターの将来性ですが、環境意識の高まりや都市の緑化ニーズの増加により、今後ますます注目される職業と言えるかもしれません。環境と人々の暮らしをつなぐ重要な役割を担う職業として、持続可能な社会の実現に向け、グリーンコーディネーターの果たすべき役割は大きく、将来性のある職業といえるでしょう。

ただ、仕事につなげていくためには、営業力やブランディング力が必要です。グリーンコーディネートはまだ一般的な認知が高いとはいえず、どのような価値を提供できるのかを自分自身で伝え、顧客を開拓していく努力が不可欠となります。そのため、ただ起業したからといって仕事が獲得できるという甘い世界でないことも理解したうえで、起業を検討しましょう。

まとめ

グリーンコーディネーターとして独立起業することは専門性を活かして社会的ニーズに応えられる可能性がある一方で、安定経営を目指すには確かな実務力とビジネス力の両方が求められます。そのために、スモールスタートは必須かもしれません。それに加えて成功に向けて事業拡大するためには、植物の知識だけでなく、マーケティングや営業スキルを磨く努力が欠かせません。それらを理解したうえで起業を目指すようにしましょう。

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