イラストレーターで起業する方法

イラストを描くことが好きで、「いつか自分の絵で仕事ができたらいいな」と夢見る人も多いのではないでしょうか。SNS等で自身の作品を発信しやすくなった現在、イラストレーターとして独立起業するといった選択肢も持ちやすくなりました。

しかし、ただ絵が上手いだけでは仕事は続きません。営業やブランディング方法などイラストレーターとして独立するには知っておきたいポイントがたくさんあります。

今回はイラストレーターで起業する方法について見ていきたいと思います。

イラストレーターとは?

イラストレーターとは、依頼されたテーマや目的に合わせてイラストを描く仕事です。雑誌や書籍の挿絵、広告のビジュアル、Webサイトやアプリのデザイン素材、商品パッケージ、キャラクターデザインなど、活躍の場は非常に広く、媒体ごとに求められる表現やタッチが異なります。単に「絵を描く」だけでなく、クライアントの意図やコンセプトを理解しそれを視覚的にわかりやすく、魅力的に伝える力が求められるのが特徴です。

最近は、SNSやポートフォリオサイトを通じて個人で仕事を受けるイラストレーターも増えており、企業と直接やり取りをしながら制作を行うことが一般的です。そのため、絵のスキルに加えて、コミュニケーション力や納期管理、価格交渉などのビジネススキルも重要となります。

また、AIやデジタルツールの進化により表現の幅が広がる一方、オリジナリティや個性がより重視されるようになっています。イラストレーターは「絵を描く職人」であると同時に、「ビジュアルで伝えるプロ」という位置づけとなっています。

イラストレーターとして起業するメリット

イラストレーターとして起業することには、会社員や副業では得られない、自由度とやりがいに満ちたメリットがあります。

「好き」を仕事にできる

イラストレーターとして起業する魅力は、「絵を描くこと」がそのまま仕事になる点です。趣味だったイラストを通じて収入を得ることで、日々の充実感や達成感を感じやすくなります。好きな絵柄や得意なジャンルで自分の世界観を発信し、それに共感してもらえる喜びは、会社勤めではなかなか得られないものです。

働く時間や場所が自由になる

イラストレーターとして起業すれば、出社時間やオフィスに縛られず、自分のペースで働けます。自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能なため、自宅やカフェ、レンタルオフィスを活用して好きな時に好きな場所で働くことができます。

イラストレーターとしての必要スキル

イラストレーターとして活躍するためには、絵の上手さだけでなくさまざまなスキルが求められます。具体的には次のようなスキルがあるとよいでしょう。

デザイン力

基本となるのは、絵を描く技術です。人物・動物・風景・小物など、幅広いモチーフを描けることや、構図、配色、バランスなどのデザインセンスも大切です。アナログでもデジタルでも、依頼に応じて多様なタッチに対応できる柔軟さが求められることもあります。トレンドに合った表現や、ジャンルごとのテイストに応じた対応力も必要です。

ツールの操作スキル

イラスト制作はほとんどがデジタル化されています。Photoshop、CLIP STUDIO PAINT、Illustrator、Procreateなどのソフトを使いこなすスキルは必須です。レイヤー管理、ブラシカスタマイズ、色補正、ファイル形式の理解など、プロとして納品できる品質に仕上げる知識も身につけておきましょう。

コミュニケーション力

依頼内容をしっかり聞き取るヒアリング力、曖昧な指示に対して提案する提案力、納期・修正などを的確にやりとりする対応力などを合わせた「コミュニケーション力」は、地味に見えますが非常に重要なスキルです。メールやチャットでの文章力、リモート打ち合わせでの受け答えなど、社会人としてのマナーも仕事の信頼に直結します。

タスク管理力

複数の案件を並行して進める場面では、納期や作業時間の自己管理が重要です。納品の遅れは信頼を失う原因になりかねません。スケジュール表やToDo管理ツールを使って、効率よく進行を管理する工夫も求められます。

セルフブランディング力

独立起業して仕事を得ていくためには、自分から「見つけてもらう仕組み」をつくる必要があります。具体的には、SNSでの作品発信、ポートフォリオサイトの運営、イラストACといったサービスの活用など、露出を増やすことでチャンスが広がります。自分の「得意」「個性」が伝わる表現やプロフィール作りもブランディングの一環として実行していきましょう。

イラストレーターとして独立起業するのに必要な資格

イラストレーターとして独立・起業するのに特別な資格は必要ありません。絵が描け、仕事として依頼に応えることができれば誰でも始められます。

ただし、「資格が不要=起業準備が不要」というわけではありません。以下に、持っておくと有利になる知識やスキル、任意で取得できる関連資格を紹介します。

Adobe認定プロフェッショナル

Adobe認定プロフェッショナルは、Adobeが認定するエントリーレベルの認定資格。グラフィック系ソフトのスキルを証明する資格として、PhotoshopやIllustratorなど、Adobe製品の操作スキルを客観的に示すことができ、デザインやクリエイティブ業界での就職・営業活動に役立つとされています。

色彩検定

公益社団法人色彩検定協会主催の色彩検定は、「色」に関する知識と活用力を問う、文部科学省後援の公的資格。デザイン・ファッション・インテリア・イラスト・広告など、色を扱う仕事に携わる人にとって、基礎から応用までの知識を体系的に学べる検定として知られています。

イラストレーターとして起業した場合の収入

イラストレーターとして独立起業した場合の想定収入ですが、株式会社カカクコムが運営する「求人ボックス」によると、イラストレーターとして企業勤めした場合の平均年収は約392万円となっています。この時点で日本人の平均年収より低いことから、起業して制限なく仕事ができたほうが収入は増えることが予想されます。

当然ながら、独立起業した際の働き方や活動スタイルによって大きく異なりますが、まずは年収400万円以上を目指すことがポイント。イラストレーターとして人気が出て、継続案件獲得ができ、さらには書籍執筆などの機会を得るなど幅広く活動すれば、年収500万円〜800万円以上の達成も夢ではありません。最初は収入が安定しにくいこともありますが、地道に実績を積み、SNS発信や営業に力を入れることで、着実に年収アップを目指すことができるようになります。

まとめ

イラストレーターとして独立起業するには、特別な資格は必要ありませんが、イラスト制作のスキルに加えて営業力や自己管理力も必要です。その上で安定した収入を得るためには、SNSやポートフォリオでの発信、納期やクライアント対応など、プロ意識を持った働き方が求められます。実績を積み、継続案件や自分のブランドを育てていくことで、自由で自分らしい働き方が実現できるようになるまで、あきらめずに頑張り続けることが大事です。

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