シナリオライターで起業する方法

映画、アニメ、ゲーム、小説といったシナリオを伴うコンテンツには、人々の心を動かし、世界を変える力があります。もし「シナリオを書くことで生きていきたい」と考えているなら、シナリオライターとしての才能をビジネスに変え、自らのブランドを確立することは十分可能です。

しかし、シナリオライターとして起業するには、単に文章を書くスキルだけでは不十分。クライアントとの関係構築、案件獲得の方法、ビジネスモデル構築、継続的に仕事を得るための戦略など、知るべきことがたくさんあります。

今回はシナリオライターとして起業する方法について見ていきたいと思います。

シナリオライターとは?

シナリオライターとは、物語を生み出しストーリーの構成を考えて、登場人物のセリフや行動を描く仕事をする人を指します。主に映画やドラマ、アニメ、ゲーム、小説、舞台脚本など、多岐にわたるメディアで活躍しています。パソコンさえあれば、自宅やカフェ、レンタルオフィスなど場所を問わず仕事ができるため、自由を求める人に向いている仕事といえるでしょう。

シナリオライターの仕事は、単に物語を思い浮かべて書くだけではありません。作品ごとに求められるトーンやテーマを理解し、依頼主の要望に沿ったストーリーを作り上げることが求められます。

たとえば、映画やドラマでは脚本の形式に従いながら、視覚的な演出を意識した台詞や場面の流れを設計します。アニメの場合、映像表現やキャラクターの動きに合った台詞や展開を考慮する必要があります。またゲームシナリオでは、プレイヤーが操作することを前提とした分岐のあるストーリーや、選択肢によって変化する物語を設計します。

近年ではWebコンテンツやソーシャルゲーム、ボイスドラマなどデジタルプラットフォームを活用したシナリオ制作の仕事も増えています。SNSや動画配信サービスと連動する形でシナリオを提供することもあり、時代の変化に合わせて柔軟な対応が求められる仕事といえるでしょう。

シナリオライターの将来性

シナリオライターは将来性の高い業種であると考えられています。その理由としては次のようなものがあります。

ゲーム業界の台頭

近年、ゲーム業界は世界的に急成長しており、それに伴いゲームシナリオライターの需要も増えています。特に、ストーリー性の高いRPGやアドベンチャーゲームなどはシナリオのクオリティが作品の評価を大きく左右するため、優れたライターの需要が高まっています。
また、スマートフォンゲーム市場も拡大しており、ソーシャルゲームのイベントシナリオやキャラクター設定を担当するライターの仕事も増えています。特に、キャラクターのセリフや世界観の作り込みが重視されることから、シナリオライターの活躍の場が広がっているようです。
一方で、近年はChatGPTなどの AI技術が文章生成に活用されるようになり、シナリオライターの仕事に影響を及ぼしています。汎用的なストーリーや短いキャッチコピー、シナリオの下書きは、AIが代替できるため、不安に感じるシナリオライターもいるかもしれません。
しかし、完全なオリジナルストーリーや感情を揺さぶる脚本、キャラクターの魅力を引き出すシナリオはAIでは難しく、人間のライターの価値は依然として高いといえるでしょう。

シナリオライターに必要なスキル

シナリオライターとして成功するためには、単に文章を書くスキルだけでなく、さまざま能力が求められます。

ストーリーテリング能力

最も重要なのはストーリーテリングの力。シナリオを作る際には、起承転結を意識した構成力が求められますので、読者や視聴者を引き込む展開を考え、感情を動かすようなストーリーを組み立てる能力が欠かせません。キャラクターの設定や心理描写も重要で、登場人物の成長や関係性を自然に表現できるスキルが必要となります。

コミュニケーション能力

シナリオライターは基本的に一人で作業をすることが多いものの、実際にはディレクターやプロデューサー、編集者などと連携しながら仕事を進めていきます。周りの関係者の要望を的確に理解し、期待に応えられるシナリオを作るためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。

台詞を書く力

映像作品やゲームシナリオでは、登場人物の台詞がストーリーの魅力を大きく左右します。シナリオライターには、リアリティがありながらキャラクターらしい言葉遣いや個性を反映した台詞を書く能力は必須。加えて、長い説明を避け簡潔で伝わりやすい言葉を選ぶことも大切です。

リサーチ能力

シナリオを作る際には、歴史や文化、科学的な要素、専門的な知識を取り入れることが多いため、シナリオライターは正確な情報を集めるリサーチ能力が不可欠です。特にリアルな世界観を描く場合は、細かい部分まで調べてそれを物語に活かすことが求められます。

スケジュール管理能力

シナリオライターは締め切りが厳しいことが多く、複数の案件を同時進行するケースもあります。限られた時間の中で最高のアウトプットを出すためには、計画的に作業を進める力が必要になります。

シナリオライターとして独立起業するのに必要な資格

シナリオライターになるために必須とされる資格はありません。特定の国家資格や免許がなくても、スキルと実績があればシナリオライターとして活動することが可能です。

しかし、シナリオライターとしての能力を証明し、仕事を得やすくするために役立つ資格や講座はいくつか存在します。

シナリオ技能検定

シナリオ制作の知識や技術を測る検定で、試験に合格することでスキルの証明になります。

文章読解・作成能力検定(文章検)

公益財団法人日本漢字能力検定協会が行っている資格検定のひとつで、文章の構成力や表現技法を磨くのに役立ちます。特にシナリオライター初心者が文章力を強化するのに適しています。

日本語検定

シナリオライターは正確な日本語を扱う仕事なので、日本語力を証明する資格も有利に働きます。特にゲーム業界や海外向けのローカライズ案件に関わる場合、日本語の正しい運用スキルが重要です。

シナリオライターとしての収入

一般的なシナリオライターの収入は300~400万円程度と言われています。当然ながら、有名なシナリオライターになれば、収入はうなぎ上りに上昇することが想定されますが、そこに至るまでには実力もさることながら運も必要です。誰と仕事をするか、どのタイミングでどのような仕事に出会うかといったことも影響します。

シナリオライターの報酬形態は、基本的には「文字単価」「ページ単価」「作品単価」「印税・ロイヤリティ」「固定給」などの形で支払われます。最初は単価の低い仕事でも、実績を積むことで報酬を上げていくことが可能。最終的には、単価の高い仕事を狙うまたはヒット作を出してロイヤリティ収入を得ることを目指しましょう。

まとめ

シナリオライターとして起業するには、スキルを磨き、実績を積み、安定した仕事を獲得することがとても重要です。ゲーム、映像、Webコンテンツなどの市場を狙い、ポートフォリオを充実させることで信頼を得ることができるでしょう。

また、クラウドソーシングや直接営業、SNS発信を活用し、クライアントを広げることも大切です。さらには、AIなどの新技術を取り入れ、他者と差別化を図ることで競争力を高めることも必要かもしれません。

とにかく、独自の強みを持ち柔軟に対応していければ、シナリオライターとしての起業は十分可能です。

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